【解説】通信環境改善へ財政措置を
(解説 2024-05-22付)

 文部科学省は20日、第4回次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループを開き、7年度から始まる次期方針の策定に向けて議論した。学習活動のデジタル化が進む中、学校におけるネットワーク環境の改善が急務とし、自治体において必要な速度を確保する財政措置を講じる必要性が指摘された。

 全学年の全ての授業でクラウドによる共同編集やデジタル教科書などを同時に活用しても支障が生じない水準を「当面の推奨帯域」として文科省がシミュレーションした結果、帯域を満たす通信環境を確保している学校の割合は21・6%にとどまる。不具合の原因特定や通信契約が不十分であることが背景にあり、課題のある学校でネットワークアセスメントを実施し必要に応じて通信契約を見直す方針を示した。

 デジタル教科書の活用や学力調査のCBT化など学習活動のデジタル化が加速化し、今後通信費が格段に増えることが予想されるとし、自治体で必要な地方財政措置を講じるとともに、契約を担う担当者用のチェックリストを作成・義務付けるなど対応を促すべきとの意見があった。

 汎用クラウドツールの活用を前提に、教育委員会独自のセキュリティポリシーを策定する自治体が少ない課題にも触れ、自治体を経由せず学校からインターネットに直行する回線を確保するための支援を講じるよう求めた。

 指導者用端末に関しては教員数分を確保することを前提として整備する必要性を確認。学習系・校務系のネットワークの統合、ロケーションフリーによる校務処理が可能となる次世代の校務環境の実現に向け、複数の認証方法を設定することで不正アクセスを防止する「ゼロトラスト」を方針や地財措置に盛り込むよう提案した。

(解説 2024-05-22付)

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