十勝 中学生の体力合計点が上昇 授業改善 学校内外で共有 小中連携、生活習慣改善も
(道・道教委 2024-04-26付)

 【帯広発】十勝管内における中学生の体力合計点は前年度から大きく上昇し、道内で唯一全国平均を上回った。専科教員等や教職員によるサークル団体が連携して体力向上の取組を進めていることが特色で、十勝教育局による実践事例の周知や研修機会などを通じて学校内外で情報を共有。小中連携による授業改善や適切な生活習慣の確立など、地域一体となった組織的な取組も多く、成果の一因とみられる。

 中学校における体力合計点は前年度と比べ男子が1・94ポイント増の41・6点、女子が2・69ポイント増の47・52点に上昇。全国との差は男子が0・28ポイント、女子が0・30ポイント上回った。

 実技調査の結果をみると、全身持久力、瞬発力、巧緻性に関する4種目は中学生の男女共に全国平均以上で、男子は握力、女子は50㍍走でも全国平均を上回った。

 学校質問紙調査をみると、体育・保健体育の授業の目標を児童生徒に示す活動をいつも取り入れていると回答した割合は小学校が60・7%、中学校が72・9%と全国より高い。中学校では、動画を撮影して動きや変容を確認したり、試合等の作戦に役立てたりしている割合も高く、ICTの効果的な活用に向けた工夫が講じられている。

 児童生徒質問紙調査では、運動・スポーツが好きな生徒、授業の目標を意識することで「できた」「分かった」を実感している生徒の割合が全国平均より高い。また、朝食を毎日食べる割合は中学の男子が80・6%、女子が69・8%と全道平均を超えた。

 十勝管内は、小学校体育専科教員、エキスパート教員、中学校授業実践スペシャリストに加え、管内学校保健体育研究サークルが連携して体力向上の取組を推進していることが特色の一つ。

 十勝局の鈴木毅教育支援課長は「専科教員等はサークル活動にも参画しており、各自治体から集まる幅広い年齢層の教職員に知識や実践が広まりやすい。校内では交流機会が少ない教員も、他校とのつながりによって学びが深まっている」と分析している。

 十勝局は3年度、エキスパート教員等の専門人材とともに、サーキットトレーニングの実践事例などを紹介する管内独自の指導資料を作成・配布した。授業公開や協議等を含む研修会も2年にわたり計4回実施。研修に参加できない教職員に配慮して5年度からは動画資料の作成に力を注いでおり、6年度内の配布を目指している。

 また、教育委員会訪問や学校経営指導訪問などを通じて、体力向上に係る学校課題を管理職等と共有。専科教員等と共に改善策の方向性を見極め、実態把握や検証に努めるなど、各学校のPDCAサイクルの確立を下支えしている。

 管内自治体の状況をみると、約5割の市町村で中学生の体力合計点が全国平均を上回り、中でも帯広市や中札内村では近年徐々に数値が伸びている。帯広市には各校区に体力向上推進部会があり、各部会の主要となる教員で構成される「体力向上推進プロジェクトチーム」によって各校の情報共有を図っている。

 中札内村では、小・中学校の教頭、教務主任を交えた「学力・体力等サポート会議」を例年2回開き、各校の実態を共有。他の自治体も義務教育期間を見通した小中連携による授業改善が進められていることが共通している。

 管内では栄養教諭や養護教諭と連携し、食育授業を計画的に実施する自治体も多く、望ましい生活習慣の確立につなげている。池田町立池田中学校(中村俊緒校長)では外部講師を招いて健康に向けた学びを提供したほか、睡眠の重要性を考える生徒アンケートによる実態把握を行うなど全校的な指導に役立てている。

(道・道教委 2024-04-26付)

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