道高教組と道教組 賃確交渉で声明 諸要求実現へ全力奮闘 欠員解消や再任用手当支給を
(関係団体 2023-11-22付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(中村哲也執行委員長)は15日、賃金確定教育長交渉に係る声明を発表した。人事委員会勧告に基づいた月例給・一時金の引き上げについては、物価高騰下を踏まえ「生活改善にはほど遠いと言わざるを得ない」と指摘。夏季休暇日数の拡大実現を評価しつつ、欠員解消や超勤縮減、再任用職員の手当支給に向けた改善が見られなかったことを示し「労働環境整備の諸要求実現へ、全力で奮闘する」とした。概要はつぎのとおり。 

 道高教組・道教組は15日、賃金確定教育長交渉を行った。私たちは、3回にわたる交渉で、全道から寄せられた署名や学校現場からの悲鳴に近い切実な要求をも伝えながら、子どもの教育条件としての教職員の労働条件の改善を求めてきた。

▼賃金確定交渉結果

 賃金確定交渉においては、月例給・一時金ともに人事委員会勧告どおり、月例給は大卒程度初任給で1万1000円をはじめ平均0・99%引き上げ、若年層に重点を置きながら全ての給与表を改定することとした。一時金は0・1月引き上げ国並みの4・50月(再任用は0・05月)とした。しかし、異常な物価高騰下における実質賃金の目減りは著しく、生活改善にはほど遠いものと言わざるを得ない。

 また、これまで期末手当しか支給されず、報酬額や諸手当をはじめとする処遇面や休暇制度で正規職員と大きな格差が生じていた会計年度任用職員に対し、給与改定は本年度4月からの遡及とし、勤勉手当が来年度から支給されることとした。会計年度任用職員の待遇改善が実現したことは運動の成果であるが、一般職非常勤職員が取り残されたことは大きな問題である。正規職員と同様に懸命に働きながら非常勤であることで大きな格差が生じていることは、一般職非常勤職員も同様である。これからもこの問題で当局を追及していく。

▼夏季休暇拡大

 夏季休暇の日数が3日から5日へ拡大し、使用可能期間が前後1月広がって6月から10月までの期間内となった。この夏季休暇の日数については、私たちは、他自治体は多くが5日としていることを示しながら長年要求してきたことであり、「国が3日」であることを理由に実現してこなかった休暇の拡大が、ようやく実現した。これを機に、道職員・教職員からの要求が大きくありながら「国の状況から見て困難」との回答を繰り返している両立支援制度の拡充を、道・道教委は国の基準を超えて実施すべきである。

▼欠員解消

 欠員の解消について教育長は「必要な人材を確保していくためには、学校を“働きがい”と“やりがい”を両立させていくことが重要」と述べ、「教員を志す方々にとって魅力ある職場となるよう働き方改革を進める」とした。しかし、働き方改革が現場の実感を伴っていないことや、学校ホームページ、校内サーバーの更新作業を教員に丸投げするなどの結果、「働きやすさ」も「やりがい」も感じられない忙しさが職場を覆っていることを指摘せざるを得ない。

 また、超勤縮減についても「働き方改革を進めるには「教員一人ひとりが“変わってきた”という実感を持つことが重要」と述べている。しかし、教員の声を聞き取る仕組みがない現状では超勤縮減も不可能であり、どのように教員一人ひとりの実感を把握するのか具体的な方策が求められる。

 教員を増やすことに関しても「支援スタッフの活用」としか触れられず、私たちの切実な要求に背を向ける回答のみであった。

▼手当支給

 再任用職員の寒冷地手当やへき地手当の支給に関しては、「国の動向を注視しながら」と冷たい回答であった。再任用の任用率は高校教員で希望者に対して73%であり、この異常に低い任用率を高めるために人事異動要綱の柔軟な適用、欠員を解消するための再任用職員の扱いなどの方策を求めてきたが、何ら改善しようとする意思が示されなかった。

 道教委は任用率の低さを個人の任地等の希望の問題とするのではなく、再任用制度は雇用と年金の確実な接続を実現するため使用者に課された「義務」という認識にたち、賃金水準・生活関連手当の改善を含め抜本的な制度改善に努めるべきである。

▼諸要求実現へ

 今回の賃金確定交渉において、道・道教委には「国から独立した団体」であるはずの地方自治体としての主体性はまるで見えなかった。地方公務員法などの法令にしばられることもやむを得ない部分があるとはいえ、道教委はまず本道の地域性や本道の子ども・教職員の実態を踏まえるべきである。

 文部科学省の調査では、2022年度小・中学校の不登校児童生徒数が前年度を5万人以上上回って約29万9000人、小中高の児童生徒の自殺者数が514人と、どちらも過去最多となっていることが明らかになった。私たちの労働条件は、子どもたちのいのちと安心・安全を守る教育条件でもある。そのために全国の公務・民間の労働者や、地域・保護者との共同の運動をより一層広げていくことが求められる。

 今後は、定員教育予算交渉等において欠員の補充、長時間過密労働の解消、再任用制度の改善、休暇の改善やハラスメント防止などを求め、労働環境整備の諸要求の実現に向け、ともにたたかいに立ち上がることを広く呼びかけながら、全力で奮闘する決意である。

(関係団体 2023-11-22付)

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