Pick Up2023 第10回 留萌・宗谷(道・道教委 2023-12-21付)
教職員の効果的な活用が求められる
留萌局 総探の充実に向けて
高校における総合的な探究の時間を巡っては「学校によっては探究学習の引き出しがないこともある」(教育関係者)など、課題が散見される。留萌教育局では、生徒たちの探究力向上を主眼に前年度から管内高校と北海道大学が連携し、留萌管内高校・北海道大学SDGs・ゼロカーボンプロジェクトを実施。本年度は、局独自に探究学習指導方法研修会を開くなど、教員の指導力向上に資する取組を展開している。
◆ゼロカーボンP 北大と高校が連携
プロジェクトには、留萌高校、羽幌高校、天売高校、遠別農業高校の生徒が参加。プレワークショップでは、北大教授が各校のテーマに沿った専門分野に関する講義を行った。生徒たちは他分野の講義から知見を得て探究内容を変更するなど、柔軟な思考力やより深い探究を試行する意欲の向上につなげた。
こうした刺激を受けたのは、生徒たちだけではない。羽幌高の今泉恒平教諭は「データを踏まえた考察が難しいと考える生徒がいることをあらためて実感した」と話す。データの分析やアンケートの活用などに係る指導の在り方について「調査の手法を生徒たちに落とし込めるようにしたい」と力を込める。
局では、教員が生徒たちの探究学習の進捗状況を振り返る打ち合わせにおいて「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の4つの過程を繰り返して実施できるようアドバイスした。
◆指導の深まり期待 局独自に研修会
また、本年度から局独自事業として探究学習指導方法研修会を実施。児童生徒の探究学習の充実を図り、学習意欲を引き出すため、校種別での指導方法などについて説明するなど様々な取組を展開している。
局の担当者は取組を通して先生方の指導力向上のみならず「学校での探究学習の深まりに向けた検証・改善につながっているのでは」と話している。
稚内市 ICT環境整備の動向
◆授業効率化求める
稚内市教育研究所は6月、市内小・中学校の教諭・管理職を対象にしたICT活用状況等を調査した。
授業で5割以上活用している割合は小学校で27・8%、中学校で51・8%。ベネッセ教育総合研究所が4年度に全国の教職員を対象に実施した調査によると、小学校の81・2%、中学校の78・2%が5割以上の授業で使用。小中共に全国平均から大きく引き離されていることが明らかになった。
管理職の回答をみると「学習ツールやソフトの整備」を求める意見は、小学校で90%、中学校で71・4%に。「市内では授業の効率化を図るアプリやドリルが全市一律で導入されていない」などの意見もあり、ICT環境の整備が進んでいるとは言い難い状況にある。
◆AIドリル試行 指導の充実期待
市のICT環境整備を推進するため、教職員や市教委職員で組織する稚内市学校教育情報化推進検討委員会は、指導支援アプリや学習支援ソフトの早期導入を市教委に提案。10月、全児童生徒の端末にロイロノートとAI型ドリルを試行導入した。
検討委員会の吉﨑健一委員長は「AI型ドリルは、児童生徒が使用している時間や得意・不得意など明確に可視化することができる。一人ひとりに寄り添った指導につなげられる」と期待する。
効果的な活用に向けては、教職員への研修やフォローアップも重要。「教員が理解していないものを使用しても、子どもの成長にはつながらない。アプリやソフトを支援ツールとして、適切な指導・支援にどうつなげるかを考えなければいけない」と、教員が学びを深める機会の確保を求める。
◆6年度本格導入へ
AI型ドリルは、今回の冬季休業終了まで3社のドリルを試用し、費用対効果や使用感を総合的に判断する。
その上で、市教委は6年度からロイロノート、AI型ドリル、校務支援システムを全小・中学校に導入する予定だ。
検討委員会では、アプリの導入を見通した教員研修や情報共有に向けた検討を計画している。
(道・道教委 2023-12-21付)
その他の記事( 道・道教委)
道産業教育審が第1回会合 13年ぶりに調査実施へ 専門委設置し内容等検討
第29期道産業教育審議会の第1回会合が20日、道庁別館で開かれた。第28期審議会の答申を踏まえ、平成22年以来13年ぶりに高校の産業教育の充実に関する調査を実施することを確認。専門委員会を...(2023-12-22) 全て読む
教員の魅力知って 道教大函館で志願者セミナー 教員が実体験など講話 道教委
【函館発】道教委は15日、道教育大学函館校で教員志願者セミナーを開いた。道教委の職員や学校現場で働く教員が講師を務め、近年の教育情勢や実体験から見える教員の魅力をアピール。教職を志す学生ら...(2023-12-22) 全て読む
道労働局 新規学卒者の離職状況 高・短大・大卒で増加 宿泊・飲食業等が高い傾向
道労働局は、道内の新規学卒者の離職状況を公表した。令和2年3月卒業者が3年以内に離職した割合は、高卒が43・9%、短大等卒が43・7%、大卒が35・7%。いずれも前年よりやや増加した。産業...(2023-12-22) 全て読む
道教委 健康教育推進研(胆振・日高) 給食は「食育」の時間 組織加えシステム化がカギ
【苫小牧発】道教委は18日、苫小牧市民会館で健康教育推進研究協議会(胆振・日高会場)を開催した。東京都調布市立深大寺小学校の濱松章洋校長が「給食は食育の時間です~学校全体で進める食に関する...(2023-12-22) 全て読む
官民連携で資源活用を 部活動地域移行へ道教委 石塚氏 財源確保など先行事例も
道教委は19日、道庁本庁舎で部活動地域移行官民連携セミナーをオンライン開催した。スポーツデータバンク㈱代表取締役の石塚大輔氏が「学校部活動と地域スポーツの発展と地域経済とのかかわりとは?」...(2023-12-21) 全て読む
道立生涯学習推進センターが研修会 情熱を持って指導を 日高青少年の家・石山氏招き
道立生涯学習推進センター(伊藤直人所長)は14日、第3回社会教育スキルアップ研修会を開いた。国立日高青少年自然の家主任企画指導専門職の石山浩幸氏が「参加者がなぜか動きたくなるテクニック~コ...(2023-12-20) 全て読む
教員採用選考を早期化・複線化 道・札幌市で特別検査開始 出願者9割が大学3年生
道教委・札幌市教委は17日、教員確保に向けた初の試みとして、7年度公立学校教員採用候補者選考の前倒し選考を札幌西高校と市立札幌開成中等教育学校で実施した。当初の想定を上回る1173人が参加...(2023-12-20) 全て読む
道特別支援教育振興協が研修会 誰一人取り残さない 生徒指導等で日大・藤平教授
道特別支援教育振興協議会(会長・大石正行鶴居村長)は14日、札幌市内の第二水産ビルで本年度第1回研修会を開いた。日本大学文理学部の藤平敦教授が「特別支援教育と生徒指導」をテーマに講義。生徒...(2023-12-20) 全て読む
道教委 5年度就業状況調査 就職者 休日取りやすく 企業側の回答傾向と相違
道教委は、5年度就業状況調査の結果をまとめた。離職者が、早期離職を防ぐために会社が取り組んだら良いと思うものについて「休日を取りやすくする」が10・7%で最多。一方で、企業側は、早期離職防...(2023-12-20) 全て読む
釧路局 ASIRUオンラインPG 学びのプロセス明確に NITS動画等で意見交換
【釧路発】釧路教育局は11月中旬、「ASIRU Online Program」をオンライン開催した。管内の幼稚園、小・中学校、高校や教育委員会職員を対象とした独自事業で、事前視聴した教職員...(2023-12-19) 全て読む