1定札幌市議会予算特別委(19日)
(札幌市 2024-03-26付)

◆SCやSSWなど連携強め学校支援 いじめ防止

 札幌市教委の廣川雅之児童生徒担当部長はいじめ防止に向け、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)などの専門家との連携を強化し学校を支援する考えを示した。

 3年に市立中学校で発生したいじめ重大事態を受け、6年度から小学校のSCの配置時間を1校当たり年69時間から140時間に増やすとともに、SSWの支援時間を拡充する。

 市教委は、セラピストや警察OBのスクールセーフティアドバイザーなどを含め、学校の取組状況を確認し必要な支援を行う体制を整えており「各学校を担当するSCやSSWが学校いじめ対策組織の中で専門家の立場から効果的な助言や支援を行うことができるよう、SC、SSWの活動状況を把握し、迅速かつ効果的に学校を支援することとしている」と述べた。

 中川賢一委員(自由民主党)の質問に対する答弁。

◆全校にアプリ導入 モデル校で研究も 端末で心の健康観察

 廣川部長は、1人1台端末を活用した心の健康観察について、6年度から全学校にアプリを導入するとともに、引き続きモデル校を指定し効果的な活用の在り方について研究を進める考えを示した。

 3年度のいじめ重大事態を受けた再発防止策として導入するもの。昨年10月から、小・中学校4校を指定し効果を検証するモデル事業を実施した。

 このほか、不登校児童生徒支援での有効性についても言及し「これまで以上に子どものニーズや困りに寄り添い、誰一人取り残されない教育を確実に進めていきたい」と述べた。

 熊谷誠一委員(公明党)の質問に対する答弁。

◆校舎全体の設備改修等を可能に リニューアル改修

 市教委の池田秀利学校施設担当部長は、6年度から学校施設リニューアル改修を拡充し、校舎全体の設備改修などを可能とする方針を示した。

 新たに児童生徒や教職員を仮設校舎に移動させた上で、これまでのリニューアル改修では対象としてこなかった校舎全体にわたる設備改修を行うほか、窓や壁などの断熱と併せた省エネルギー性能の向上を図る。

 また「校舎のレイアウトを変更し、新たなオープンスペースやICTに対応した多様な学びのための活動空間を創出することも可能となる」と説明。

「学校施設のより一層の長寿命化を進め、改築需要のさらなる平準化や省エネルギー化を図るとともに、時代に対応した教育機能を整備することで、子どもたちにとって快適で居心地の良い学習生活の場を確保していきたい」と述べた。

 丸岡守幸委員(日本維新の会)の質問に対する答弁。

◆運営方針策定し関係規定を整備 こども本の森

 市教委の矢萩英美中央図書館長は、8年に予定している「仮称・こども本の森」の開館に向け、6年度以降、運営に係る基本方針を策定し関係規定等の整備を進める考えを示した。

 こども本の森は、世界的建築家の安藤忠雄氏が自治体に寄贈している図書施設。北海道大学構内での開館に向けて昨年11月、北大、(株)安藤忠雄建築事務所、札幌市の3者で基本合意を締結した。

 北大と札幌市が運営を担うこととなっており「先行施設の状況を踏まえながら、引き続き施設規模や運営方法等の検討、北大との協議を進め、運営費用について精査していきたい」と述べた。

 蔵書の収集については、従来と同様に市民からの寄贈を募るとともに、ふるさと納税制度を活用して寄付金を募集し、図書の購入費用に充てることを検討しているという。

 「先行施設にはない、北大が有する知や豊かな自然環境を最大限に生かし、子どもたちだけではなく、幅広い年代の市民に愛される図書館を目指していきたい」と展望を示した。

 山田一郎委員(自由民主党)、しのだ江里子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

◆各校で最低1ヵ所 7年度末まで整備 バリアフリートイレなど

 池田部長は、7年度末までにバリアフリートイレとスロープを各校最低1ヵ所に整備する方針を示した。

 学校施設バリアフリー化の整備状況について、エレベーターは「要配慮児童生徒が在籍または通学見込みの学校を適宜把握した上で、必要な整備を行っている」と報告。バリアフリートイレは241校、スロープは276校で、5年度末までに整備が完了する見込みを示した。

 しのだ委員の質問に対する答弁。

◆人材確保へ大学生働きかけ強化など 学びのサポーター

 長谷川正人学校教育部長は、学びのサポーターの確保に向け、大学生への働きかけの強化、周知方法の工夫等を図る考えを示した。

 特別な教育的支援を要する児童生徒に学習支援などを行う有償ボランティアで、平成21年度から配置を開始した。5年度現在、900人超が登録。ほぼ全ての小・中学校に配置され、活用が進んでいる一方「支援が必要な児童生徒はそれを上回る勢いで増加しており、一部の学校で人材を確保できない状況が生じている」との認識を示した。

 しのだ委員の質問に対する答弁。

(札幌市 2024-03-26付)

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