7団体6人に栄誉 後志局5年度管内教育実践表彰(道・道教委 2024-05-07付)
余市黒川小
【小樽発】後志教育局の5年度管内教育実践表彰に7団体6人が輝いた。学校教育では、授業改善および学力向上に取り組んだ余市町立黒川小学校など、社会教育では、NPO法人ニセコ未来サポート隊の高井裕子氏が受賞した。
受賞者および団体の功績概要はつぎのとおり。
◆学校教育
【団体】
▼余市町立黒川小(明村秀之校長、当時)=授業改善および学力向上の取組
長年にわたり「すこやかにのびる黒小の子」を教育目標に掲げ「伝わること」を意識した表現力の育成に取り組んでいる。
特に新しいかたちの学びの授業力向上推進事業や余市町学力向上推進事業に取り組み、大妻女子大学の樺山敏郎教授による指導のもと、国語科を中心に主体的な学びの確立や「書くこと」に焦点をおいた授業改善を図ることで、5年度全国学力・学習状況調査では、国語科で全国平均正答率を上回るなど、大きな成果を上げている。
また新しいかたちの学びの授業力向上推進事業や国語科高学年教科担任を中心とした質の高い授業実践における実践事例を管内に広く普及するなど、その実績は高く評価されている。
▼喜茂別町立喜茂別小(木村明彦校長)=授業改善および小中一貫教育の取組
長年にわたり「学び続ける力を持ち明るく思いやりのある人」を教育目標に掲げ、子どもたちが生きていく未来社会に、自ら主体的に対応できる資質・能力を育む教育活動を展開している。
特に授業改善の取組として、ICT機器を活用した質の高い授業とICT環境への適応を意識した教室環境の整備に取り組み、3年度には、コロナ禍でのオンライン授業の実践について道公立学校等教育実践において実践を発表するなど、ICTを活用した授業実践に重点を置いた授業研究を進め、大きな成果を上げている。
また小中一貫教育の取組やCS制度、地域人材を活用した地域連携の取組を推進し、その実践は高く評価されている。
▼小樽市立手宮中央小(古田優子校長、当時)=授業改善およびプログラミング教育の取組
平成28年の開校以来、「“SHOULDER TO SHOULDER TO OPEN A WAY”~地域で育て地域で育ちふるさとを愛し将来の小樽を担う子どもの育成のために」を基本理念に掲げ、魅力ある学校づくりに取り組んでいる。
特にプログラミング教育において、授業公開を行い、実践成果を発信したり、外部講師を招いた研修会を開催し先進的な実践事例を取り入れたりするなど、外部との交流を積極的に行い、学力調査において全教科で全国平均正答率を上回るなど、大きな成果を上げている。
また1人1台端末を効果的に活用した授業改善、総合的な学習の時間における「おたる案内人ジュニア育成プログラム」の活動など、児童の資質・能力を育むための組織的な取組を推進するなど、その実践は高く評価されている。
▼余市町立旭中(山下秀一校長、当時)=授業改善および学力向上の取組
長年にわたり「学び続ける生徒 思いやりのある生徒 やりぬく生徒 たくましい生徒」を目指し、子ども一人ひとりの可能性を引き出す教育の推進に努めている。
特に、ICT機器を活用した質の高い授業の実現に向け「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を意識した授業改善や学習意欲を高める「振り返り」の時間の設定など、子どもを主語にした授業づくりに取り組むことで、5年度全国学力・学習状況調査では、国語、数学共に全国平均正答率を上回るなど、大きな成果を上げている。
また検証改善サイクルの確立や全教職員による組織的な取組を推進し、4年度第2回組織力強化会議において実践を発表するなど、その実績は高く評価されている。
▼京極町立京極中(林尚起校長)=授業改善および学力向上の取組
長年にわたり、学校の教育目標「知恵をつないで創造する生徒の育成」の実現に向け、創意工夫ある学校づくりに組織的に取り組んでいる。
特に生徒の学力向上に向けた授業改善について教職員の共通理解を図るため、各教科共通で「アウトプットする力」が身に付いた生徒の具体的な姿を設定したり「家庭学習につなげる振り返りの手だて」を共有したりするなどして組織的に実践を徹底し、大きな成果を上げている。
また各種調査の結果を分析した課題を授業改善のテーマとして設定し、教員相互の授業参観を行うとともに、具体的方策を交流する取組によって、学力調査等において平均正答率が全教科で全国を上回るなど、その実践は高く評価されている。
▼小樽潮陵高(佐藤一昭校長)=地域医療を支える人づくりプロジェクト事業の取組
開校以来、地域の中心校として「国内外の幅広い分野で活躍する人材の育成」を目指し「自由と進取」「文武両道」の校風のもと、地域からの「期待と信頼」に応える学校づくりを進めている。
特に全日制においては「向学心豊かで自己実現を果たす生徒」「心身ともに健やかである生徒」の育成を目標に様々な教育活動を実践しており、長年にわたり「地域医療を支える人づくりプロジェクト事業」指定校として医進類型コースを編成し、地域医療の担い手育成に取り組み、結果を残している。
また定時制では、一人ひとりの到達状況に応じた分かりやすくきめ細かな学習指導を行うとともに、個別面談の充実など、少人数教育の利点を生かすことで、多くの生徒が自己指導能力やコミュニケーション能力を身に付け自己実現を果たすなど、全日制、定時制共に管内教育の充実に大きく貢献している。
▼余市養護(柏木拓也校長、当時)=地域に貢献する教育活動の取組
開校以来「“生きる力”と“生きる喜び”を培い、豊かな自己実現の育成を目指して」を教育理念とし、保護者や地域の人々と連携・協働して、教育活動の充実と理念の具体化に努めている。
特に4年度からは、学校運営協議会を設置し「地域に貢献する教育活動の充実」を図り、地域の人材や資源を活用した実際的な学習を積み重ね、子どもたちの生きる力の育成に取り組んでいる。
また学校全体で人材育成を推進し、全ての教職員が学校経営の参画について考える機会を設定したり、道教委の教員育成指標を踏まえた研修機会を確保したりと、次代を担う教員の育成に努めている。
【個人】
▼内野晃樹教諭(小樽市立朝里小)=ICT活用による授業改善の取組
長年にわたり、小学校教諭として校内研修を推進する中で、日常実践のポイントを積極的に発信するなど、管内の授業改善に向け創意工夫ある教育活動を展開している。
特に新しいかたちの学びの授業力向上推進事業推進教員として、ICTの効果的な活用方法を具体的に示すとともに、ICT活用の活性化を図り、組織的な授業改善の取組について管内に広く発信するなど、管内の学力向上の取組の充実に大きな成果を上げている。
また各校の実践を紹介する通信の作成やICTの活用研修等を行うなど、情報の共有化を機動的に進めるとともに、豊富な経験に基づいた実践発表を行うなど、その実践は高く評価されている。
▼森末武雄事務主幹(小樽市立稲穂小)=働き方改革の推進
長年にわたり、事務職員として、勤務校にとどまらず、地域の中核的な役割を担い、情報化による事務の効率化など包括的な学校改善に向けた創意工夫ある取組を推進している。
特に休暇等処理簿連携システムは、休暇処理業務時間の大幅な圧縮につながる事務システムとして活用が広まるとともに、道教委主催の研修会等においても好事例として紹介されるなど、働き方改革の推進に大きな成果を上げている。
また道教委の学校力向上に関する総合実践事業の中核校の主幹事務職員として「共同学校事務室」へ向けた業務の共有化と効率的な事務システムの構築への協働的な取組を進めるなど、その実践は高く評価されている。
▼中川綾子教諭(仁木町立銀山中)=特別支援教育の振興と充実
長年にわたり、中学校教諭として特別支援教育に携わり、一人ひとりの個性や可能性を把握した上で授業改善を行うなど、創意工夫ある教育活動を展開している。
特に3年度後志管内特別支援教育充実セミナーにおいて、生徒の特性を踏まえ、意欲を喚起する学習指導やICTを活用し、生徒が見通しを持って活動できるよう視覚的な支援を工夫するなど、生徒一人ひとりの学びを大切にした授業づくりについて発表するなど、本道ならびに管内の特別支援教育の振興と充実に大きな成果を上げている。
また4年度は、管内巡回相談員として特別支援教育に関する指導の充実に中核的な役割を果たすとともに、後志局独自研修において、豊富な経験に基づいた助言を行うなど、その実践は高く評価されている。
▼中谷知記教諭(ニセコ高)=観光教育の振興と充実
現任校において、進路指導部長、グローバル観光コース長を歴任し、ニセコの地域資源を生かしながら、グローバルな視野を持ち、地域で活躍できる人材の育成に努めてきた。
特に近年は「シビックプライドを持ったグローバル人材」を育成するための「持続可能な観光教育」に取り組み、様々な活動を行うことによって、生徒はグローバルな感覚や世界を意識した課題解決力を身に付けるなどの変容を見せている。
また観光マネジメントに関するリーダー研修を実施し、参加した生徒は地域を豊かにするマネジメントの重要性を理解し、主体的に地域課題に取り組む意識を向上させるなど、その実践は管内の高校教育の充実に資することはもとより、三菱みらい育成財団や観光庁からも全国最先端の取組であると評価されており、同校の魅力化に大きく貢献している。
▼増井誠一教諭(留寿都高)=ICT活用による授業改善の取組
平成29年に同校に赴任後、英語科教諭として指導に当たり、令和3年から実施している1人1台端末を活用した実践を積み上げてきた。
特に授業や、部活動である国際交流部顧問として、姉妹都市のALTや海外の人々とオンライン交流を行うなど、学習や活動の幅を広げた実践を積み重ね、生徒の英語力向上に努め、その取組を道高校英語研究会において講師として発信するなど、全道に成果を普及している。
また同校に赴任2年目から教務部長として、教育課程の充実を図るとともに、校内でのICT活用の普及に努め、ミドルリーダーとしてその職責を果たすなど、今後も管内はもとより全道での活躍が期待される。
◆社会教育・その他
【個人】
▼高井裕子氏(NPO法人ニセコ未来サポート隊)=家庭教育支援の振興と充実
令和元年の「ニセコ未来サポート隊」の設立以来、理事長として休日の託児活動や年間を通して子どもが安心して遊べる屋内施設設置など、創意工夫ある家庭教育支援活動を展開している。
特にニセコ町の魅力を体験する事業「ジモトデアソボウ」を企画し、まちの観光スポットを巡るイベントやニセコ登山などの体験活動を実施している。
また食育の推進のために子ども食堂を開くなど、ニセコ町はもとより管内の社会教育、家庭教育支援の振興と充実に大きな成果を上げている。
またSDGs関連事業を展開し、NIS―ECO(ニスエコ)プロジェクトを立ち上げ、地域住民との協働による環境に配慮した商品作りに取り組み、ニセコ町が進める住民参加による「まちづくり」に寄与する実践は高く評価されている。
この記事の他の写真
喜茂別小
小樽手宮中央小
余市旭中
京極中
小樽潮陵高
余市養護
内野教諭・小樽朝里小
森末事務主幹・小樽稲穂小
中川教諭・仁木銀山中
中谷教諭・ニセコ高
増井教諭・留寿都高
高井氏・ニセコ未来サポート隊
(道・道教委 2024-05-07付)
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