マイスター・ハイスクール運営委 地域一体で職業教育 静内農高が研究成果報告 道教委
(道・道教委 2024-02-09付)

マイスターハイスクール運営委員会
マイスターハイスクール運営委員会

 道教委は2日、札幌市内の第二水産ビルを会場に第3回マイスター・ハイスクール運営委員会を開いた。委員13人が出席し、事業最終年度の静内農業高校(赤穂悦生校長)における実践研究の成果と課題等の報告、事業の検証・評価を実施。赤穂校長は、3年間にわたる事業を振り返り「今後、各農業高校が持つ特色を生かしたイノベーションを起こす人材育成に取り組めるよう地域と産業界と一体となった実践的な職業教育を進める」との考えを示した。

 同校は3年度から、文部科学省のマイスター・ハイスクール事業の指定を受け、本年度で最終年度を迎える。

 これまで「地域発次世代イノベーター人材の育成~持続可能な日高農業の創り手」をテーマに研究を進め、行政機関、企業、法人、団体、大学と協働で、食品産業、園芸、馬産などの農業・農業関連産業を支える人材育成を目指して取り組んできた。

 最後の運営委員会には、委員長の大野克之新ひだか町長をはじめ、副委員長の西村和夫JAしずない会長、委員の倉本博史教育長、生田泰日高振興局長らが出席した。

 開会あいさつで大野委員長は「これまでの事業を通して、生徒の変化が大きく感じられ、その成果には目を見張るものがある」と3年間の事業成果を振り返った。

 引き続き、マイスター・ハイスクールCEOの桑名真人静内農業高副校長が3年目の事業報告、定量的目標、定性的目標の結果、事業終了後の体制および取組について説明した。

 3年目の事業報告では、事業実施率(1月22日現在)が全体で95%であることを伝えたほか、各学科における授業の様子や事業の指定終了後を見据えた振興局と連携した取組、道教委の道立学校ガバメントクラウドファンディング事業を活用した実践などを紹介した。

 また、12月に実施した成果発表会で参加者から「探究的な学びが具現化されているところが参考になった」「生徒と地域・関係機関の大人が互いに意見を交流する活動は、生徒の思考力や創造力を高めるために有効であることを再確認できた」などの感想が寄せられたことを伝えた。

 続いて、生徒を対象としたアンケート項目に基づいて設定している定量的評価、定性的評価について報告。定量的目標の評価について「自身が目指す進路に関連した資格取得を積極的に行えた生徒の割合」「IT、ICT、IoTの役割を理解し、活用できる生徒の割合」「英語で日常的コミュニケーションができるようになった生徒の割合」「在学中に海外の人と交流した人数」などの項目で目標値に達成したことを伝えた。

 また「卒業後、即就農および地域の主要産業への就職者」の割合は73%で、事業開始前の3年間の平均と比較して17・7ポイント増加。「卒業後、就農および地域の技術者を目的とした進学者の割合」は2割弱から目標の4割以上に増加したことなどを報告した。

 定性的目標では、マイスター・ハイスクール事業における外部講師の授業や視察・実習などの様々な取組を通じて「意欲」「メタ認知」をはじめとする各項目の割合が伸びたことを確認した。

 このほか、指定終了後の教育課程刷新の方向性や授業計画、コンソーシアムの検討案などを示した。

 報告を受け、倉本教育長は「この3年間でつくり上げてきたものを持続可能な形でこれからも展開できるよう、道教委として、引き続き取組を支援していくとともに、道内の他の高校でも未来を支える産業人材を育成する取組が展開できるよう、静内農業高の取組を広く普及していきたい」と述べた。

 最後に静内農業高の赤穂校長は「3年間の事業を通して、様々な企業や自治体と連携し、実践的な就業教育を展開する中で、生徒のイノベーターに必要な資質を育み、教職員も多くのことを学び、キャリアアップにつなげることができた」と報告。「今後は、事業の成果を道内の農業高校に普及させ、各校が持つ特色を生かしたイノベーションを起こす人材育成に取り組めるよう地域と産業界と一体となり実践的な職業教育に努めていく」と締めくくった。

(道・道教委 2024-02-09付)

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