道議会質疑 一般質問(9月25日)
(道議会 2024-01-29付)

Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand

【質問者】

▼荒当聖吾議員(公明党)

▼木葉淳議員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼中島俊明経済部長

▼佐賀井祐一保健福祉部感染症対策監

▼倉本博史教育長

◆半導体人材育成

Q荒当議員 ラピダス社の立地を契機として、道内に半導体関連産業を集積させ、その振興を図っていくためには、継続的に人材を育成・確保していくことが重要である。

 また、道内の4高専が半導体に伴う高度理系人材育成の方針を発表したほか、北海道大学において半導体人材の育成や研究などを一元的に統括する総合窓口を設置するなど、半導体人材の育成に関する新たな動きが見られている。

 また、複数の工業高校校長によると、トップエンジニアのみならず、工業高校で学んだ半導体人材も欲しいと言われていると伺ったところ。

 道では今後、これら大学や高専などとの連携を含め、どのように半導体人材の育成・確保に取り組んでいくのか伺う。

A中島経済部長 半導体人材の育成等について。このたびのラピダス社の立地を最大限生かし、半導体の製造、研究、人材育成等が一体となった複合拠点の実現を図り、本道全体の経済活性化につなげていくためには、半導体関連産業を担う人材の育成や確保が重要と認識している。

 このため、道では、国が設立した北海道半導体人材育成等推進協議会を核として、道内の大学や高専をはじめ、行政や教育機関、経済団体、企業など幅広い関係機関と連携し、道立高校やMONOテクでの出前講座や、若年層の半導体への理解を促すコンテンツの活用などによって、半導体関連産業を担う人材の育成に取り組むほか、道内の大学や高専が行う半導体人材の育成強化の取組状況や卒業生の就職動向などを丁寧に把握しながら、必要に応じ、マッチングなどの取組によって人材の確保に努めるなど、適切に対応していく。

◆特別支援学校の通学確保

Q荒当議員 道教委では、特別支援学校において、自主的な登下校が困難である知的障がいや肢体不自由のある児童生徒の安全・安心な通学手段を確保するため、スクールバスを運行している。

 このような中、全国的にも運転手の不足などでバスの減便が相次いでおり、日本バス協会によると、2030年度には3万6000人の運転手が不足するという試算がまとめられるなど、今後も運転手の不足が増える見通しだ。

 厳しい状況の中においても、確実に運転手を確保し、安全・安心なスクールバスの運行に努めるべきと考えるが、教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 特別支援学校におけるスクールバスについて。道立特別支援学校では、現在、19校で68台のスクールバスが登下校のため毎日運行しており、障がいのある児童生徒たちの通学手段になっている。

 こうした中、業界団体の試算によると、今後、バスの運転手不足が加速する見通しとされており、特別支援学校におけるスクールバスの運行への影響も懸念されるところ。

 道教委では、特別支援学校のスクールバス運行委託契約において、令和2年度までは単年度契約としていたが、3年度からはほぼ全ての学校で3年間の長期契約へと移行したところであり、こうした取組を通じてスクールバスの安定的な運行を図るとともに、今後も、地域におけるバス事業者の状況等を注視しながら、児童生徒の通学手段と安全・安心を確保していく。

Q荒当議員 広域かつ積雪寒冷地である本道においては、知的障がいや肢体不自由のある児童生徒の通学は、より困難な状況にあることから、児童生徒の個々の障がいの特性などを踏まえ、きめ細かな対応が必要になるものと考える。

 また、保護者からは、特に、冬期間において最寄りのバス停までの遠距離の送迎に大変苦慮しているとの声を伺っているところ。

 保護者などの要望等も十分に踏まえ、今後、入学時や年度替わりの際に、事前にバス利用の有無や希望する乗降場所などを取りまとめるなどして、バス路線の延長やスクールバスの増便などにフレキシブルに取り組むべきと考えるが、教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 スクールバスの運行体制について。特別支援学校のスクールバス運行ルートは、各学校において、乗車する児童生徒の人数や居住地、地域の交通事情や乗降場所の確保、さらには、障がいのある児童生徒が乗車可能な時間などを十分考慮するとともに、可能な限り保護者の意見を伺った上で、運行ルートを決定しているが、全ての家庭の最寄り地点に停車することは困難であることから、一定程度の人数が乗車可能となる乗降場所を設定しており、このため、保護者の方が乗降場所まで送迎している。

 こうした中、本年度は、安定的なスクールバス運行体制の維持に向け、道教委において全校の現地調査を実施し、現状把握や課題の整理を行っているところであり、今後も、新たに入学する児童生徒を含め、スクールバスの利用者の実情や、児童生徒や保護者の負担などに十分に配慮しながら、可能な限りニーズに沿ったスクールバスの運行に努めていく。

◆感染症対策

Q木葉議員 子ども、若者は、新型コロナウイルス感染症の大きな影響を受けた。有識者会議の中でも、学校の一斉臨時休業はやむを得なかったが、コミュニケーション能力が欠如した世代ができてしまったことは、未来に対する大きな損失をつくってしまったとの発言があった。

 検証に当たっては、こうした経験をした子ども、若者の声を聞く機会を設けるべきと考えるが、知事の所見を伺う。

A鈴木知事 子どもたちへの影響などについて。道ではこれまで、中高生を対象にアンケート調査を行ってきたほか、コロナ禍における不安や未来をテーマに、子どもたちの意見交換の場を設け、新型コロナウイルス感染症に関する情報提供の充実や、経済的に困窮した方々への支援などについて提言を受けたところ。

 また、現在、北海道感染症対策有識者会議で、学校における一斉臨時休業や感染対策など、学校教育活動に関して議論いただいているほか、アンケート調査を通じて、小・中学校の校長会やPTA連合会といった教育分野の団体などからも幅広く意見を伺っている。

 引き続き、こうした意見等を丁寧に分析し、新型コロナウイルス感染症が子どもや若者たちに与えた影響も考慮しながら検証作業を進めることによって、新たな感染症危機への備えにしっかり取り組んでいく。

Q木葉議員 コロナによって職場が休みになることで、収入面で大きな影響を受けたのは非正規職員の方々だ。加えて、ひとり親家庭の場合は、学校休校等でその影響もさらに大きくなっていた。

 検証に当たっては、こうした支援の対象となっていない労働者の声を丁寧に聞き、つぎの感染症に備えるべきではないか。

A佐賀井保健福祉部感染症対策監 コロナによる影響を受けた方々の意見等について。3年以上の長きにわたって、新型コロナウイルス感染症によって、生活困窮者や若者、ひとり親世帯の方々などの生活は大きく影響を受けたことから、道では、各種給付金による経済的支援や就労支援などといった生活の下支えに努めてきたところ。

 現在、医療、介護、教育、経済、労働などの分野からなる北海道感染症対策有識者会議において、こうした道の対応について検証を進めている中、新たな感染症危機が生じ、社会経済活動が停滞した場合には、その影響を大きく受ける生活困窮者の方々に対する速やかな支援を国に要望すべきなどといった意見をいただいているところ。

 また、アンケート調査を通じ、事業者や生活困窮者などへの支援策について、道民や市町村、団体からも幅広く意見を伺っているところであり、こうした調査結果をきめ細かく分析するなどしながら、しっかりと検証を進めていく。

Q木葉議員 道内で初めて感染が確認された2年1月28日から5類移行前の5年5月7日までに、新規の陽性者は136万3137人と全国で9番目に多く、亡くなった方は4610人と全国で3番目に多い。幾度も感染拡大と収束を繰り返しながら、医療の逼迫を招いた。

 こうした教訓を踏まえれば、広域分散型の地域性を持ち、医療資源が偏在する本道においてつぎの感染症が発生した際、様々な事情から自宅等で療養せざるを得なくなった場合等にも、必要な医療が受けられる体制を整備する必要がある。知事の考えを伺う。

A鈴木知事 新興感染症等への対応について。本年度、道が策定する感染症予防計画には、国の基本指針等に基づき、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえつつ、新興感染症等の発生・まん延時における取組として、自宅療養者等に対し、往診や電話診療、オンライン診療や訪問看護などによって、適切な医療が提供できるよう、医療体制の確保についても盛り込むこととしている。

 このため、道としては、計画策定に当たって、医療機関や関係団体などで構成する北海道感染症対策連携協議会や、新型コロナへの対応を検証している北海道感染症対策有識者会議の意見も伺いながら、新興感染症等の感染状況に応じ、在宅医療も含めた医療提供体制が平時から確保できるよう、しっかり検討を進めていく。

Q木葉議員 中高生を対象としたアンケートや、3年7月に中高生と意見交換を行ったとの答弁があったが、このアンケートや意見交換は、検証に向けたアンケート、意見交換ではない。5類移行前のもので、それをもって、検証に向けた子ども、若者の声とはならないのではないか。

 また、検証に向けては、コロナ禍でかけがえのない青春時代を過ごした子ども自身の率直な声を聞くことが重要ではないか。

 なおみちカフェのように膝詰めで、知事自身が子ども、若者と向き合い、その思いを聞く場面があっても良いのではないか。

 こうした方々と話す場を持つべきだと考えるが、知事の所見を伺う。

A鈴木知事 新型コロナウイルス感染症による影響を受けた方々の意見などについて。道では、これまで、中高生との意見交換の実施をはじめ、有識者会議において、子どもたちや生活困窮者、ひとり親世帯の方々への影響や支援策などについて意見を伺ってきたところ。

 また、アンケート調査などによって、道民や市町村に加え、教育や福祉の分野、女性活躍を推進している団体などからも幅広く意見をいただいている。

 今後とも、様々な機会を通じて、子どもや若者たち、女性など、新型コロナによる影響を受けた多様な方々の声を伺いながら、つぎの感染症危機への備えなどに生かしていく。

◆障がい者雇用

Q木葉議員 教育庁において、道教育委員会障がい者活躍推進計画を策定し、障がい者雇用の促進に向け、正規職員の採用や道立学校に非常勤職員として環境整備員を配置するなど、取組を行っているが、直近の教育庁における障がい者雇用率は、目標の2・5%をやや下回る2・46%である。

 教育庁は、今後の障がい者実雇用率を確実に上げ、目標を達成する必要があると考えるが、現状の課題認識と今後の取組方針について伺う。

A倉本教育長 障がいのある方の雇用などについて。障がいのあるなしにかかわらず、誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、自立した生活を送ることができる社会の実現は重要であり、教育現場において児童生徒の身近に障がいのある教職員がいることは、共生社会に関する自己の考えを広げ深めるなどの教育的意義も期待されるところ。

 道教委では、これまで、実習助手や非常勤職員への採用、教員や事務職員の採用における特別選考の実施などに取り組んできているが、雇用の大部分を占める教員については、小学校において一人の教員が大半の教科を担当していることなどの業務の特性や、教職課程で学ぶ障がいのある学生の数が少ないことなどから、採用が進んでいないことが課題となっている。

 このため、今後とも、採用職種の拡大を検討するとともに、障がい者活躍推進計画に基づき、障がいのある方が働きやすい職場環境づくりに努めるほか、教員などへの志望意欲を喚起するため、道内各地で活躍する障がいのある職員からのメッセージを紹介するなどして、雇用の促進に取り組んでいく。

(道議会 2024-01-29付)

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