道視研が函館盲で研究大会　通いたいと思える学校に　個々に応じた指導・支援探究

（関係団体 2023-11-24付）

全道視覚障害教育研究大会

　【函館発】道視覚障害教育研究会（野戸谷睦会長）は１６日から２日間、函館盲学校（井上敬校長）で教育研究大会を開催した。研究主題「視覚に障がいのある幼児児童生徒の一人ひとりのニーズに応じた指導・支援の在り方の探究～個別最適な学びと協働的な学びの観点からの学習活動の充実」のもと、公開授業や分科会、教科等指導サークル研修を実施。視覚障がい教育に携わる道内の教職員約６０人がオンラインまたは参集で参加し、専門性を高める指導力の向上を目指した。

　初日は同校の自立活動、生活単元学習、作業学習、国語科、音楽科の授業を公開。うち中学部音楽科では池田サラジェーン教諭が弱視生徒１人を指導。コロナ禍や生徒数の少なさによって複数のパートで歌う機会が少なかった課題を踏まえ、自らも合唱に取り組んだ。生徒が曲想や歌詞の内容にふさわしい表現ができるよう、伴奏支援やＩＣＴによる動画撮影などの工夫を取り入れた。

　小学部の自立活動では、堀内千加子教諭が全盲児童１人を指導。普段車いすを使用している児童の体調に応じて、立位の運動やストレッチ、膝立ちの姿勢などを取り入れるなど、本人の思いをくみ取った授業を展開した。

　公開授業後に行われた開会式で野戸谷会長は、学校教育法の改正に伴う特別支援教育への変換によって、平成１９年度以降在学者の減少が進んでいる状況を説明。入学者数が増えている国内の視覚支援学校の事例を紹介し「専門性の高い学校や子どもが“通いたい”と思える学校の基盤づくりには、常に指導力の向上を目指し、発信し続けることが重要。大会を通して全道のつながりを深め、視覚支援教育の充実を次段階へ押し上げていこう」と呼びかけた。

　大会長を務める井上校長は「主管校として精いっぱい務めていく」と決意。来賓あいさつでは山下幹雄渡島教育局長が、大会の成功を祈念し祝辞を述べた。

　参加者は国語、音楽、技術・家庭、自立活動、地域支援の５部会および分科会で公開授業を振り返るとともに、子どものニーズを的確に捉えるための指導の工夫を協議。２日目には教科等指導サークル研修を開き、さらなる研鑚を深めた。

(関係団体 2023-11-24付)