江差小が公開研究会 「精査・解釈」過程を披露 6年国語 筆者の主張深める
(学校 2023-11-22付)

江差小公開研究会
江差小公開研究会

 【函館発】江差町立江差小学校(谷口光伸校長)は15日、同校で公開研究会を開いた。「読むこと」の領域で筆者の主張を読み取り、友人と考えを広げ、深める力を身に付けさせる指導を研究。6年生国語科の授業公開では、単元を通して得た「知識・技能」を「思考力・判断力・表現力」の向上につなげる「精査・解釈」の学習過程を披露した。

 研究主題は「自らの読みを深め、自分の考えを表現し、ねばり強く学び続ける子どもの育成~叙述に即した読みの工夫を通した“読むこと”の指導工夫改善」。

 CRT調査の結果から詳細を読み取り解釈することが苦手な児童の傾向を踏まえ「確かな読みの手だて」を支援する研究を進めてきた。

 指導改善に向けて、低・中・高学年ごとに「構造と内容の把握」「精査・解釈」の指導事項を確認。思考・判断・表現力に重きを置いた学習過程で児童の確かな能力の取得を目指している。

 研究会には檜山管内の教職員、共同研究校の道教育大学附属函館小学校の教職員計49人が参加。室塚陽子教諭が指導する6年生(児童数22人)国語科「“こころの世界”について考え、自分の考えを伝え合おう」の単元を授業公開した。

 児童は前時までに、文章や議論の冒頭に主題や要点を明確に示す「統括型」、文章の最後に結論を示す「尾括型」、統括型と尾括型を組み合わせた構造の「双括型」など論理的文章の要旨を捉える学習を進めてきた。

 本時では教材「ぼくの世界、君の世界」を扱い「事例を通した筆者の主張と論の進め方を考えること」を課題に設定。室塚教諭は個人の経験や価値観によって考えが異なる筆者の叙述として「甘みや痛み」「好きなアニメ」などを列挙。複数の事例を挙げることで、説得力のある論理展開となっていることを確認した。

 範囲を指定した本文の中で、筆者の主張を示す一文を読み取る課題を提示し、グループ学習に移った。

 児童は教材をデジタル化したロイロノート上に筆者の主張を電子マーカー等で記入。共同編集機能によって、友人の考えを可視化できる仕組みとなっている。児童らは印をつけた主張について「“結局”“つまり”と書かれているため」「尾括型は最後の文章が主張につながるから」などと意見を交流。互いの考えを踏まえ、グループで最終的な回答をまとめた。

 全体指導では、各グループの代表者が最も主張に近いと考えた一文を共同編集機能で一斉に記入。ある児童が「~だろうかで終わっている文章は主張に望ましくない表現だと思う」と発言したことを踏まえ、再度グループで正しい主張を考える時間を取った。

 デジタルサイネージで各グループが示す主張個所をあらためて確認。室塚教諭は解答を示し「正解や間違いに注目するだけではなく、根拠を持って説明し、他者と考えを深め合う過程が最も大切」と締めくくった。

 研究協議は、研究部長を務める宍戸暢宏教諭が研究概要を説明。参加者は室塚教諭の授業について「叙述を根拠として自分の考えを持ち、叙述を巡る自他との対話によって考えを広げたり深めたりする姿が見られたか」「ICTを有効的に活用することで児童の考えを広げ、学びの深まりにつなげることができていたか」の2点をテーマに討議した。

 助言者を務めた檜山教育局の井田昌之義務教育指導班主査は「児童が主体的に学びの地図を描く姿が見られ、単元を通してポイントを押さえた指導を図っている様子がうかがえる」と評価した。

(学校 2023-11-22付)

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