渡島局 高卒者の早期離職防止へ 企業と高校教員が交流 つながる場増やし取組本格化(道・道教委 2024-02-13付)
採用担当者と名刺交換する教員ら
【函館発】高校卒業者の就職内定率が高い水準を示す一方で、3年以内の早期離職率の高さが全道的に課題となっている。採用時のミスマッチ増加の懸念を防ぐため、渡島教育局は渡島総合振興局と連携し、地元企業と高校教員による交流の場を企画。人手不足で悩む企業と管内高校・特別支援学校のマッチングを図り、生徒により多様な選択肢を与えることができる環境の構築を目指す。次年度からは道予算を活用し、企業と学校がつながる場を増やすなど取組を本格化させていく見通しだ。
道労働局の調査によると、5年度3月新規高卒者の就職内定率は91・7%と年々上昇傾向にある一方、2年度新規高卒者の3年以内の早期離職率は43・9%。他自治体と比較すると高く、人材の定着率が課題となっている。
近年はコロナ禍からの経済状況の好転や人手不足の影響もあり、企業の採用意欲は旺盛。一方、高校生の就職活動は学校の推薦状によって応募するため1人1社制が原則となっており、大卒者のように他者と比較しながら就職活動を行うことができない実情がある。各校では進路指導担当教諭を中心に生徒のニーズ把握に努めるとともに、事前に業界や企業文化を知る機会が必要とされている。
こうした課題解決に向け、渡島教育局と渡島総合振興局は7日「高校×企業との交流会in渡島」を開催。管内高校・特別支援学校の進路担当教員23人と地元企業の採用担当者24人が参加し、生徒が企業を選ぶ際の視点や高校の進路活動、企業が求める人材について相互理解を図った。
参加者は運輸業、製造業、宿泊業、建設業の業界別ブースで、希望職種が決まらない生徒に対する対応や各企業で離職につながった実態などをざっくばらんに交流。「郡部の高校から函館市内の企業への就職を希望する生徒が一定数いる。社員寮はあるか」「地元就職を希望する生徒の割合はどのくらいか」などと互いに質問し合った。
松前高校で進路指導を担当する古川貴志教諭は「企業と関わる機会はインターンシップの受け入れ調整や卒業生の情報などに限られており、採用担当者から直接業界の話を聞ける場は少ないのが現状。函館市内の企業に就職を希望する生徒もいるため交流会を機にインターンシップの拡充など企業とのつながりを得られる機会が増えれば」と期待した。
宿泊業の採用担当者は「採用実績が多い高校だけではなく、特別支援学校で取り組んでいる教育活動も参考になった。学校へのヒアリングを通してミスマッチ防止に努めていきたい」と語った。
渡島教育局は次年度から振興局予算を活用し、企業と学校を仲介する場を構築する事業を展開する予定。深見亘教育支援課長は「業界のリアルを知る機会は現場だけでは限られている。今後は関係者がより深い話ができる機会を設定し、生徒にとって望ましい進路選択につなげていければ」と話している。
(道・道教委 2024-02-13付)
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