檜山管内の体力向上施策 バランスの取れた運動機会 着実に定着
(道・道教委 2024-04-26付)

 【函館発】檜山管内の体力合計点は小5男女共に全国平均を3~4ポイントと大きく上回り、14管内で最も高い結果となった。小学校男女で道内最高値を記録したのは8年連続。全道的に課題となっている「走力」「瞬発力」に焦点を当てた体育専科教員等による研修機会の充実、授業内外における運動機会の確保、学校と地域の連動した取組などが複合的に作用することで全体の底上げを図り、各種目の合計点を押し上げた要因とみられる。

 管内の小学校における体力合計点の全国との差をみると、男子が3・49ポイント高い56・8点、女子が4・45ポイント高い58・73点を記録。全8種目のT得点は男子が「50㍍走」を除く7種目、女子が全種目で全国平均を上回った。

 管内では調査結果を踏まえた対策を檜山教育局の独自研修「オール檜山学び合いプロジェクト」を通して進めており、管内の体育専科教員やエキスパート教員が授業改善に向けた意識の共有を図っている。講座は多くの学校が6月ごろに実施する体力テストを控えた5月に設定。4、5年度は全道的に課題が見られている「50㍍走」など走力に関する種目を中心とした研修を進めた。

 檜山局によると、体育専科教員が普及した、はしご状の器具を用いて瞬発力を高める「ラダートレーニング」や多様なバリエーションを組み合わせた「サーキット運動」などを授業冒頭に短時間取り入れる取組が各校で浸透しつつあるという。

 また、児童生徒質問紙調査で「授業以外で、運動やスポーツを420分以上行っている」と回答した小学校男子の割合は全国より8・1ポイント高い。各自治体の調査結果では独自で運動機会を確保している学校や、地域のスポーツ少年団の協力のもと、運動能力の底上げを図る取組を行っている自治体ほど前年度より体力合計点が上昇している傾向にあった。

 例えば、全国との差が男子で1・7ポイント、女子で7・5ポイント上昇したせたな町では学校とスポーツ少年団が連携した実技教室、隣町の今金町ではスポーツ少年団活動の中で年2回体力テスト会を実施。児童生徒が見つけた課題を地域の大人がフィードバックする体制を構築している。

 授業外の体力向上に向けた独自の取組では、瀬棚小学校(越前秀一校長)が5年度から「チャレンジタイム」と称する体力づくりの取組を週1回の朝学習で導入。15分間の中で持久力を高める3分間走や縄跳びなどを教員が児童と共に挑戦し、授業外における運動習慣の定着化を図っている。

 乙部町では前年度から体力合計点が小5男子で2・7ポイント、小5女子で8・1ポイント上昇し、全国との差を広げた。町内の乙部小学校(笠松靖史校長)では校内に体力テストの種目を体験できる場を設定し、児童が遊び間隔で気軽に運動できる環境を工夫している。

 管内では学校独自に全学年で体力テストを行い、その結果を授業改善に反映している学校も多く、児童の実態を踏まえ、身に付けさせたい資質・能力を明確にした授業改善が進んでいる。

 学校質問紙調査で「体育・保健体育の授業で目標を生徒に示す活動を取り入れている」「運動・スポーツに苦手傾向がある児童生徒向けの取組、または能力差に応じた取組を行っている」と回答した割合も100%に達した。

 乙部小の笠松校長は「授業内で個に応じた目標を持たせ、振り返り活動を位置付けることが児童の達成感や苦手意識の克服につながるのではないか」と分析。各校における根拠に基づいた授業改善サイクルの定着が着実に成果として表れている。

(道・道教委 2024-04-26付)

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