高校配置計画地域別検討協〈日高〉 平取高存続に向け一丸 地元中学への理解重点に
(道・道教委 2024-05-07付)

 【苫小牧発】道教委は4月24日、公立高校配置計画地域別検討協議会(日高学区)をオンラインで開催した。学区内の小・中・高校や町教委、経済団体等から39人が参加。協議では、本年度入学生が10人を割った平取高校の存続に向け、町、町教委、学校、公設塾が連携し取組を進めていく考えなどが示された。 

 冒頭、日高教育局の行徳義朗局長があいさつ。「今回は早い段階から高校の問題を考えていただこうと小・中学校長やPTAの方にも参加いただいた」「高校の在り方や管内の課題・実情について多くの意見を伺いたい」と述べ、忌憚のない意見を求めた。

 続いて、道教委高校教育課の中村芳宏課長補佐(高校配置)が日高学区の中学卒業者の状況などを説明。9年度に管内の中卒者が42人減少すること、10~13年度の4年間では58人減少すること、平取高の本年度の入学者が10人未満にとどまっていることなどを課題として挙げた。

 また、管内の高校への入学者確保のための中学校の進路指導や中高の連携について協議。

 日高町立富川中学校の盛永明寿校長は「1年生からキャリア教育を行い、将来を考える時間をつくっている。生徒一人ひとりと教員が一緒に考え、将来を見据えた進路相談・個人面談も行っている。このため、生徒一人ひとりが目的を持った進路選択をしている」と現状を報告。「富川高校とは様々な連携をし、1日体験入学には3年生全員が参加している。また教師全員が富川高に行き授業参観や教育内容を話し合う交流も行っている」などと述べた。

 新ひだか町立静内中学校の川野靖幸校長は、7月の進路説明会で静内高校、静内農業高校の進路担当者に来てもらい学校説明を行うほか、夏・冬休みの学習会で高校生にサポートしてもらうなどの取組を説明。「保護者からも地元の高校への進学要望が多く、今後も両校と連携していきたい」と述べた。

 新ひだか町教委の久保田達也教育長は「町に人材は必要不可欠。地元の高校の規模を維持できるよう町からも様々な支援を行っている。ぜひ地域の願い・実情への配慮をお願いしたい」と求めた。

 続いて、高校教育課の髙田安利課長が、地域の子どもたちから選ばれる高校魅力化の事例を説明。

 協議では、富川高の尾崎慎一校長が「高校の魅力化は、子どもが通いたい学校、親が通わせたい学校、地域が必要と思う学校」などと述べ、地域と密着した探究活動を中心とした同校の活動を紹介した。

 平取町の遠藤桂一町長は「平取高は存続の条件である10人を割り切羽詰まっている。入学者の確保は喫緊の課題。町長部局でも高校、地域と共に高校をなくさない取組を行っていく」との考えを示した。

 平取高の鈴木浩校長は「地域みらい留学はある程度成果を得たが、逆に地元の中学生・保護者への理解が課題と分かった。T―baseや公設塾、加配教員による講習なども行っていることを、地元に対し丁寧に何度も説明し理解を得たい」などと述べた。

 平取町教委の松田拓美教育長は「本年度は地元の中学校をターゲットに町教委、学校、公設塾が連携して取り組んでいく」と展望を示した。

 また「昨年中学生全員にアンケートを行った結果、将来の夢は学校の先生や幼稚園教諭、保育士などが多かった。本町は北翔大学と2月に包括連携協定を結んでおり、教員を目指す学生が平取高などに入ってくる。そうした学生に刺激されながら学習し、推薦で教職免許を取れるなど平取高から夢を実現できると思う。公務員志望者には、高校と公設塾が連携し、町教委も大学との協定や就職のサポートなど協力する」との考えを示した。

 このほか「平取町では先住民との国際交流として毎年高校生2人をニュージーランドに連れていっていたが、来年度から高校1年生を対象に、ハワイに希望者全員を無料で連れていき、異文化を体験してもらおうと考えている」などと述べ、これらのことを平取中のPTAにプレゼンテーションし好感触を得たことを説明した。

 最後に傍聴者の道端剛樹道高教組書記長が「高校の魅力化は大学進学だけではなく、子どもの実態に寄り添うことが大切。少子化が進んでいるのに不登校が極めて増えており、競争的な環境・システムが限界を迎えている。魅力化より前に子どもの居場所を」と指摘した。その上で「2年連続で10人以下募集停止は機械的。子どものための授業が魅力化のための授業になり、教員が消耗してしまう」などと述べた。

 第2回は7月ごろ開催する予定。

(道・道教委 2024-05-07付)

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