帯広柏葉高で十勝ICTサミット 授業内外で学び連続を 千歳科技大・小松川教授講演など(学校 2023-12-01付)
十勝ICTサミット
【帯広発】十勝ICTサミット兼ICT管内コンソーシアム協議会が11月21日、帯広柏葉高校(須藤克志校長)を主会場に開かれた。オンラインを含め、小・中学校、高校、特別支援学校等の教職員ら約150人が参加。講演や実践発表等を通して、授業における効果的な1人1台端末の活用に向けて研鑚を積んだ。
文部科学省事業「リーディングDXスクール事業」の指定を受けている帯広柏葉高は、十勝教育局と連携して「十勝ICT授業推進プロジェクト」を進めている。
取組の一つとして管内全高校の教員で構成する「十勝ICT推進委員会」を立ち上げ、管内全体のICT活用の充実に向けて連携を図っている。
十勝ICTサミットは4年度、高校教職員を対象に初開催。「管内全校種によるICT活用の促進が重要」との視点から、今回は委員会内で企画内容を検討し、小・中学校、高校、特別支援学校等の全校種を交えて開催した。
この日、須藤校長は開会に当たり「この研修を始まりと捉え、管内全体で“とかちDX”を実現していきたい。ICT活用に向けた意識向上につながれば」と期待を寄せた。
続いて、十勝局高校教育指導班の伊藤宇飛指導主事がリーディングDXスクール事業の概要や指定校の取組を説明。帯広柏葉高に関しては、授業や家庭学習等における端末活用状況の把握、授業・校務の効果的な活用に向けた教員研修などの取組を紹介した。
講演では、千歳科学技術大学理工学部の小松川浩教授が講師を務めた。
生成AIが発達する中、「AIと子どもが学習できることの差が、学びの本質につながる」とし、問題発見・解決能力の育成が子どもの学習に必要となることを説いた。OECDが示す学びの定義から、学習者を「エージェンシー」、教師を「共同エージェンシー」と位置付け、学習者一人ひとりが「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)」と呼ばれる学習の目的・過程を組む重要性を説明。学びの羅針盤は基礎能力とともに創造力等を育む個別最適な学びにつながるため、効果的なICTの活用が必要となることを伝えた。
学習者が自律的に学習過程を創り出す中で、個別最適な学びを実現するための教師の役割として「学びの質を高める主体的・対話的学習のための授業設計」「学びの量を高める情報の共有・可視化を通じた学習支援」の2点を挙げた。端末の持ち帰り学習に関しては「授業内外で学習を連続させることで学びを深めることが重要」とし「目的を明確にしてICTを活用してほしい」と呼びかけた。
また、学習者自身の変容を軸に据えた「インストラクショナルデザイン」、対面授業と家庭学習を効果的につなぐ「反転授業」など、多様な授業形態を紹介。カリキュラム・マネジメントや働き方改革、校種を横断した学び、保護者に対する教育活動への理解促進など、ICT活用のさらなる充実に必要な観点を示した。
講演後、各校種の実践を発表したあと、校種を交えて研究協議を実施した。
(学校 2023-12-01付)
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