自分事として問い 捉える場を 算数専科教員授業力向上セミナー 岩手大・佐藤准教授が講義 北斗浜分小
(道・道教委 2024-02-07付)

算数授業力セミナー
算数授業力セミナー

 【函館発】道教委の地域連携研修兼渡島管内専科教員授業力向上セミナー(算数)が2日、北斗市立浜分小学校(沢田慶毅校長)で開かれた。授業公開のほか、岩手大学教育学部の佐藤寿仁准教授による講義・演習を通して数学的活動を重視した授業づくりのポイントを整理した。

 北斗市教委と渡島教育局主催の同セミナーは、算数・数学科の指導力の専門性を高め、各校の学力向上に向けた取組の充実を図ることがねらい。管内における新しいかたちの学びの授業力向上推進事業指定校の推進教員や算数の専科教員、3年度以降採用の初任段階教員、教職を志望する2年次以上の学生ら92人が参加した。

 公開授業は同校の嶋田祐介教諭が5年生算数(児童数26人)「多角形と円をくわしく調べよう“正多角形”と円周の長さ」を指導。児童が自分の考えを持ち、周囲に伝える力の育成に向け、円の内側に正八角形を書く方法について嶋田教諭や友人とのやりとりを通して意見を引き出す授業を展開した。

 授業後は道内や管内における算数・数学科の課題を共有。初等・中等前期教育の算数・数学教育を専門とする岩手大教育学部の佐藤准教授が数学的活動を通した子ども主体の授業づくりに向けたポイントを解説した。

 佐藤准教授は小・中学校の9年間で指導すべき数学的表現について「筋道を立てて相手に結論を伝える思考の過程を言葉で表現すること」とし、式と言葉の説明を往還させる取組の必要性を強調。「公式を覚えさせるのではなく、作り出すなど未完成を完成に近づけていく授業で良い。その際は焦点化する場面設定が大切」と指摘した。

 令和の日本型学校教育で求められている伴走的指導については「子どもが気付きを得ることのできる数学的活動を教師が考えること」とし、具体的な実践例を紹介。「証明領域が苦手な子どもに対して穴埋め問題を用意しては論理的思考が養われない。図そのものを渡すのではなく、実際に作図をさせることで何を証明するかを考えさせ、問いを自分事として捉える場を提供することが必要」と話した。

 学習指導要領が示す資質・能力の育成に向けては「子どもを根底に課題発見、解決のプロセスを獲得する力を身に付けることが求められている」とし、演習に移行。「小学1年の加法・減法」「小学5年の平面図形の面積」「中学2年の図形の合同」の3題を参加者に選択させ、子どもの育成を目指す資質・能力を明確化させるとともに、課題発見・解決の過程を明らかにする数学的活動の授業展開を考えさせた。

(道・道教委 2024-02-07付)

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