【解説】子ども、親の幸福感が影響

（解説 2024-03-08付）

　子どもの幸福感に保護者の幸福感や学校生活の状況が大きな影響を及ぼしていることが、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の「子どもの生活と学びに関する調査報告２０２３」で分かった。一方、居住地域、世帯収入、保護者の学歴、子どもの性別との関連は見られなかった。

　両者は平成２７年から共同研究プロジェクトを立ち上げ、小学１年生から高校３年生約２万組の親子を対象に、親子の意識・行動の変化を調査してきた。今回、ＯＥＣＤの目標や第４期教育振興基本計画を踏まえ子どもの「幸せ実感」に関連する要因を調査した。

　全体の８５・１％が「自分は今幸せ」と感じ、８０・０％が「将来、幸せになれる」と回答。いずれも学年が上がるにつれて低下する。

　現在と将来の幸せに関する得点をもとに複数の要因を分析した結果「居住する自治体の人口規模」「家庭の経済状況」「保護者の学歴」「性別」「成績」との直接の関連は見られない。

　一方、保護者と子どもの幸せ実感には連動が見られ、追跡調査の結果、保護者の幸せ実感が３年後の子どもの幸せ実感に影響するほか、子どもの幸せ実感が３年後の保護者の幸せ実感に影響を及ぼしていることが分かった。保護者から寄り添った教育的働きかけを受けている子どもほど幸せを実感する割合が高い。

　学校生活では「授業が楽しい」「尊敬する先生がいる」「自分の学校が好き」と肯定的な子どもほど幸せの実感が高く、友人との有効な関係、学びにポジティブな意識、自信・粘り強さ・挑戦心などの自己認識が幸福感に影響を与えている。

　肯定群と否定群で最も大きな差が見られた項目は「友達と一緒にいるのが楽しい」、つぎに「自分に自信がある」「自分の学校が好き」と続いた。

(解説 2024-03-08付)