文科省 義務教育への意識調査概要 
(国 2023-12-14付)

表
学校における学習量、学校の授業で児童生徒が思うこと(クリックすると拡大表示されます)

 義務教育意識調査結果のポイントはつぎのとおり。

▼教師向け調査

▽7割以上の教師が、子どもたちが義務教育を修了する時点で、基礎的・基本的な知識・技能を身に付けておくべきと考えており、学習指導においても、7割以上の教師が基礎的・基本的な知識・技能をきちんと定着させることを特に大事にしている

▽8割以上の教師が、新たな指導法を取り入れるなど新たな取組に積極的に取り組むべきであると考える一方、所属する学校や教育委員会が新たな取組を後押しする雰囲気は、十分ではないという回答が半数以上である

▽7割以上の教師が、基礎的・基本的な知識・技能をきちんと定着させること、他者との関わりを通じて子どもの社会性を育むことが公立学校の役割として特に重要であると考えている

▽9割以上の教師が、子どもたちは必要な能力や態度を身に付けるため、先生や同級生等の他者と対面で関わり合うべき、福祉的な支援が必要な児童生徒がいる場合、学校は病院や福祉事務所のような学校以外の機関と連携して対応すべきと考えている

▽学校における子どもたちの学習量、週当たりの授業時間について、約4~5割の教師が「ちょうどよい」と回答している一方で、「多すぎる」または「やや多い」と回答した教師は、小学校で半数以上、中学校で4割以上

▼児童生徒向け調査

▽8割以上の児童生徒が、授業は友達と一緒に学ぶことができて楽しいと感じている一方で、約3割の児童生徒が、授業の内容が難しすぎると感じている

▽児童生徒の7割以上が授業で学ぶことが将来役に立つと感じ、6割以上が自分の毎日の生活と結び付いていると感じているが、そのように感じる児童生徒は学年が上がるほど少なくなる傾向にある

▽児童生徒の約6割が、授業で学ぶ量や週当たりの授業時間について「ちょうどよい」と感じている一方で「多すぎる」または「やや多い」と回答した児童生徒は中学校1年生、2年生で多く、4割以上

▽学校での勉強が「あまり得意ではない」または「得意ではない」と回答した児童生徒は小学校で約2割であるのに対し、中学校では約4割

▽学年が上がるほど、自分のペースで学びたいと考える児童生徒や、自分の好きな課題で学びたいと考える児童生徒が多い

▽学校生活を通じて身に付けたいこと、身に付いていると思うことはいずれも、基礎的・基本的な知識・技能という回答が最も多い

▽「失敗を恐れず挑戦する力」「相手に伝わるように自分の考えを表現する力」は、学校生活を通じて身に付けたいと考える児童生徒が半数以上であるのに対して、実際に学校生活を通じて身に付いていると思っている児童生徒は3割未満

▽7割以上の児童生徒が、学校に通うことは楽しいと感じている一方で、学校で勉強することは楽しいと感じる児童生徒は約5割で、学年が上がるにつれて減少する傾向にある

▼ウェブモニター調査

▽回答者の7割以上が、子どもたちが義務教育を修了する時点で、基礎的・基本的な知識・技能を身に付けておくべきと考えており、基礎的・基本的な知識・技能をきちんと定着させることは公立学校が果たすべき役割として特に重要であると考えている

▽公立学校が失敗をおそれず、新しいことにチャレンジすることについて、6割以上の回答者が肯定的に考えており、半数以上の回答者が、学校は多くの役割を抱え込みすぎていると考えている

▽7割以上の回答者が、福祉的な支援が必要な児童生徒がいる場合、学校は病院や福祉事務所のような学校以外の機関と連携して対応すべき、子どもたちは先生や同級生等の他者と対面で関わり合うべきと考えている

▽約6割の回答者が、学校における子どもたちの学習量、週当たりの授業時間について「ちょうどよい」と考えている。

▽半数以上の回答者が、国や地方自治体による公立小中学校への教育環境の整備や学習活動の充実に対する支出をもっと増やすべきと考えている。

▽教師の業務負担の軽減や、教師の在宅勤務(研修など)、小学校高学年における教科担任制、中学校における少人数学級、教師の給与水準の改善等について、半数以上の回答者が肯定的に考えており、6割以上の回答者が、教師が業務に集中できる環境づくりに係る各取組について肯定的である

▼3つの調査から分かること

▽教師、ウェブモニターのいずれも、義務教育修了時に子どもたちが身に付けておくべき能力・態度として、基礎的・基本的な知識・技能を挙げた者が最も多く、公立学校が特に果たすべき役割として、基礎的・基本的な知識・技能を定着させることを重視している。また、児童生徒も、学校生活を通じて基礎的・基本的な知識・技能を身に付けたいという回答が最も多い

▽教師、ウェブモニターは、子どもたちは先生や同級生等の他者と対面で関わり合うべき、福祉的な支援が必要な児童生徒がいる場合、学校は学校以外の機関と連携して対応すべきとの回答が多い点で共通している

▽学校における子どもたちの学習量や授業時間については、ウェブモニターや児童生徒の約6割が「ちょうどよい」と考えており、最も多い回答となっているが、教師では「多すぎる」「やや多い」と考える者の割合が最も高く、約5割となっている

(国 2023-12-14付)

その他の記事( 国)

こども家庭庁6年度予算案編成 子ども・子育て政策強化 幼児教育・保育の質向上など重点

 こども家庭庁は、異次元の少子化対策実現を図る「こども未来戦略案」を踏まえ、6年度当初予算案の編成に向けた調整を進めている。子ども・子育て政策の抜本的な強化を重点として、児童手当の抜本的拡充...

(2023-12-20)  全て読む

札幌大通高など 1校1団体選出 文科省 キャリア教育優良表彰

 文部科学省は15日、第16回キャリア教育優良教育委員会、学校およびPTA団体等文部科学大臣表彰の受賞団体を決定した。道内からは学校の部で市立札幌大通高校(池田吉利校長)、団体の部で道教育大...

(2023-12-19)  全て読む

文科省 6年度予算案編成へ 教師の環境整備 最重点定数改善、支援員拡充など調整

 文部科学省は「教師を取り巻く環境整備の充実」を最重点項目として掲げ、6年度当初予算案の編成に向けた調整を進めている。小学校高学年における教科担任制の強化をはじめ、働き方改革の加速化、処遇改...

(2023-12-19)  全て読む

心の健康観察 6年度導入へ 人員確保含め検討必要 文科省会議で有識者意見

 文部科学省は15日、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開き、「ICTを活用した悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見・早期支援」のイメージを示した。パイロット校における導入までの...

(2023-12-18)  全て読む

文科省 端末共同調達イメージ 都道府県に会議体設置 6年度当初予算編成へ準備

 文部科学省は13日の第2回ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループで、第2期GIGAスクール構想に向けた端末の共同調達イメージを示した。2643億円の国費を投入して各都道府県に基金を造...

(2023-12-15)  全て読む

文科省 義務教育に関する意識調査 基礎・基本知識・技能 身に付けたい7割超 個性や特性に応じた指導望む声

表  文部科学省は、義務教育に関する意識調査の結果をまとめた。教師、児童生徒、保護者を対象に子どもたちが義務教育を修了する時点で身に付けておくべき能力・態度や公立学校のあるべき姿などを調査。全て...

(2023-12-14)  全て読む

須見道特長会長ら3氏に 文科省 5年度教育者表彰

 文部科学省の5年度文部科学大臣表彰(教育者表彰)の受賞者として、道特別支援学校長会の須見千慶会長(道高等聾校長)、道小学校長会の森田智也会長(札幌市立北園小校長)、道中学校長会の野﨑均前会...

(2023-12-08)  全て読む

研修情報を登録・自動記録 新システム 4月稼働へ 年明けに説明動画公開

 文部科学省は4日の中教審初等教育分科会教員養成部会で、開発中の研修受講履歴記録システムと教員研修プラットフォームの概要を説明した。研修の申請、受講、修了判定、受講履歴の自動作成といった各種...

(2023-12-05)  全て読む

文科省 道内CS導入状況 173市町村 全校約7割 地学協働本部整備は47・3%

表  文部科学省は、5年度コミュニティ・スクール(CS)および地域学校協働活動実施状況調査結果を公表した。道内自治体の96・7%となる173市町村でCSの導入が完了。道立学校を含めた導入校数は1...

(2023-11-30)  全て読む

十勝管内 4年度児童生徒問題行動 いじめ、不登校増加 アンケートで発見 高い傾向 文科省調査

 【帯広発】文部科学省が実施した4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査において、十勝管内ではいじめの認知件数、不登校児童生徒数が3年度より増加したことが分かった。い...

(2023-11-28)  全て読む