渡島局コンソーシアム協等の一環で 学習者主体の授業展開 道教委指定校が公開授業等
(道・道教委 2024-02-07付)

コンソーシアム協議会知内小
コンソーシアム協議会知内小

 【函館発】渡島教育局主催の管内コンソーシアム協議会兼ICT環境・活用等連絡協議会の一環で、道教委指定事業を受けている管内の小学校、高校7校が1月下旬から今月上旬にかけて順次公開授業を実施している。各校種・教科では、1人1台端末を効果的に活用した実践発表のほか、渡島局の担当者を交えて学習者主体の授業について考えるシンポジウムを開催。7校のうち、ここでは知内町立知内小学校(栁澤満校長)と上磯高校(藤井浩之校長)の取組を紹介する。

◆知内小

 学校力向上に関する総合実践事業の指定を受けている知内小は1月31日、勝田洋一教諭が指導する5年生理科「電流が生み出す力」の単元を公開。「電流がつくる磁力についての事物・現象に進んで関わり、粘り強く他者と関わりながら問題解決しようとしている」を目標に「主体的に学習に取り組む態度」を見取る授業実践を発表した。

 勝田教諭が前時に設定した「電磁石には、どのような性質があるのだろうか」「電磁石を強くするには、どうすれば良いか」の2点の問いについて児童は関心のある問いを選択し、2グループに分かれて実験の方法と予想結果を考察。

 電磁石を強くする方法を選択したグループの実験で、児童は「電池を1個と2個の場合に分ける」「エナメル線の巻き数を多くする」などの方法を考案。異なる大きさのくぎを使用したり、同じ大きさのくぎを複数本用意したりして磁力の高さを比較した。

 実験結果は1人1台端末に入力し、グループや学級内で共有。個人で選択した実験方法をもとに、周囲の意見から学びを広げる学習環境を構築した。

 当日は管内の小・中学校、特別支援学校の教職員63人が参加。授業公開後のシンポジウムでは「学習者主体の授業について考える」をテーマに授業者の勝田教諭と渡島局の松本了祐義務教育指導班主査がシンポジストとして登壇した。

 松本班主査は本時について「児童が自分で課題を決めており、指導者が学習計画を立てる時間や様々な解決方法ができる場を設定している」「個人または複数で考えるフレキシブルな学習展開や互いの考えを共有・検討し合えるICTの活用ができている」と評価。「教師の役割は子どもたちの学習システムを設計する“授業のデザイン”」と述べ「学習指導要領に示された内容を子どもが“どのように学ぶか”の具体の姿として示したものが主体的・対話的で深い学びである」と説明した。

◆上磯高

 ICTを活用した学びのDX事業の指定を受けている上磯高は1日、種田寿代教諭が指導する芸術科の授業を公開。企業が商品のPRを目的にコマーシャル(CM)で流す「サウンドロゴ」について、音楽の特徴や印象付けたい内容を生徒に考えさせる授業を扱った。

 本時は音楽Ⅱ表現の単元のうち「知識・技能」「主体的に取り組む態度」の評価観点に該当する。

 種田教諭は生徒にとって身近なテレビCMソングを切り口に、音色や旋律から読み取ることができる商品のイメージについて質問。

 焼き肉のたれや洗剤のCMをスライドで紹介し、1人1台端末で音楽の特徴や企業が消費者に伝えたい意図を考えさせた。

 悩んでいる生徒に対しては「おいしそうに見えたか」「何人で焼き肉を食べていたか」などとCMから読み取れる特徴を尋ねるなど意見を引き出す声かけを実施。生徒は端末で「イ長調の音階で明るい印象」「洗剤のサウンドロゴは除菌ができる効果が短い秒数で理解できる」などと入力したあと、周囲と意見を交換した。

 種田教諭は印象に残るサウンドロゴについて「商品名が入っている」「なじみやすいフレーズ」と説明し、特徴を再確認。次時ではいくつかの商品をテーマに、グーグルの無料アプリケーション「サウンドメーカー」を使用してオリジナルのサウンドロゴを創作することを説明した。

 管内の小・中学校、高校、特別支援学校の教職員10人が参加した研究協議では、同校が各教科で進める1人1台端末を活用した授業について小田翼教諭が説明したほか、渡島局の深見亘教育支援課長が新学習指導要領とGIGAスクール構想の関係性についてあらためて解説。「個の表現力の育成や多様性社会の実現に向けては子どもたちが繰り返し挑戦したくなる機会を増やすべき」とした上で「校種・教科にとらわれず、子どもにとってどのような場面で1人1台端末を活用すれば効果的かを考えることが個別最適な学びと協働的な学びの充実や主体的・対話的で深い学びにつながる」と呼びかけた。

この記事の他の写真

コンソーシアム協議会上磯高校
コンソーシアム協議会上磯高校

(道・道教委 2024-02-07付)

その他の記事( 道・道教委)

マイスター・ハイスクール運営委 地域一体で職業教育 静内農高が研究成果報告 道教委

マイスターハイスクール運営委員会  道教委は2日、札幌市内の第二水産ビルを会場に第3回マイスター・ハイスクール運営委員会を開いた。委員13人が出席し、事業最終年度の静内農業高校(赤穂悦生校長)における実践研究の成果と課題等の...

(2024-02-09)  全て読む

特別支援学校の教員派遣 要請先の自立支援が必要 道特長が調査研究まとめ

 道特別支援学校長会(須見千慶会長)は調査研究「インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援学校の役割」をまとめた。特別支援学校のセンター的機能の現状や課題、今後の期待などを調査。特別支援...

(2024-02-08)  全て読む

部活動の地域移行実証事業 9都道府県を重点地域に 政策課題対応へ 5月以降決定

 スポーツ庁は地域スポーツ活動への移行に向けた実証事業の6年度実施方針を決定した。スポーツ・文化芸術環境の整備に先導的に取り組む「重点地域」として9都道府県程度を指定する予定で、財源や移動手...

(2024-02-07)  全て読む

道教委 特別支援代表校長会議 次年度の実践充実へ 各課所管事項説明など

特別支援代表校長会議  道教委は5日、札幌市内の道第二水産ビルで第2回特別支援学校代表校長会議を開いた=写真=。道特別支援学校長会の役員、専門部長、障がい種別校長会会長ら26人が出席。各課所管事項の説明を通して、...

(2024-02-07)  全て読む

自分事として問い 捉える場を 算数専科教員授業力向上セミナー 岩手大・佐藤准教授が講義 北斗浜分小

算数授業力セミナー  【函館発】道教委の地域連携研修兼渡島管内専科教員授業力向上セミナー(算数)が2日、北斗市立浜分小学校(沢田慶毅校長)で開かれた。授業公開のほか、岩手大学教育学部の佐藤寿仁准教授による講義・...

(2024-02-07)  全て読む

十勝局など 管内特別支援連携協等 本人の気持ちに寄り添い 体制充実へ実践発表や協議

 【帯広発】第2回十勝教育局管内特別支援連携協議会および第2回十勝障がい福祉計画等圏域連絡協議会十勝子ども発達支援部会が1月25日、十勝総合振興局を主会場に開かれた。オンラインを含め約40人...

(2024-02-06)  全て読む

ICT活用学校間情報交流研修会 効果的な実践例を共有 斜里朝日小でS―CEDC

 【網走発】斜里町コンピュータ教育開発センター(S―CEDC)は1月31日、斜里町立朝日小学校(外川範幸校長)でICT活用に関する学校間情報交流研修会を開催した。斜里町教委が共催。町内各校が...

(2024-02-06)  全て読む

道教委 5年度がん教育研修会 外部講師連携の実践共有 富川高、三笠中が取組報告

道教委主催がん教育研修会  【旭川発】道教委は1月26日、上川合同庁舎で5年度がん教育研修会を実施した。全道のがん教育担当教員や養護教諭、医療関係者ら103人が参加。4年度がん教育総合支援事業の日高管内実践校に選ばれ...

(2024-02-06)  全て読む

道教委が全道生徒指導連絡協議会 法理解と組織的対応を 文科省の稲川専門官が講演

生徒指導連絡協議会  道教委は2日、第2回全道生徒指導連絡協議会をオンラインで開催した。文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室いじめ自殺等対策専門官の稲川洋生氏が「学校に求められるいじめの対応」と題して講...

(2024-02-06)  全て読む

大人たちが学び、変化を 新たなスポーツ環境構築へ 道教委が指導者養成セミナー

スポーツ指導者養成セミナー  【小樽発】道教委は3日、子どもたちのスポーツ環境を支える指導者養成セミナーを余市町中央公民館で初開催した。一般社団法人SLDI代表理事の辻本智也氏、スポーツデータバンク㈱代表取締役の石塚大...

(2024-02-06)  全て読む