道高校長協会 入試に関する調査研究 「基礎学力の定着」に課題 個別対応や支援体制整備が必要
(関係団体 2024-02-14付)

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具体的な改善課題(クリックすると拡大表示されます)

 道高校長協会(宮澤一会長)は、調査研究「多様化する大学入試の研究~高大接続に関する課題に対応した学校経営の在り方」をまとめた。年内入試(学校推薦型選抜と総合型選抜)の課題には、大学・高校側双方で「基礎学力の定着」が挙がり、学習意欲の低下を防ぐ主体性の育成・評価の必要性が明らかとなった。間近となる「情報」への対応が進む一方、進学者の多寡に応じて教員の意識に差も見られ、同協会は、個別対応や組織的な支援体制の必要性を指摘している。

 同協会調査研究部高大接続小委員会(楡木伸司委員長)が進める調査研究は、年内入試について、大学、高校双方の担当者の悩みや課題を共有し、今後の学校経営や進路指導につなげるもの。

 研究の推進に当たり、道内の大学・高校での取組を整理するため、大学の入試広報担当者と高校の進路担当者にアンケートを実施した。

 年内入試の課題をみると、大学側が43・9%、高校側が39・4%と、いずれも「基礎学力の定着」との回答が最も多い。

 また、高校においては、早期に進路決定した生徒が卒業までに学習意欲が低下してしまうことを懸念。この課題に対応した指導として「資格取得の検定試験受験の推奨」「放課後や冬季休業中の講習等の受講推奨」などが挙がった。

 大学・高校が互いに望むことは、いずれも「主体性の評価方法」が5割を超えて最多となった。

 同委員会では「講義内容を理解できないという課題解決に向け、高校で確かな学力を身に付け、大学に送り出す対策を講じることが必要」と指摘している。

 同調査研究では、7年度共通テストから導入される教科「情報I」に係る現状を経年比較し、対応策や課題等を把握するため、道内高校の情報科主任と校長を対象としたアンケートも実施している。

 前年度の調査では、情報の免許所有者未配置校があることやそれらの学校が免許外申請の教員で対応していること、免許所有者未配置校に地域的な偏りがあることなどが明らかになった。

 本年度調査結果をみると、免許保有教員数「0人」が前年度比11・4ポイント減の9・4%。本年度当初人事において免許所有者未配置校をなくするよう対応されたことが主な要因とみられる。

 7年度共通テストから「情報」が加わることについて、最多の54・9%が地域間・学校間で格差が生じる可能性を懸念している。

 共通テストの対応では、前年度の「情報のサンプル問題を教科内全員で解いた」が28・1%だったのに対し、本年度の「サンプル問題と試作問題の両方・いずれか解いた」の合計が42・2%と大幅に増加。「問題を眺めたが解いていない」「問題を見ていない」の割合は前年度と比べ大幅に減少した。

 同委員会では「“情報”への対応が間近になったことに加え、各大学の方針に差があるものの、具体的な検討が始まったことによるもの」と分析。特に「全進学」と「進学多」の学校が「問題を教科内全員で解いた」と回答した合計が31・5%となり、受験対応が必要な学校では関心が高いことが分かった。

 一方で「進学多」の学校においても「問題を眺めたが、解いていない」の回答が13・4%あり、学校ごとに教員意識の差も見られる。

 その上で同委員会は「教科“情報”の具体的な対応策として、個別対応に加え、進路講習の実施や有償教材の活用が想定されるため、校長にはその支援に向けた組織的な体制づくりが求められる」と指摘している。

(関係団体 2024-02-14付)

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