特別支援学校の教員派遣 要請先の自立支援が必要 道特長が調査研究まとめ
(道・道教委 2024-02-08付)

 道特別支援学校長会(須見千慶会長)は調査研究「インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援学校の役割」をまとめた。特別支援学校のセンター的機能の現状や課題、今後の期待などを調査。特別支援学校の教員を管内の幼稚園や学校に派遣する「パートナー・ティーチャー」が個別指導の充実や専門性向上に寄与する一方、「自立・自走」に向けた派遣要請先の体制充実に期待する声が上がった。

 調査研究は「特別支援連携協議会」「専門家チーム」「パートナー・ティーチャー派遣事業」など特別支援教育の充実に係る道教委の各事業の成果・課題等を明らかにし、地域の特別支援教育の充実に向けて特別支援学校が果たすべき役割や事業への期待などを整理したもの。

 調査対象は道立特別支援学校71校。各校の校長、副校長・教頭、コーディネーターの意見をまとめた。

 道教委が各管内で開催している特別支援連携協議会の成果は「関係機関との連携機会の拡大につながった」「個別の教育支援計画の作成率の向上につながった」などが多かった。

 課題は「個別の教育支援計画の活用の広がりにつながっていない」が多く、次いで「特別支援教育の体制の拡充に寄与していない」「特別支援教育に関わる研修の増加に寄与していない」が続き、インクルーシブ教育システム構築に向けたより実効性を高める会議体となる必要性を提起した。

 教育局から学校に委嘱されている「専門家チーム」では、管内の小・中学校等における特別支援教育への理解や関係機関との連携が深まっていることが分かった。

 一方、障がいの有無に関する判断や教育的対応に関する指導助言の必要性から、特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業との役割分担を求める声も上がった。

 特別支援学校の教員を管内の学校等に派遣する「パートナー・ティーチャー派遣事業」におけるコーディネーターの位置付けをみると、「専任」が38%、「兼任」が41%、「双方」が21%。派遣先は小学校が最も多く、中学校、高校、幼稚園と続いた。

 成果は「困り感を抱える幼児児童生徒の教育内容・方法の充実」が最多。次ぐ「担当者の専門性向上」を合わせると6割を占めた。

 課題は「人材育成への寄与」「校内支援委員会の活性化」が多く、派遣要請先の学校が「自立・自走」していくことを期待する意見が多かった。過疎地や小規模な団体では経験の少ない職員が担当せざるを得ないケース、人事異動等で担当者が毎年変更になるケースもあることから、新たな事業の在り方を含めた検討を期待した。

 同会では、調査結果を今後の本道における特別支援教育の充実に果たす特別支援学校の役割としてまとめ、次年度以降の施策要望につなげる考え。

(道・道教委 2024-02-08付)

その他の記事( 道・道教委)

「持続可能性」が鍵 地域クラブ活動推進協議会 蘭越町と中札内村が事例発表

 道教委は9日、札幌市内のかでる2・7で第2回地域クラブ活動推進協議会を開催した。蘭越町教委と中札内村教委が部活動の地域移行に向けた実践事例を発表。子ども・保護者のニーズを把握し、地域一体で...

(2024-02-13)  全て読む

渡島局 高卒者の早期離職防止へ 企業と高校教員が交流 つながる場増やし取組本格化

渡島局企業学校交流  【函館発】高校卒業者の就職内定率が高い水準を示す一方で、3年以内の早期離職率の高さが全道的に課題となっている。採用時のミスマッチ増加の懸念を防ぐため、渡島教育局は渡島総合振興局と連携し、地...

(2024-02-13)  全て読む

新しい学び授業力向上で最終報告会 協働的な学び等が充実 森町教委 家庭学習電子化も

森町新しい学び最終報告  【函館発】道教委の「新しいかたちの学びの授業力向上推進事業」の指定を受けている森町教委は6日、森町立森小学校で最終定例報告会を開き、本年度の事業成果と課題を振り返った。推進教員が児童と学校...

(2024-02-13)  全て読む

端末活用した授業づくりへ 映像版実践資料が完成 研修・教材研究に 道教委

 道教委は1人1台端末を活用した授業実践をまとめた映像版実践資料を作成し、関係者に限定公開した。「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実や主体的に学習を進めるポイントを紹介。日常の授...

(2024-02-09)  全て読む

マイスター・ハイスクール運営委 地域一体で職業教育 静内農高が研究成果報告 道教委

マイスターハイスクール運営委員会  道教委は2日、札幌市内の第二水産ビルを会場に第3回マイスター・ハイスクール運営委員会を開いた。委員13人が出席し、事業最終年度の静内農業高校(赤穂悦生校長)における実践研究の成果と課題等の...

(2024-02-09)  全て読む

部活動の地域移行実証事業 9都道府県を重点地域に 政策課題対応へ 5月以降決定

 スポーツ庁は地域スポーツ活動への移行に向けた実証事業の6年度実施方針を決定した。スポーツ・文化芸術環境の整備に先導的に取り組む「重点地域」として9都道府県程度を指定する予定で、財源や移動手...

(2024-02-07)  全て読む

道教委 特別支援代表校長会議 次年度の実践充実へ 各課所管事項説明など

特別支援代表校長会議  道教委は5日、札幌市内の道第二水産ビルで第2回特別支援学校代表校長会議を開いた=写真=。道特別支援学校長会の役員、専門部長、障がい種別校長会会長ら26人が出席。各課所管事項の説明を通して、...

(2024-02-07)  全て読む

自分事として問い 捉える場を 算数専科教員授業力向上セミナー 岩手大・佐藤准教授が講義 北斗浜分小

算数授業力セミナー  【函館発】道教委の地域連携研修兼渡島管内専科教員授業力向上セミナー(算数)が2日、北斗市立浜分小学校(沢田慶毅校長)で開かれた。授業公開のほか、岩手大学教育学部の佐藤寿仁准教授による講義・...

(2024-02-07)  全て読む

渡島局コンソーシアム協等の一環で 学習者主体の授業展開 道教委指定校が公開授業等

コンソーシアム協議会知内小  【函館発】渡島教育局主催の管内コンソーシアム協議会兼ICT環境・活用等連絡協議会の一環で、道教委指定事業を受けている管内の小学校、高校7校が1月下旬から今月上旬にかけて順次公開授業を実施し...

(2024-02-07)  全て読む

十勝局など 管内特別支援連携協等 本人の気持ちに寄り添い 体制充実へ実践発表や協議

 【帯広発】第2回十勝教育局管内特別支援連携協議会および第2回十勝障がい福祉計画等圏域連絡協議会十勝子ども発達支援部会が1月25日、十勝総合振興局を主会場に開かれた。オンラインを含め約40人...

(2024-02-06)  全て読む