美幌町 6年度教育行政執行方針 ICT機器適切に管理 びほろっ子夢挑戦PJも
(市町村 2024-03-21付)

美幌町矢萩浩教育長
矢萩教育長

 【網走発】美幌町教委の矢萩浩教育長は、5日に開会した第3回町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。1人1台端末の導入および小・中学校の全学級に電子黒板の整備が完了。「個別最適な学び」と「協働的な学び」をともに実現し、教育の質を高めるためのICT機器の適切な維持・管理などを図る。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

【幼児、学校教育の充実】

▼子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進

▽幼児教育との連携・充実

 幼小の接続を円滑にするため、要保護児童対策地域協議会をはじめ、認定こども園や町立保育園、子ども発達支援センター等の関係機関との相互連携の充実に努める。

▽新しい時代に必要となる資質・能力の育成

 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた指導方法・体制の工夫改善を行い、児童生徒一人ひとりの新しい時代に必要となる資質・能力の育成に取り組む。個の理解度に合わせた習熟度別指導やGIGAスクール構想によるICT機器の積極的な活用、教員の研修会への参加や外部講師による校内研修会の開催など、指導主事2人体制によって教員の指導力向上と授業改善を推し進め「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実を図る。

 また、引き続き学校図書館等を有効利用した調べ学習や、新聞を生きた教材として活用するなど、言語能力と情報活用能力の向上に取り組む。

▽特別支援教育の充実

 特別な支援が必要な子どもが乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目ない支援を受けられるよう、町特別支援教育連携協議会をはじめ、福祉・医療・教育等の関係機関の連携によって、児童生徒や保護者の多様化するニーズに対応していく。

 また、個の特性に応じたきめ細かな教育支援を行うため、学級編制に合わせて特別支援教育支援員28人を配置する中で、個別の指導計画・教育支援計画の活用や保護者との相談を重ねながら、効果的な支援を行う。

▽学校教育施設環境の整備充実

 子どもたちが快適で安心して学べる良好な学習環境を維持するため「町学校施設長寿命化計画」をもとに、計画的な施設設備の改修に努める。新年度においては、昨夏の記録的な猛暑を受け、児童生徒の命を守るとともに健康に配慮した教育活動を継続するため、町内小・中学校の普通教室をはじめ各教室にエアコンを整備するほか、中学校2校のバスケットゴールの修繕、東陽小学校、旭小学校、美幌中学校の体育館においてはLED照明設置工事を実施する。

 このほか、給食センターでは、調理用大釜と小釜の更新などを行い、適切な維持管理に努める。スクールバスの運行については、安全運行に努めるのはもとより、児童生徒の利便性を考慮した運行を行うとともに、少人数の場合にはハイヤーを代替として活用するなど、引き続き効率的で安全な運行に努める。

 また、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が増加する中、より高度で専門的指導がふさわしいとされる場合、町の児童生徒は北見支援学校(北見市川東)が就学校となるが、保護者による毎日の送迎の負担を軽減するため、北見支援への登校便の運行を引き続き実施する。

▽高校教育への支援の充実

 引き続き「北海道美幌高等学校教育振興対策協議会」をはじめオール美幌体制により、美幌高の魅力づくりを支援していく。具体的には、町外からの入学者を呼び込む「地域みらい留学」制度は入学者の確保に有効な手段であるため、引き続き、積極的に取り組んで行くとともに、町外からの報徳寮への入寮希望者が増えている状況にあることから、定員を超えた場合は町内下宿の開設等の支援により、入学希望者にとって支障を来すことのないよう対応する。

 併せて、新年度においても高校GIGAスクール構想におけるタブレット端末の貸与、農業科実習服や部活動強化支援などを通じて、未来農業科のみならず普通科に一人でも多くの生徒が入学してもらえるよう支援を行う。

▼学びの機会を保障し質を高める環境の確立

▽ICT教育の推進

 子どもたちが、これからの多様な情報化社会を生き抜くため「個別最適な学び」と「協働的な学び」を共に実現し、新たな時代に求められる創造力や情報活用能力の育成を目指すとともに、教育の質を高めるためICT機器の適切な維持と管理を行いながら、学校内外のあらゆる場所でタブレット端末を利活用して学ぶことができるよう、環境の整備に努める。

▽小学校少人数学級の推進

 よりきめ細かな学習環境を整えるため、町費による臨時教員を配置し、小学2年生まで対象を拡大し30人以下学級を実践する。新年度も少人数学級事業を実践し、児童一人ひとりの理解度や興味・関心を踏まえた学習指導体制を進めていく。

▼地域と歩む持続可能な教育の実現

▽義務教育学校による小中一貫教育の推進

 小中9年間を見通した切れ目のない教育の推進と持続可能な教育環境を確保するため、施設一体型の義務教育学校1校による小中一貫教育の導入が必要と判断し、学校施設敷地を基本とした改築や新築を行った上で、13年度の開校を一つの目安として、スピード感を持って取り組む。

 現在、今後の町教育の羅針盤とも言える小中一貫教育推進ビジョンの策定に向けて取り組んでいる段階にあるが、ビジョンの策定ならびに義務教育学校開校に向けて、今後も町民の皆さまや議員各位に対して丁寧に説明を行うとともに、関係者との合意形成を図りながら、皆さまの理解のもとで取り組む。

▽部活動の地域移行の推進

 地域移行への体制構築は喫緊の課題であり、部員の減少や指導者不足など、学校単位での継続が困難な部活動については拠点校方式の導入などによって、部活動を持続させることを最優先し、受け皿や指導者等の問題が解決され次第、速やかに部活動の地域移行を進める。

▽学校給食と食育の推進

 新年度においても、物価高騰の中、家計への影響を受けている保護者の皆さまの経済的負担を軽減するため、引き続き学校給食費補助事業を実施する。

 具体的には、町の補助によって第3子以降の児童生徒の年間給食費を全額補助することで実質無償化とし、第1子、第2子のうち給食費の助成を受けていない児童生徒は半額補助によって年間給食費を半額とするもので、全ての子育て世帯に学校給食費への支援の輪を広げることで、安心して子育てができる環境づくりに努める。

【生涯学習の充実】

▼全ての人が自ら学び続けられる教育環境の充実

▽少年教育の推進

 小学生を対象に、公共交通機関を利用した町外での体験学習や、コロナ禍によって実施を見送っていた児童の通学合宿事業を再開するとともに、中高生においては、次代を担うリーダーの養成を目的に、講習会の開催や大学生らと共に将来の夢や進学・就職する上でのキャリア教育の充実を図るため「まなび場びほろ」を継続開催することで、児童生徒の興味や関心の幅を広げ、自ら考え行動する力を育む。

 また、子どもたちが抱く将来の夢の実現に向け、子どもたちの主体的・自主的な活動をサポートすることで自己肯定感を養い、自己の実現を図るため新たに「びほろっ子夢へのチャレンジプロジェクト事業」に取り組む。

▽スポーツ活動の推進

 引き続き、多様性を尊重したスポーツの場を創設するとともに、健康増進やレベルの高い競技力の向上を図るため、町スポーツ協会やびほろスポーツクラブBeetとさらに連携・協働して、より充実したスポーツ環境づくりを推進する。

 また、本町の青少年スポーツ活動は特に活発であり、トップアスリートを夢見る選手を応援するため「未来のアスリート応援事業」を継続するとともに、子どもたちが安心して練習できる環境整備や、全国もしくは世界で飛躍する選手の育成に支援していく。

 学校運動部の活動やスポーツ活動を継続・充実するためには、競技者人口の拡大と指導者養成などの資質向上が求められており、指導者養成に係る資格取得費用助成を継続して取り組む。これまでのスポーツ環境の整備充実とスポーツ基盤をさらに強化・継続し、町独自の特性を生かしたスポーツの推進が一層図られるよう、未来を見据えたスポーツの普及・振興に努める。

(市町村 2024-03-21付)

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