江差高 OKAERe南ひやま学 地域人材 外部講師として定着 探究活動を支援 檜山局指定も
(学校 2024-05-28付)

江差高・外部講師定着化・準備委員会
江差高・外部講師定着化・準備委員会

 【函館発】江差高校(古谷尚校長)が総合的な探究の時間に取り組む地域学「OKAERe南ひやま学」に、地域人材約20人が外部講師として定着している。生徒のワークショップやフィールドワークで伴走し、探究のプロセスを学ぶ環境を支援。人口減少が著しい管内で生徒の通学圏域である4町を地域として捉え、人材確保の幅を広げている。導入から3年目を迎える本年度は、檜山振興局と檜山教育局の独自プロジェクト「ひやま地学協働支援事業」の指定を受けた。高校を核とした関係人口の創出に地域の期待も高まっている。

 地域学は地域の様々な分野で活動する「魅力的な大人」との協働を通して、様々な問いに対する仮説を立て検証し、結果を考察する探究のプロセスを身に付けることがねらい。3年度から開始し、1・2年生の総合的な探究の時間に各学年年間35~70時間実施している。

 地域の課題を捉えるため、1年生前期には「ハイスクールミーティング」と題したワークショップを導入。後期からのフィールドワークや2年生のゼミ活動につなげるため、生徒は江差町、厚沢部町、上ノ国町、乙部町の行政、民間で働く大人たちから新たな発想のヒントを学んでいる。

 ワークショップやゼミ活動に協力する講師らは、観光機構やNPO法人、役場職員、地域おこし協力隊など様々。地域学の方針の一つに「SDGs」を掲げているため、前年度はペットボトルの廃棄率減少に向けた給水スポットの町内の施設に対する普及や校内におけるジェンダーレス化を進めるための提案につなげるグループもあった。

 地域学が本格化する例年5月には、外部講師らと教職員による準備委員会を開き、活動の方針やスケジュールを確認する。参加者からは「高校生のために協力したい」との思いが強い一方で「高齢でバスの本数が少ない中、決められた日程で学校に行くことが難しい」といった率直な意見も交わす。

 それぞれが負担にならない活動内容や実現可能性を高める探究テーマについてアドバイスをもらっている。

 本年度は檜山振興局と檜山教育局が前年度から開始した地域と管内道立高の結び付きを強める独自プロジェクト「ひやま地学協働支援事業」の指定を受ける。事業予算を活用し、北海道国際交流センターや北海道地学協働アドバイザーを新たな講師に加え、生徒の課題発見に向けた視点の幅を広げるとともに、全教職員がゼミ活動に参加する。2年生はフードロスをはじめとする9のゼミを展開し、ことし11月には新たに地域人材と生徒のパネルディスカッションを取り入れる予定だ。

 事業を担当する檜山振興局の山本勝博地域政策課長は「同校は地域学を通して檜山南部地域との連携素地が固まっている。関係人口の創出につなげられれば」と期待する。

 23日に同校で開かれた準備委員会で古谷校長は「消滅可能性自治体の可能性が高まっている中、これまで以上に地域の活性化を考えていかなければならない状況。地域学を一つのツールとして活用しながら、生徒も地域への関心を高めていく必要がある」と強調。

 同校の藤本純一教頭は「地域の人なしでは実現できない学び。フィールドワークを通した探究学習をさらに磨き上げていきたい」と話す。

(学校 2024-05-28付)

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