文科省 義務教育に関する意識調査 基礎・基本知識・技能 身に付けたい7割超 個性や特性に応じた指導望む声
(国 2023-12-14付)

表
義務教育終了時に身に付けておくべき能力・態度

 文部科学省は、義務教育に関する意識調査の結果をまとめた。教師、児童生徒、保護者を対象に子どもたちが義務教育を修了する時点で身に付けておくべき能力・態度や公立学校のあるべき姿などを調査。全ての調査で「基礎的・基本的な知識・技能」を身に付けておくべき・身に付けたいとの回答が最も多く、いずれも7割以上を占める。教師の子どもたちへの望ましい向き合い方について、保護者の半数以上が「一人ひとりの個性や特性に応じて指導の仕方を変えるべき」と答えた。

 調査は、義務教育や学校に期待されている役割、授業や学習スタイル、学校生活等について教師、児童生徒、国民の意識を調査することで義務教育における課題を把握し、中教審等における議論や今後の政策立案に当たっての参考とするもの。公立小・中学校の教師向け・児童生徒向けの教育関係者調査と保護者向けのウェブモニター調査を行った。

 教育関係者調査の対象は、全国の小・中学校(義務教育学校、中等教育学校前期課程を含む)から無作為に抽出。うち児童生徒向け調査は、小学1~3年生、小学4~6年生および中学生で別の調査票で実施した。

 教師向け調査をみると、自校や教育委員会の雰囲気について、8割以上が新たな指導法を取り入れるなどの新たな取組を積極的に行うべきと考える一方で、所属する学校や教育委員会の授業改善への取組については、6割以上が「一部のみの取組にとどまっている」と回答。

 また、所属する学校や教育委員会が新たな取組を後押ししてくれる雰囲気があると感じている教師は約1割にとどまった。

 公立高校のあるべき姿について問うと、9割以上が「子どもたちは先生や同級生等の他者と対面で関わり合うべき」「福祉的な支援が必要な児童生徒がいる場合、学校は病院や福祉事務所のような学校以外の機関と連携して対応すべき」などと回答した。

 学校における子どもたちの学習量、週当たりの授業時間について、約4、5割が「ちょうどよい」と回答している一方で、約半数が「多すぎる」「やや多い」と答えた。

 児童生徒向け調査では、全体の7割以上が「授業で学ぶことが、将来役に立つ」と感じており、学年が上がるほど割合が低くなる傾向にある。

 また、8割以上が「授業は、友達と一緒に学ぶことができて楽しい」と感じている一方で、約3割が、授業の内容が「難しすぎる」と答えた。

 保護者向けウェブモニター調査をみると、教師の子どもたちへの望ましい向き合い方について、半数以上が「全員に対して同じ指導をするよりも、一人ひとりの個性や特性に応じて指導の仕方を変える方が望ましい」、4割以上が「一人ひとりのできないところをできるように引き上げるよりも、一人ひとりの良さを徹底的に伸ばす方が望ましい」と回答した。

 公立の小・中学校に子どもを通わせている保護者の半数以上が、子どもが学校で基礎的な知識を身に付けること、楽しく過ごすこと、いろいろな分野に興味を持つことなどに期待する一方、良い成績を取ること、リーダーシップを発揮できるようになること、苦手な教科がなくなることに期待している保護者の割合は2割未満にとどまった。

(国 2023-12-14付)

その他の記事( 国)

札幌大通高など 1校1団体選出 文科省 キャリア教育優良表彰

 文部科学省は15日、第16回キャリア教育優良教育委員会、学校およびPTA団体等文部科学大臣表彰の受賞団体を決定した。道内からは学校の部で市立札幌大通高校(池田吉利校長)、団体の部で道教育大...

(2023-12-19)  全て読む

文科省 6年度予算案編成へ 教師の環境整備 最重点定数改善、支援員拡充など調整

 文部科学省は「教師を取り巻く環境整備の充実」を最重点項目として掲げ、6年度当初予算案の編成に向けた調整を進めている。小学校高学年における教科担任制の強化をはじめ、働き方改革の加速化、処遇改...

(2023-12-19)  全て読む

心の健康観察 6年度導入へ 人員確保含め検討必要 文科省会議で有識者意見

 文部科学省は15日、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開き、「ICTを活用した悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見・早期支援」のイメージを示した。パイロット校における導入までの...

(2023-12-18)  全て読む

文科省 端末共同調達イメージ 都道府県に会議体設置 6年度当初予算編成へ準備

 文部科学省は13日の第2回ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループで、第2期GIGAスクール構想に向けた端末の共同調達イメージを示した。2643億円の国費を投入して各都道府県に基金を造...

(2023-12-15)  全て読む

文科省 義務教育への意識調査概要 

表  義務教育意識調査結果のポイントはつぎのとおり。 ▼教師向け調査 ▽7割以上の教師が、子どもたちが義務教育を修了する時点で、基礎的・基本的な知識・技能を身に付けておくべきと考えており、学...

(2023-12-14)  全て読む

須見道特長会長ら3氏に 文科省 5年度教育者表彰

 文部科学省の5年度文部科学大臣表彰(教育者表彰)の受賞者として、道特別支援学校長会の須見千慶会長(道高等聾校長)、道小学校長会の森田智也会長(札幌市立北園小校長)、道中学校長会の野﨑均前会...

(2023-12-08)  全て読む

研修情報を登録・自動記録 新システム 4月稼働へ 年明けに説明動画公開

 文部科学省は4日の中教審初等教育分科会教員養成部会で、開発中の研修受講履歴記録システムと教員研修プラットフォームの概要を説明した。研修の申請、受講、修了判定、受講履歴の自動作成といった各種...

(2023-12-05)  全て読む

文科省 道内CS導入状況 173市町村 全校約7割 地学協働本部整備は47・3%

表  文部科学省は、5年度コミュニティ・スクール(CS)および地域学校協働活動実施状況調査結果を公表した。道内自治体の96・7%となる173市町村でCSの導入が完了。道立学校を含めた導入校数は1...

(2023-11-30)  全て読む

十勝管内 4年度児童生徒問題行動 いじめ、不登校増加 アンケートで発見 高い傾向 文科省調査

 【帯広発】文部科学省が実施した4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において、十勝管内ではいじめの認知件数、不登校児童生徒数が3年度より増加したことが分かった。い...

(2023-11-28)  全て読む

経産省 未来の教室実証事業 ベネッセなど4者決定 生成AIを学校に導入

 経済産業省は20日、「未来の教室」実証事業「生成AIを用いた教育サービス検証」の採択事業者を公表した。㈱ベネッセコーポレーションなど4者で、生成AIの学校現場への導入に向けた検証に着手する...

(2023-11-24)  全て読む