いじめ重大事態再発防止へ6年度 心の健康観察アプリ導入 モデル校成果踏まえ札幌市教委(札幌市 2024-03-14付)
札幌市教委は6年度、3年に市立中学校で発生したいじめ重大事態の再発防止策の一つとして、全市立学校に「心の健康観察」アプリを導入する。これに先立ち、昨年10月から小・中学校4校でモデル事業を展開。児童生徒の心身の変化の把握や早期対応、教職員間での情報共有につながったなどの成果が寄せられた。市教委はモデル校の成果を踏まえ、本格導入につなげていく考え。
いじめ・不登校の件数が増加傾向にある中、国は児童生徒の心身の変化を把握し、早期対応・未然防止につなげていくため、1人1台端末を活用した心の健康観察を推進する方針を掲げている。
市教委は、3年のいじめ重大事態を受け、児童生徒が発するSOSを見逃さない仕組みを構築しようと、6年度から1人1台端末に心の健康観察アプリを導入する予定。6年度予算案に事業費として4100万円を盛り込んだ。
これに先立ち昨年10月から、北辰中学校、北九条小学校、幌北小学校、白楊小学校の4校でアプリの効果などを検証するモデル事業を実施。
文部科学省の「いじめ・不登校等の未然防止に向けた魅力ある学校づくりに関する調査研究」を受託するスタンドバイ(株)から提案を受け、同社の製品「シャボテンログ」を導入した。
アプリでは、体調と心の状態について「良い」「少し良い」「少し悪い」「悪い」の選択肢が用意されており、児童生徒一人ひとりがその日の状況を毎朝入力する。
過去1ヵ月分の入力状況はグラフ化され、児童生徒自身で振り返ることができる。
市教委によると、モデル校から「児童生徒が自分の好不調を客観的に確認することができる」「自分で健康管理をする意識の醸成などにつながった」などの声が寄せられたという。
児童生徒が自身の悩みや不安を相談したい場合は、「校長」「教頭」「担任」「養護教諭」「学年主任」などの選択肢から相談先を選び、SOSを発信できる機能が搭載されている。
これらの心身の状態、SOSの入力状況などのデータは、管理画面を通して教職員やスクールカウンセラーで共有が可能。一部のモデル校では、児童生徒の細かな変化を把握し、保護者と連携しながら早期対応につなげた例が見られた。
また、アプリのアンケート機能を活用し、市教委が実施する「悩みやいじめに関するアンケート調査」を端末から回答させる試みを行った。
同調査は従来、児童生徒が紙に記入する方法で行っているため、モデル校から「集計作業が楽になった」「担任以外の複数の教員で結果を確認し情報共有できた」などの成果が上がった。
全校導入に向けて、市教委は「蓄積したデータをどのように活用していくか」を課題として挙げた。
現在、モデル校でデータの分析会議を立ち上げており、その結果を踏まえながら在り方を示していく考え。
今後、アプリの選定を進め、4月以降できるだけ早期に導入したいとしている。
(札幌市 2024-03-14付)
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