留萌市6年度教育行政執行方針 教育支援センター拠点に不登校対策 NPOと連携し部活動地域移行
(市町村 2024-03-22付)

留萌市高橋一浩
高橋教育長

 【留萌発】留萌市教委の高橋一浩教育長は5日開会の市議会第1回定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。不登校児童生徒への支援について、5年度に設置した教育支援センターを拠点とした取組を進める方針を示した。部活動の地域移行については、NPO法人との連携のもと、関係団体と協議しながら推し進めることとした。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育

▽確かな学力を身に付けるための教育の充実

 学校間の連携・接続の推進について、各中学校区における小学校間の交流授業や中学校教諭による小学校への乗り入れ授業の実施など、各教科の系統性を踏まえて着実に学力が積み上がるよう9年間を見通した学びの構築を図るなど、校種間で適切で一貫した教育活動を着実に推進していく。

 児童生徒の確かな学力の育成については、全国学力・学習状況調査などの調査結果を踏まえた組織的な検証・改善サイクルの充実に努め、加配教諭の積極的活用を推進し、学びの質を一層高める授業改善と新たな時代に対応した探究型学習を推進する。

 ICT教育については、国のGIGAスクール構想を踏まえ、授業におけるICT機器活用を積極的に進め、AI型学習ドリルを活用した家庭学習の取組などによって児童生徒の可能性を引き出し、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図っていく。

 外国語教育については、これからのグローバル化社会に対応した人材育成を図るため、児童生徒のコミュニケーション能力の育成を重視した授業の推進に向けて、外国語指導助手を各学校に派遣するとともに、実用英語技能検定料の助成による資格取得者を増加させ、児童生徒の英語力および学習意欲の向上を図っていく。

 特別な教育的支援が必要な児童生徒に対する支援については、個別の支援計画の活用を図り、関係機関と学校の連携を強化し、一人ひとりの教育的ニーズに対応した特別支援教育を推進していく。

▽豊かな心の育成

 郷土に愛着と誇りを持つ教育については「留萌人」の生き方に触れる機会の充実や地域資源を活用したふるさと学習の機会の充実を図り、特に日本一の生産量を誇る数の子について学ぶ取組を進めていく。

 道徳教育については、道徳的実践力を高め主体的な判断のもとで行動し、他者との共生によって生きるための基盤として「考え、議論する道徳」の実現に向けた指導方法の工夫改善に取り組んでいく。

 いじめ根絶に向けては「市いじめ防止基本方針」に基づき、学校などにおける啓発や学習の機会を設けるとともに、アンケート調査の実施によって、いじめを見逃さず、関係機関等との組織的な対応によって未然防止、早期対応と早期解消に努めていく。

 不登校児童生徒への支援については、5年度に開設した教育支援センター「ゆっくるも」を拠点として、不登校児童生徒または不登校傾向にある児童生徒に対し、家庭との信頼関係を築き、学校および関係機関、専門性を有したスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携のもと、学校への復帰を最終的な目標として、社会的自立に向けた支援・指導を行いながら、多様な学習機会を確保していく。

▽健やかな身体の育成

 子どもたちの体力の向上については、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を踏まえ、運動することの楽しさを味わうことができる体育授業の充実とともに、外部講師を活用したコオーディネーショントレーニングの継続した実施による成果を踏まえ、各校での特色のある体力づくりに取り組み、運動能力の向上を目指していく。

 また、食育についても、学校給食などを活用した継続性のある計画的な食指導により、子どもたちが食に関する正しい理解や望ましい食習慣など、食への知識や関心が高まるよう取り組んでいく。

▽教職員の資質・能力の総合的な向上

 教職員には、本市の実態に即した学習指導の徹底と今日的な教育課題に迅速かつ的確に対応できる資質・能力を身に付け、自主的に参加する研修への予算措置や、オンライン授業などICT機器を活用した授業の確立につながる研究を市教育研究協議会に委託するなど、教育水準向上のための調査研究に対し、支援していく。

 学校力の向上については「学校力向上に関する総合実践事業」「新しいかたちの学びの授業力向上推進事業」等の実施によって、教員の授業力向上や学校全体の授業改善に取り組み、成果を市内の学校で共有することで、全校が一つのチームとなった包括的な学校改善を推進していく。

 教職員の資質や能力向上には、新たに学校における働き方改革「市アクション・プラン第3期」を策定し、教職員が日常的に授業やその準備に集中できる時間、児童生徒と向き合うための時間を確保するため、超過勤務の縮減や負担軽減に努めていく。

 中学校における部活動については、教職員の負担軽減や部活動の維持を目的とした地域移行が一部種目でスタートしているが、NPO法人留萌スポーツ協会との連携のもと、中学校や地域のスポーツ団体、文化団体とのさらなる協議を通じ、地域移行を推進していく。

▽信頼される学校づくりの推進

 学校運営協議会については、各学校が定めた教育目標や学校経営方針を地域と共有し、コミュニティ・スクールの積極的な活用により、学校と地域が力を合わせて学校の運営に取り組み「地域とともにある学校づくり」を目指していく。

 特色ある学校づくりとして、各学校長の裁量で執行できる予算を配分し、外部人材の招聘や児童生徒の主体的な発案によって取り組む活動など、それぞれの学校が創意工夫やアイデアにより、特色ある学校運営に取り組めるよう支援していく。

▼教育環境の充実

▽安全・安心な教育環境の確保

 学校教育施設については、市内小・中学校の耐震化率は100%を達成しており、老朽化した施設の計画的な改修事業に取り組み、適正管理に努めていく。

 5年8月の北海道全域となる「熱中症警戒アラート」の発令など、記録的な猛暑が続いたことによって、子どもたちの安全性を確保し、熱中症を予防するため、小・中学校の空調設備の設置に向けた実施設計を行い、学校施設の環境改善に努めていく。

 学校給食については、市学校給食センター運営委員会へ諮問した「学校給食事業の民間委託化」の答申などを踏まえ、学校給食事業の民間委託化の検討を進め、子どもたちへ将来にわたって安定した安全・安心な学校給食を提供できる運営体制を構築していく。

 また「学校給食費の改定」に係る学校給食センター運営委員会答申の付帯意見を踏まえ、物価高騰における学校給食費改定に伴う増額部分への支援を行うとともに、経済的負担の大きい多子世帯における子育て支援として、第3子目以降の学校給食費を新たに無償化する。

 児童センター・留守家庭児童会については、熱中症対策として新たに空調設備を設置し、児童の安全確保に努めていく。

▽教育環境の維持向上

 今日の少子化の進行による児童生徒数の減少によって、学校の小規模化が進んでおり、将来的な教育環境への様々な影響や課題が生じることから「市立小中学校の適正規模等に関する基本方針」の検証とともに、将来の適正配置を見据えた小中一貫校の設置に向けた研究を進め、子どもたちにとって望ましい教育環境について検討していく。

 地元高校に対する支援については、包括連携協定を結んでいる大手予備校「河合塾」と連携し、子どもたちの学力向上を目指す取組を進めるとともに、模擬試験や各種検定料の助成をはじめとした学習支援や、日本航空㈱と連携したマナーセミナーを行い、地元高校の魅力向上に向けた取組の強化を図っていく。

(市町村 2024-03-22付)

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