浜頓別町6年度教育行政執行方針 いじめ防止へストレス検査 部活動地域移行や行事精選
(市町村 2024-04-02付)

浜頓別町泉大吾
泉大吾教育長

 【稚内発】浜頓別町教委の泉大吾教育長は、第1回町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。学校等におけるいじめ未然防止については「学級のメンバーが長期間変わらず、都市部とは異なる人間関係構築上のストレスがあることから、北海道医療大学と連携して町独自のストレスチェックの開発・研究に着手し生徒指導に生かしていく」と宣言。教職員の働き方改革では、中学校部活動の地域移行や教育的効果の薄い学校行事の見直しなどを進めていくとした。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼学校教育の充実

▽義務教育の充実

 義務教育段階においては、「主体的・対話的で深い学び」をいつでも・どこでもの視点から、児童生徒が「どのように学ぶか」を重視し、全国学力・学習状況調査等により、個々の学力を的確に把握し、習熟の程度に応じた指導等を確実に行うなどの授業改善を行い、学校全体で学力向上を進めようとする意識の高まりがみられた。

 6年度は、そうした教職員の授業づくりにより設定された良質な学習課題を「思考し、判断し、表現する」という問題解決の学びを確実に行うことはもとより、1人1台端末と地域の教育資源を十二分に活用した「主体的・対話的で深い学び」となるよう、授業改善をさらに進めていく。

 また、コロナ禍で増えた座学やバーチャルでの学びをより戻し、新たな学力観のもと、地域のひと・もの・ことへの関わりを重視する。例えば、本町の自然環境の保全やゼロカーボンをテーマとするなど、総合的な学習の時間を中心としてこれからの子どもたちに必要な資質・能力を身に付けさせるための教育課程の編成、改善を行っていく。

 そのほかの具体的な学力向上策では、道教育大学旭川校の学生等の補助を得ながら、長期休業中の体験活動、地域課題の探究活動、教科学習会を行っていく。

▽義務教育段階の生徒指導・学校安全

 5年度、「いじめゼロ」ではなく「いじめ・虐待の見逃しゼロ」「いじめ・虐待の重大事態ゼロ」を掲げ、子どもの心が不安定になりがちな時期を捉えて迅速に教育相談を行うなど、積極的な生徒指導に努め、いじめの認知件数は増えたものの、重大事態に陥ることなく、安心して通える学校教育が保たれた。

 6年度は、教職員の児童生徒理解や教育相談の技能を高めるとともに、民生児童委員や人権擁護委員をはじめとした関係機関と協力体制を続け「いじめ・虐待の見逃しゼロ」「いじめ・虐待の重大事態ゼロ」を継続していく。

 また、幼保、小、中、高校が1校ずつの本町においては、学級のメンバーが長期間変わらず、都市部とは異なる人間関係構築上のストレスがあることから、道医療大と連携して町独自のストレスチェックの開発、研究に着手し、生徒指導に生かしていく。

 そのほか、町第12次教育推進計画に基づき、話す・聞く・読む・書く、の4技能を総合的に育む外国語教育や自分事として考え、議論する授業等を通して道徳性を確かに育む道徳教育、学習や活動の内容を記録し振り返る、キャリア・パスポートの確実な活用と地域に根ざしたキャリア教育など、今日的に求められる教育活動にも着実に対応できるよう進めていく。

 特に外国語教育については、各学校に在籍するALTを、子どもの英語による表現・コミュニケーションの評価者として活用し、英語で伝わることの喜びを得られる授業など、より実践的なコミュニケーション活動を重視した指導へと転換していく。

 教職員の働き方改革として、中学校部活動は指導体制等が整い次第、地域クラブへと移行させるとともに、道教育大附属学校園との連携による授業づくりのOJT研修や指導計画、日課表の共有、教育的効果の薄い学校行事等の抜本的な見直しなど、業務内容をスリム化して子どもと向き合う時間を確保し、労働環境を改善していく。

▽高校への支援

 教育委員会としては、2030年を見据えた令和時代の学力観の変化とこれからの社会経済の変化を踏まえ、高校生を中心に据え、その学習意欲を喚起し、可能性および能力を最大限に伸長するための教育活動を行う高校づくりに努める。

 具体的には、浜頓別町はもとより、周辺町村の現代的な地域課題という生きた事象を取り扱うに当たって、教室内の学びだけではなく、実際の現場に赴いて諸課題の現状を目の当たりにしたり、最前線で課題解決に取り組む社会人の姿に学んだりするなど、学校と3町村の「地域連携の学び」や地域課題をR―PDCAのサイクルで学ぶ、例えば、「クッチャロ湖を中心とした観光パッケージの構築」という課題に現地調査、企画立案、体験…と続く手順で学ぶ「探究的な学び」となるよう、必履修となった総合的な探究の時間を中心にハード・ソフトの両面で支援していく。

 また、高校では原則として学習目的の端末を私物で賄ういわゆるBYODによるICT教育推進の環境整備が求められているが、義務教育段階の端末更新時期を迎えるに当たり、前述の学力観の転換を踏まえ端末の購入補助の在り方や端末活用の方法について浜頓別高校とともに検討していく。

(市町村 2024-04-02付)

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