道研　理科の観察実験の事故防止へ　危機管理手引を公開　探究活動　研究倫理の要点も

（道・道教委 2024-05-07付）

　道立教育研究所は「理科版危機管理ハンドブック」を作成し、ウェブページで公開した。理科の観察・実験の事故を防ぐ危機管理や、高校の探究活動において求められる研究倫理の要点を掲載。小・中・高の理科教員のほか、管理職にとって有用な情報をまとめており、各学校で有効に活用するよう期待している。

　道研の４年度調査によると、観察・実験に関する事故やヒヤリ・ハット事例は過去３年間で７００件以上発生しており、研究倫理に関する学校間の温度差も大きいことが分かった。

　このため理科に特化した形の危機管理ハンドブックを新たに作成。危機管理、実務資料、野外観察、安全教育、研究倫理の５編構成で、章ごとに管理職と小・中・高の教員に対する関連度の高さを４段階で示した。

　危機管理編では関係法令や通知・通達、管理職が確認すべきチェックリスト、危機発生時の対応フローチャートを掲載。主に教員向けの実務資料編では、理科室の管理や薬品の扱いに関する留意事項をまとめている。

　また、地層を観察して自然情報を集めて考えを導く野外観察の面白さや安全管理の基本、管理職が参考にできる安全教育・危機管理能力の効果や危険予知訓練の具体的な進め方を取り上げた。

　高校で探究活動が進む中、研究者と同様に守るべき法や倫理、捏造・改ざん・盗用などの不正行為の具体的内容も掲載。生徒への周知を図るため、個人情報や生命倫理に関するガイドラインを作成した北見北斗高校と釧路湖陵高校を紹介している。

　道研は、これらのルールの順守を生徒に促すよう要請。特に動物実験など重要な影響を持つと考えられる探究活動を行う際には、各学校で倫理委員会を設け審査を行うことを呼びかけている。

(道・道教委 2024-05-07付)