道議会質疑一般質問(9月22日)
(道議会 2024-01-26付)

Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望 Demand

【質問者】

▼千葉真裕議員(自民党・道民会議)

▼和田敬太議員(自民党・道民会議)

▼田中勝一議員(民主・道民連合)

▼黒田栄継議員(自民党・道民会議)

▼水口典一議員(北海道結志会)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼三橋剛総合政策部長

▼加納孝之環境生活部長

▼野澤めぐみ保健福祉部子ども応援社会推進監

▼倉本博史教育長

◆スポーツ振興

Q千葉議員 道は、第3期道スポーツ推進計画が目指す「“スポーツの持つ力”を最大限活用し“北海道の潜在力”を発揮しながら、北海道スポーツのみらいをひらき、将来にわたる持続可能な社会の実現」に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。

A鈴木知事 第3期道スポーツ推進計画に基づく取組について。新型コロナウイルス感染症の影響による参加機会の減少や人口減など、昨今のスポーツを取り巻く環境を踏まえ策定した本計画においては、ライフステージに応じたスポーツのある暮らしの充実や、スポーツでつくる優しい共生社会の実現などを基本方針とするとともに、その推進に当たっては、道スポーツみらい会議と連携し、オール北海道で取組を進めていくこととしている。

 計画が目指す姿の実現に向け、本年度は、札幌医科大学などと連携して、先頃、けがの予防や競技力向上などを図るため、スポーツ医・科学シンポジウムを開催したほか、障がい者スポーツをより身近に感じていただくため、エスコンフィールド北海道においてボッチャフェスを開催し、今後も道内各地において様々なイベント等を開催することとしているところ。

 道としては、いつでも、どこでも、そして誰もがスポーツに親しむことができる環境づくりに取り組み、スポーツ参画人口の拡大や地域活性化につなげていく。

Q千葉議員 4年6月、当時の高橋はるみ文部科学大臣政務官を座長とする障害者スポーツ振興方策に関する検討チームが設置され、障がい者スポーツの振興方策について総合的な議論がなされ、報告書、いわゆる高橋プランが発表された。

 いわゆる高橋プランについての道の受け止め、および、道として今後、障がい者スポーツ振興にどのように取り組んでいくのか伺う。

A鈴木知事 障がい者スポーツの振興について。国では、パラリンピック東京大会をレガシーとして、スポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組を一層進めるため、障がい者スポーツの振興方策を総合的に検討し、報告書を取りまとめたものと承知している。

 今後のわが国の障がい者スポーツの普及や関係団体の基盤強化、地域における推進体制づくりにつながるものと認識している。

 道としては、これまで、国の支援策なども活用し、障がい者スポーツを種目とした運動会や、体験会の開催をはじめ、競技団体の活動への支援などに取り組んできたところであり、引き続き、障がい者スポーツ協会や競技団体はもとより、道スポーツみらい会議とも連携しながら、障がい者の皆さんがスポーツに親しむことができる環境づくりに取り組んでいく。

Q千葉議員 いわゆる高橋プランでは「都道府県ごとに障害者スポーツセンターが設置されていることが望まれる」「都道府県等に対して、各地域における障害者スポーツの拠点となる障害者スポーツセンターの整備を促す」とされた。

 障がい者スポーツセンターは、障がいのある方々にとってのスポーツ実施拠点機能のみならず、その指導者等関係者の活動拠点機能や競技用車いす等の用具の保管場所機能、障がい者スポーツに関する情報拠点等、障がい者スポーツの普及・振興に極めて重要な機能を有する施設である。

 現在、札幌市では、障がい者スポーツセンター整備の検討に着手していると承知するところ。道として、障がい者スポーツセンターが果たすべき各機能についてどのように認識しているか、併せて伺う。

A加納環境生活部長 障がい者スポーツセンターについて。障がい者スポーツを普及するためには、国の報告書に挙げられているスポーツを実施する拠点や関係者の活動拠点、用具の保管場所や情報拠点といった機能が必要であると考えており、道では、これまで、障がい者スポーツの理解促進と支援の輪の拡大を目的に、道みらい運動会や障がい者スポーツの体験会を開催するとともに、道障がい者スポーツ協会と連携し、指導者研修会の開催や用具の貸し出し事業を実施するなど、実施環境の充実に取り組んできたところ。

 国では、現在、センターのあるべき機能等について、引き続き、スポーツ審議会等で検討しており、こうした国の検討状況などにも注視していく。

◆子ども施策

Q千葉議員 4月に施行されたこども基本法に基づく子どもや若者等からの意見反映について、今後、道としてどのように取り組んでいくのか伺う。

A鈴木知事 子どもなどの意見反映について。道では、少子化対策推進条例に掲げる子どもの権利や利益を尊重するため、これまで、子どもの未来づくり審議会への中高生の参画や、結婚、子育てなどに関する大学生との意見交換、ヤングケアラーや社会的養護を経験したケアリーバーなど、様々な立場の方々からの意見も伺い、子ども施策を進めてきたところ。

 こうした中、国では、こども基本法を踏まえ、政策の決定過程に子どもの意見を反映させるための在り方などを検討しているが、道として、できることは早期に進めるという考えのもと、子どもたちが意見表明し、社会参加できる環境整備に向け、独自の取組として、今後、条例や各種計画策定時に行うパブリックコメントに、子どもや若者の皆さんにとって分かりやすく、意見を出しやすい仕組みづくりを検討することとしている。

 また、こども家庭庁が、子どもや子育てに優しい社会づくりを推進するため、全国複数個所で開催するリレーシンポジウムを本道でも開催できるよう、国と協議を進め、そうした場で、子育て中の方々や保育関係者などからの意見を伺うこととしている。

 今後とも、様々な機会を活用するとともに、学識経験者や保育関係団体、子育て当事者などの方々で構成する審議会などでの議論も深めながら、子どもや若者をはじめ、関係者の貴重な意見を道の子ども施策に反映できるよう取り組んでいく。

◆金融教育

Q千葉議員 4年4月からの新しい高校学習指導要領では、家庭科において、預貯金、民間保険、投資信託等の基本的な金融商品の特徴や資産形成の視点にも触れながら、生涯を見通した経済計画の重要性を生徒が理解できるようにすることが求められている。

 労働環境も多様化・流動化する現代において、これからの子どもたちが生きていく上で、金融や投資に関するリテラシー習得は必須であり、教員のみならず、民間も含めた関係機関と積極的に連携しながら取り組んでいく必要があると考える。金融・投資教育についての現状の取組状況、今後どのように取り組んでいくのかについて、道教委の見解を伺う。

A倉本教育長 金融に関する教育について。平成30年の学習指導要領改訂において、高校の家庭科に、持続可能な消費生活・環境の学習内容が位置付けられ、生徒が家計管理について理解することや、生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について考察することとされた。

 このため、道教委では、教員の指導力向上に向けた研修講座において、家庭科担当の教諭を対象として、金融の専門家による講義を実施するとともに、各学校に連携可能な関係機関のリストや企業と連携した実践事例を周知してきており、一部の学校では、金融機関の職員などを講師に招くなどして、生徒がライフプランや資産形成について主体的に考える学習活動に取り組んでいる。

 今後は、リスク管理も含め、金融機関等と連携した実践的・体験的な学習活動をさらに進め、生徒が自主的・合理的に社会の一員として行動する自立した消費者となるよう、金融教育の一層の充実に努めていく。

◆ESD

Q千葉議員 本道には、持続可能な社会を実現していく上でヒントとなる教材が数多く存在する。

 こうした生きた教材を用いて、実践を通じて、多様性、相互性、有限性、公平性、連携性、責任性を養い、自分たちの地域や社会、日々の生活や環境について主体的に考え、他者と協力しながら行動することができるようになることを目指す持続可能な開発のための教育、いわゆるESDに今後ますます取り組んでいく必要があると考える。この点についての現状の取組状況、今後どのように取り組んでいくのかについて、道教委の見解を伺う。

A倉本教育長 ESDについて。ESDは、現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、身近なところから取り組むことで、問題の解決につながる行動等の変容をもたらし、持続可能な社会の実現を目指して行う学習・教育活動であり、各学校では、総合的な探究の時間などで、国際理解、情報、環境、福祉、健康などの現代的な諸課題について、ESDやSDGsの視点を取り入れた学習に取り組んでいる。

 道教委としては、今後も、北海道の教育資源を活用したESDの視点からの教科等横断的な学習をより一層推進するとともに、文科省および環境省の関連団体である北海道地方ESD活動支援センターと連携し、ESDアドバイザー派遣制度の活用を周知するなどして、各学校の教育活動を支援し、持続可能な社会のつくり手を育む教育を推進していく。

◆アスリート育成

Q和田議員 人口減少、少子・高齢化の進展などに伴い、将来、スポーツに参画する人々の減少や競技水準の低下も懸念される中、これまで培ってきた本道出身選手の活躍をつぎの世代につなげていくためにも、道としてジュニア世代からのアスリートの育成が必要と考えるが、所見を伺う。

A加納環境生活部長 ジュニア世代からのアスリートの育成について。2022年の北京冬季オリンピックでは、58人の道出身の選手が出場し、10個のメダルを獲得するなど、道産子選手の活躍は目覚ましく、選手たちの躍動する姿は、次世代を担う子どもたちにとって、大きな目標、励みになったものと考えている。

 道では、平成26年度から北海道タレントアスリート発掘・育成事業に取り組み、これまで、将来有望なジュニア選手26人が各競技団体の強化指定選手に選出されるなど、北海道が誇るウインタースポーツの競技力向上に努めてきたところ。

 道としては、競技団体等と連携・協力しながら、ジュニア期からトップレベルにつながる戦略的な強化やスポーツ科学に基づいたサポートなどを行い、道産子選手が、オリンピック・パラリンピック大会など世界の舞台で活躍できるよう、引き続き、取り組んでいく。

Q和田議員 ジュニア世代の指導において特に大切なことは、けがをさせないことである。

 今後、道として、スポーツ医・科学に何を期待し、どのように生かしていく考えなのか、所見を伺う。

A鈴木知事 スポーツ医・科学について。昨年7月、スポーツ関係団体や大学、道などの行政機関などによって設立された道スポーツ医・科学コンソーシアムは、医・科学的な見地からアスリート等を支援する体制を構築し、競技力の向上を目指すことなどを目的としている。

 スポーツ医・科学には、競技力の向上やけがの予防に加え、心身の健康の保持増進や健全な発達、健康寿命の延伸などの効果が期待されている。

 道としては、今後、コンソーシアムの活動を通じて、各機関が有する知見や機能の結集による本道の競技力のさらなる向上はもとより、将来的には、この取組で得られる知見を道民の健康増進などにも広く活用、還元することによって、スポーツ参画人口の拡大と、生涯にわたりスポーツに親しむことのできる環境づくりにつなげていく。

◆学校施設整備

Q和田議員 手稲養護学校における空調設備導入のモデル検証に関する効果と課題について伺う。

A倉本教育長 空調設備導入のモデル検証について。本年度から、病院併設型の手稲養護学校の普通教室等にモデル的に空調設備を整備し、各種データの収集を始めたところ。

 この夏は、9月に入っても気温が高く、空調を稼働させている日もあることから、現在、検証のためのデータを取り続けているが、学校現場からは、猛暑が続く中、空調設備によって快適な学習環境を維持することができたとの報告を受けており、今後、さらに具体的な効果等について関係者へのヒアリングを実施する考えである。

 また、空調設備を効果的・効率的に活用するためには、空調稼働開始および終了の時間や設定温度などに関する校内ルールの整備なども必要であると考えており、今後、詳しい検証を行っていく。

Q和田議員 子どもたちの健康面を考えたときに、快適な睡眠を取ることが重要である。

 また、今後、リモート授業の導入等を考えると、学校だけではなく、子どもたちが生活し、多くの時間を過ごす寄宿舎への空調設備の導入が必要と考えるが、現状の設置状況と今後どのように整備していくのか伺う。

A倉本教育長 寄宿舎の空調設備整備について。学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習の場であり、真夏日や猛暑日の増加など、近年の本道における夏の気象状況を踏まえると、空調設備をはじめとする快適な教育環境の確保が一層重要となっている。

 現在、道立特別支援学校の寄宿舎に空調設備を整備しているところはなく、日中は授業のために寄宿舎を使用していない時間帯もあるほか、長期休業中は、児童生徒が自宅に帰省し、利用しないなど、主に夏の間の利用状況について精査が必要であることも踏まえ、他県の状況なども把握しながら、寄宿舎に入舎する児童生徒の快適な環境の確保に向けた方策の検討を進めていく。

◆保育士の処遇改善

Q田中議員 3年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は約382万円で、全職種の平均年収443万円と比べると、保育士のほうが平均年収で約60万円低くなっている。

 保育士が他の職種と比べ平均年収が大幅に低い実態についての知事の所見を伺うとともに、国への要請や道独自の取組について伺う。

A鈴木知事 保育士の処遇改善について。国は、平成25年度に賃金水準を改善するための処遇改善加算を創設したほか、平成29年度からは、経験年数等に応じて賃金改善が図られるよう、キャリアアップによる加算措置を講じており、保育士の平均賃金は徐々に改善が図られているが、全産業と比較すると、依然として低い状況にあり、さらなる賃金水準の改善が必要と認識している。

 先般、閣議決定されたこども未来戦略方針では、民間給与動向等を踏まえ、さらなる処遇改善を検討するとされていることから、道では、引き続き、国に対し、保育所等の運営実態や地域実情を踏まえた公定価格の設定や処遇改善について要望するほか、加算取得の促進に向けたキャリアアップ研修の受講環境の充実や、働きやすい職場環境の確保など、保育士の処遇改善に取り組んでいく。

Q田中議員 保育士不足の原因の一つに賃金が低いことが挙げられるが、その保育士不足を解消するために子育て支援員制度がある。

 子育て支援員の実態は、保育士の補助というより、保育士と同様の業務分担となっている。しかも、賃金が低く、労働条件が悪いのが実態だ。

 まずは、人手不足となっている保育士の確保が大事だが、確保できるまでの間、子育て支援員の処遇改善によって、保育サービスの低下を招かないことが重要と考えるが、所見を伺う。

A野澤保健福祉部子ども応援社会推進監 子育て支援員について。全国的に保育士の確保が課題となっている中、国は、保育の担い手の裾野を広げ、待機児童の解消を図るため、子育ての知識や経験のある方で、研修の受講など、一定の要件を満たす子育て支援員を保育補助者として配置することを可能としたところであり、保育所等では、保育士の負担軽減のための重要な役割を果たしていただいているものと認識している。

 道では、子育て支援員の養成に向け、受講機会の確保のため、研修をオンライン化したほか、フォローアップ研修やキャリアアップ研修の受講による質の向上や処遇の改善に努めてきており、引き続き、国の補助制度を活用した子育て支援員の配置を促すなどしながら、地域における保育サービスの確保に努めていく。

Q田中議員 政府が3月に発表した異次元の少子化対策の試案には、75年ぶりの保育士配置基準の改善が明記されていたが、その後に、保育士を手厚く配置した施設に運営費を加算で実施するとの担当大臣の発言があり、保育士配置基準の改善は先送りとなっている。

 また、政府は9月、現在は国家戦略特区で実施している、特定の地域に限り勤務を認める地域限定保育士制度を全国に拡大する方針との報道があった。保育士不足の緩和に向けては前向きな取組だが、賃金体系をはじめとする予算がどうなるのかは不明だ。

 国に対して強く保育士配置基準の改善を求めるべきと考えるが、所見を伺う。

A鈴木知事 保育士の配置基準の見直しについて。幼児教育・保育の質の向上や安全対策を図るためには、保育士が子どもたちと十分に触れ合い、見守ることができる体制の整備が重要であり、多くの保育所等では、配置基準を上回る保育士を独自に配置している状況にあると承知している。

 国のこども未来戦略方針では、保育士等の配置基準やさらなる処遇改善、また、規制改革実施計画では、保育士不足の解消に向け、地域を限定した保育士資格の創設を検討することとされており、道としては、今後とも、こうした国の動きを注視しつつ、全国知事会などと連携しながら、国に対し、保育士の配置基準の改善を早急に実現するよう、あらゆる機会を通じて強く要望していく。

◆部活動地域移行

Q和田議員 道内の学校における部活動指導員の配置状況について伺う。

 また、部活動指導員は、生徒への実技指導はもとより、学校外での活動の引率や保護者との連絡調整など、部活動に関わる多様な職務が想定され、そのための知識および技術の向上が重要であると考える。道教委では、部活動指導員の質の向上に向け、どのように取り組むのか伺う。

A倉本教育長 部活動指導員の資質・能力の向上について。部活動の地域移行の推進に当たっては、技術的な指導や大会への引率等を職務とする部活動指導員の効果的な活用が重要であり、5年4月1日現在、道立学校では131校に245人、市町村立中学校では25市町村59校に110人が配置されている。

 また、部活動指導員には、実技指導や生徒指導、事故発生への対応など、一定の専門性や資質が求められ、学校設置者および学校は定期的な研修を行うことが義務付けられていることから、道教委では、部活動指導員を対象として、部活動指導力等向上研修を実施するなど、その資質・能力の向上を図っている。

 今後も、部活動指導員が、部活動の教育的意義や生徒の発達段階に応じた科学的な指導などの理解を深めることができるよう、不断に研修内容の改善を図るほか、オンラインによる研修機会を拡充するなどして、一層の資質向上に努めていく。

Q和田議員 道教委では、地域移行の受け皿となる運営団体の整備に向けて、今後どのように取り組むのか伺う。

A倉本教育長 地域クラブ活動の運営団体等について。国のガイドラインでは、部活動を移行する際の運営団体として、総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団などが示されており、その整備に当たっては、地域の実情に適したものを選択したり、複数の手法を組み合わせたりするなど、創意工夫しながら検討を進める必要があるとされている。

 道内においては、5年6月1日時点で、55の市町村が国の事業を活用して運営団体の体制整備等を進めており、こうした取組が道内全域へと拡大していくことが求められているが、地域ごとにスポーツ・文化芸術環境は様々であり、各市町村においては、地域の実情に照らし、関係者間で丁寧に調整した上で、運営団体や実施主体の整備を図っていく必要があると考えている。

 道教委では、今後、道内外の先進事例を各市町村に情報提供するほか、複数自治体による運営団体の整備の在り方など、地域の実情に応じた提案や助言に努め、全ての市町村において地域移行に向けた体制整備が進むよう支援していく。

◆近代美術館

Q田中議員 道立近代美術館は、本道の美術文化の振興を担い、広く道民に親しまれるとともに、本道の中核的美術館として大きな信頼と期待が寄せられてきた。

 一方、築46年となる施設は著しく老朽化し、道立近代美術館リニューアル基本構想の議論が進んでおり、築50年をめどとして改築または修繕が予定されている。

 リニューアル基本構想の取りまとめを急ぎ、築50年を待たずに改築または修繕すべきと考えるが、教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 近代美術館のリニューアルについて。近代美術館や知事公館が所在するエリアは、札幌市内中心部に位置し、憩いの場としても親しまれており、近代美術館が、この立地環境を生かし、教育、観光等の多様なニーズに対応できる芸術文化の発信拠点として、その機能を高めることが重要である。

 このため、道教委では、目指す姿や施設整備の基本的な考え方など、近代美術館の在り方を整理した近代美術館リニューアル基本構想の中間報告を5年7月に取りまとめたところ。

 今後、隣接する知事公館エリアと一帯で、これまで以上に魅力あふれる文化、芸術、歴史の発信拠点として活用するため、知事部局と連携し、道民の意見を伺いながら、エリア全体の目指す姿やその実現に必要な機能などについて丁寧に検討を進め、来年度にも総合的な活用構想を策定できるよう取り組んでいく。

Q田中議員 リニューアル基本構想の中間報告では、作品の収集・保存や調査研究の現状と課題に加え、展示会の方向性についても議論されているが、これまでの、テーマに沿った常設展示や国内外の優れた芸術を紹介する特別展示はもちろん、今後は、道内で活動している芸術家の作品を展示するギャラリーを常設で検討すべきと考える。教育長の見解を伺う。

A倉本教育長 常設のギャラリー設置について。近代美術館には、専ら、一般の方の利用に供する展示室は設置していないものの、各種の展覧会が開催されていない期間において、美術団体などからの利用申請に応じ、その趣旨が道立美術館の目的に沿ったものであるなどの場合、展示室を活用いただくなど対応している。

 4年度に実施した道民意見聴取においては、道民が利用できるギャラリーがあると良いとの意見もいただいた一方で、札幌市内には、市民ギャラリーのほか、民間のギャラリーも所在していることから、こうした施設への影響も十分考慮する必要があるものと認識している。

 道教委としては、今後、こうした課題も含めて、近代美術館リニューアル基本構想の中間報告において示した、近代美術館の目指す姿や施設整備の基本的な考え方を踏まえ、隣接する知事公館エリアと一帯での利活用の検討を進めていく。

Q田中議員 道埋蔵文化財センターなど、他の道立施設の老朽化に伴う修繕や改築などの際には、施設の集約について検討が必要と考える。

 どこの場所に集約するかなどは議論が必要だが、近代美術館のリニューアルに合わせて施設を集約することで、本道の歴史、文化、芸術を1ヵ所で学ぶことができると考える。教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 施設の集約について。道有建築物の老朽化が進行する中、道では、道ファシリティマネジメント推進方針に基づき、耐用年数を迎える建築物を対象に長寿命化に向けた診断と改修を計画的に実施するほか、長寿命化に適さないと判定された建築物については、建て替えや移転集約を行うなど、ストックマネジメントの取組を進めている。

 道教委が所管する埋蔵文化財センターは、いまだ築24年であることなどから、他の教育施設との移転集約は困難と考えているが、近代美術館をこれまで以上に魅力あふれる芸術文化の発信拠点として活用するため、引き続き、今後の近代美術館の在り方について検討を進めていく。

◆ICT活用

Q黒田議員 道教委は今後、道学校教育情報化推進計画に基づき、本道の学校教育の情報化を一層進めるため、どのように取り組んでいくのか伺う。

 併せて、各自治体が特に懸念している端末の更新に関わる予算措置、さらには、GIGAスクール構想のつぎの段階とも言える、より効果的な機器の使い方、指導方法の構築など、ソフト面での充実促進をどのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 学校教育の情報化の推進について。道教委ではこれまで、児童生徒の情報活用能力の育成や教員のICT活用指導力の向上、さらには、ICTを活用した働き方改革を推進してきたほか、他県で行われている民間事業者への外部委託の取組を情報収集し、外部人材を活用した道立学校におけるICT支援について検討してきた。

 今後は、年内に策定する推進計画に基づき、広域分散型の本道において、学校の情報化を効果的に支援できる体制づくりを着実に進め、小学校から高校までの12年間を見通したICTの活用による授業改善を通じて、子どもたちの情報活用能力の育成に取り組んでいく。

 また、今後必要となる小・中学校の端末の更新には、国の財政支援が不可欠であることから、全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、国庫補助による十分な財政措置を要望するとともに、端末とクラウド環境を活用した教育実践の創出・モデル化を目的とする、国のリーディングDXスクール事業の指定校による取組の成果を全道の学校に普及するなどソフト面の充実を図り、GIGAスクール構想の一層の推進に取り組んでいく。

◆高校の魅力化

Q黒田議員 本道の過疎地域では、人口減少や少子・高齢化に伴い、高校への入学者が減少している。

 その中でも、地元公立高校が存続するよう、町村が強力な支援を行う例や、独自の魅力づくりを進めている学校が増えている現状にある。

 過疎地域においては、高校の存在がそのまま地域の活力に直結する問題でもあり、町村行政が高校の存続に向けて強い姿勢で臨むのは必然かもしれない。

 加えて、個別最適な教育の実現という意味でも、選択肢が一つでも多く存在することは、教育環境の整備という観点で見たとき、重要な視点にもなり得るところ。

 各高校としても、魅力化に向けて、様々な創意工夫をしながら、自らの存在価値を高める取組を行っている。

 道教委として、これらの取組も踏まえ、どのように後押ししていくのか、現状の取組状況、さらには、今後の取組方針はどのようになっていくのか、所見を伺う。

A倉本教育長 魅力ある高校づくりについて。広域分散型の本道においては、少子化に伴う中卒者数の減少によって、高校の小規模化の加速が避けられない状況にあることから、地域の皆さんと一体となって子どもたちを育む取組を推進し、地域の教育機能の維持向上を図ることが重要である。

 このため、道教委では、地域において、圏域内の高校が担う役割や配置の在り方等について協議を行い、その結果を配置計画に生かすとともに、小規模化が進んだ学校に対しては、道教委と地域が連携し、高校の特色化・魅力化に取り組む集中取組期間を設けており、この期間を通じて、道教委と自治体、学校が連携し、地域の特色などを生かした学校設定科目の開設や、小・中・高校が連携した学校行事の実施など、入学者確保に向けた取組を進めている。

 道教委としては、こうした取組を通じ、圏域全体における高校教育の質の維持向上に向けた施策や、地域の実情に応じた多様なタイプの高校づくりなどを進め、生徒から選ばれる魅力ある高校づくりを推進していく。

Q水口議員 道として、日本語教育の必要性についてどのように認識しているのか伺う。

 また、道内の各自治体の日本語教室の開設に向け、各自治体のニーズをどのように把握しているのか伺う。

A三橋総合政策部長 日本語教育の必要性などについて。経済のグローバル化が進む中、道内においては、全ての市町村に、技能実習や留学などで外国人の方々が在住しており、その受け入れ環境の整備に当たっては、各地域の課題などを踏まえ、取組を進めていくことが重要である。

 こうした中、道が、この春、市町村に対し、地域に在住する外国人の方々への支援ニーズなどを伺ったところ、日本語の学習機会の提供が必要との声が多く寄せられ、取組に当たっては、日本語教室の運営ノウハウの不足のほか、指導人材や財政支援などが課題として挙げられたところ。

 道としては、外国人の方々が、職場や学校、そして生活の場で円滑なコミュニケーションが取れるよう、それぞれの地域における日本語教育への取組を促進していく。

Q水口議員 近年は、どの自治体にも、技能実習生が製造業や福祉分野などで就業しており、文化庁の支援は期限がある中で、179自治体に対し、日本語教室の開設を推進していくことは大変困難な取組であると推察する。

 道は、各自治体に対し、日本語教室の開設に向けた働きかけと同時に、開設以降の支援も検討する必要があると考える。

 道として、今後、日本語教室を既に開設した自治体も含め、どのように支援する考えなのか伺う。

A鈴木知事 日本語教育の推進について。人口減少が進行する中、本道において地域の持続的な発展を図るためには、外国人の方々を地域の大切な一員として受け入れ、共に暮らしていくことが重要である。

 このため、道では、外国人の方々の受け入れ環境の整備に向け、全道域を対象とし、外国人相談センターを開設したほか、日本語学習の指導者育成などに取り組んできた。

 また、本年度からは、国の事業を活用して、日本語教室に関するモデル事業を道内各地で実施し、有識者の意見も伺いながら、その成果の全道展開に向けた検討を行うとともに、国に対して地域での日本語教育の拡充への要望を行うなど、地域が主体となった日本語教育の推進を支援し、本道に在住する外国人の方々が安心して暮らせる環境づくりに取り組んでいく。

(道議会 2024-01-26付)

その他の記事( 道議会)

学校の冷房・端末整備へ 道議会議員が随時調査 小樽高等支援など2校訪問

 道議会文教委員会は6日、暑さ対策に関する冷房整備や端末を活用した教育活動を確認するための随時調査の実施を決定した。今月15日、大越農子文教委員長をはじめ道議会の議員一行が小樽高等支援学校と...

(2024-02-08)  全て読む

道議会質疑 一般質問(9月27日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼広田まゆみ議員(民主・道民連合) ▼滝口直人...

(2024-02-07)  全て読む

道議会質疑 一般質問(9月27日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼海野真樹議員(公明党) ▼檜垣尚子議員(自民...

(2024-02-05)  全て読む

道議会質疑 一般質問(9月26日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼木下雅之議員(自民党・道民会議) ▼戸田安彦...

(2024-02-02)  全て読む

道議会質疑 一般質問(9月25日)

Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼荒当聖吾議員(公明党) ▼木葉淳議員(民主・道民...

(2024-01-29)  全て読む

道議会質疑 一般質問(9月20日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼池本柳次議員(北海道結志会) ▼田中英樹議員...

(2024-01-24)  全て読む

道議会質疑 一般質問(5年9月19日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼池端英昭議員(民主・道民連合) 【答弁者】 ...

(2024-01-23)  全て読む

道議会質疑 一般質問(9月19日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼植村真美議員(自民党・道民会議) 【答弁者】...

(2023-12-22)  全て読む

文教委員会(9月5日)道議会質疑

Q 質問QuestionA 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand 【質問者】 ▼戸田安彦委員(自民党・道民会議) ▼広田まゆみ委員...

(2023-12-20)  全て読む

4定道議会予算特別委(11日)

◆冷房・簡易冷房の整備 延べ144市町村で計画  道教委が11月に実施した調査によると、道内179市町村のうち、延べ144市町村が学校に冷房設備または簡易型冷房機器を整備する予定であること...

(2023-12-13)  全て読む