官民連携で資源活用を 部活動地域移行へ道教委 石塚氏 財源確保など先行事例も(道・道教委 2023-12-21付)
講演する石塚氏
道教委は19日、道庁本庁舎で部活動地域移行官民連携セミナーをオンライン開催した。スポーツデータバンク㈱代表取締役の石塚大輔氏が「学校部活動と地域スポーツの発展と地域経済とのかかわりとは?」と題して講演。部活動の地域移行に先行的に取り組む沖縄県うるま市の取組を紹介したほか、地域や民間企業が保有する資源を活用・共有して新たな産業を構築するビジョンを示し、本道の官民連携の方策を探った。
部活動の地域移行に向けて自治体と企業の連携方法を研究する初の試み。企業、市町村教委、スポーツ・文化関係団体などから100人以上が参加した。
はじめに道教委が部活動の地域移行の目指す姿や課題を説明。企業等からの寄付や人的支援を得て、道内各地で官民連携を促進する「Do―START」構想を示した。
続いて石塚氏が講演。うるま市の取組として、オンラインによる指導者の研修・認証制度やICTを活用した学校体育施設管理体制を紹介した。企業版ふるさと納税の活用や応援基金の造成など運営団体の財源を確保する様々な手法も例示。部活動の地域移行が段階的に進む中、保護者の負担や地域の環境に応じ、安定的な運営を模索する必要性を示した。
地域のスポーツ振興や市場創造にもつながる事例として東京都日野市の取組を紹介。地域・民間が保有する多様な資源を活用して新しい産業を広げる可能性に触れ「民間事業者にとってはビジネスチャンスとなり、新たな産業として可能性を広げることができる。前例のない地域クラブのモデルをつくるにはそれぞれのノウハウの共有が非常に重要」と述べた。
続いて部活動改革推進課の田口範人課長とのトークセッションを実施。実態調査を通して子どもたちの多様なニーズを把握する必要性が挙がり、石塚氏は「地域によってはけん玉や料理など部活動にない種目も。無数に広げると受け皿や財源の問題も出るがニーズに応える姿勢が大切」、田口課長は「子どもたちのニーズをもとに新しい環境をつくるチャンス。これまでの発想にとらわれることなく柔軟に考えることが必要」と述べた。
地域の様々な主体が関わりを深める中、第三者となるコーディネーターを配置する大切さも確認。石塚氏は北海道を応援する企業・団体で構成する「ほっかいどう応援団会議」の存在の大きさに触れ「アドバイザーやコーディネーターがフォローし、それぞれの強みを生かす体制を運用できれば地域移行は一層進むだろう」と予見した。
質疑応答では、広域連携を進めるポイントとして石塚氏は、経済圏、利便性、地域の目標を踏まえ、自治体規模にこだわらず考えることが大切とし、教育局による支援体制や移動手段を確保するための企業や福祉連携の重要性を説いた。
(道・道教委 2023-12-21付)
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