道特別支援教育振興協が研修会 誰一人取り残さない 生徒指導等で日大・藤平教授(道・道教委 2023-12-20付)
道特別支援教育振興協議会(会長・大石正行鶴居村長)は14日、札幌市内の第二水産ビルで本年度第1回研修会を開いた。日本大学文理学部の藤平敦教授が「特別支援教育と生徒指導」をテーマに講義。生徒指導の3層構造「事後対応」「初期対応」「未然防止」について解説し、生徒指導の対象者を明確にして働きかける必要性を説いた。
研修会は、特別な教育的支援を必要とする幼児児童生徒への指導や支援の充実に向け、管理職等の資質向上を図ることがねらい。
この日は、市町村立学校・道立学校に勤務する管理職や市町村教委の職員ら、オンライン参加を合わせて418人が参加した。
開会に当たり、同会の役員を務める松野哲岩見沢市長があいさつ。いじめ重大事態の件数や長期欠席者数、自殺児童生徒数が増加している状況に触れ「子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握し、生活や学習上の困難を改善・克服するため、適切な指導や必要な支援を行う特別支援教育の視点を持った学校経営が重要になる」と指摘。その上で、同会として、多様な背景を持つ子どもの自立と社会参加を見据えた各学校の取組をサポートし、全ての子どもが共に地域で生活する仲間として、安心して暮らせる地域社会を引き続き目指していく考えを示した。
続いて、藤平教授が「特別支援教育と生徒指導~誰一人取り残さない学校経営の実現に向けて」と題して講義した。
藤平教授は、昨年12月に改訂された生徒指導提要に触れ、生徒指導の3層構造として「事後対応」、兆候が見られる児童生徒のみを対象とした「初期対応」、全ての児童生徒対象の「未然防止」の3つを紹介。また、未然防止は「教育的予防」と「治療的予防」の2つに分けられることを示し、初期対応と未然防止を明確に分ける必要性を説いた。
また、問題が起こりにくく、落ち着いた学習環境が維持できている学校の共通点として「情報と質と流れが良好で課題が共有されている」「指導方針が現状と課題を踏まえている」「一部の教職員のみに負担が偏っていない」などを提示。その上で、ポイントとして①情報把握②目的の明確化③家庭や関係機関等との連携―の3つに整理した。
このほか、裁判事例をもとに、学校と保護者との意識のずれや教師のつまずきの原因、管理職の意識と行動の在り方などを考える協議を展開した。
(道・道教委 2023-12-20付)
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