帯農高食品科学科 企業等と協働し 職業人材育成へ5項目 出前授業や商品開発など(学校 2024-05-30付)
帯広農業・人材育成物流機能
【帯広発】帯広農業高校(佐藤裕二校長)が十勝管内企業等と協働して進める「十勝で活躍する最先端の農業・食関連産業人材育成事業」において、6年度は食品科学科を対象に五つの取組を推進している。21日には物流機能、28日には電子商取引に関する出前授業の初回を迎えた。学年に応じて商品開発等にも取り組むことで、将来に役立つ実践力を身に付ける。
同校は専門学科を有する高校として、成長産業化への革新を図る産業界等と一体・同期化することで、地域の持続的な成長をけん引するための職業人材育成システムを構築し、成果モデルの提示を目指している。①十勝の産業界等の人材による授業②デュアルシステムを活用した長期現場実習③農業・食関連産業におけるデジタル人材育成④物流機能の理解と活用⑤乳製品の理解と活用―の5点のプログラムを用意した。
物流機能に関しては、国分北海道㈱と連携した授業を計画。1年生は食品の管理・流通方法、2年生は商品設計・マーケティングの手法、3年生は現地視察を通した物流機能の活用方法を学ぶ。
うち2年生は食品企業と連携した「帯農オリジナルコロッケ」の開発・販売を行う。
21日、1年生の初回授業が行われた。全3回の授業で、この日は食品流通の基礎を学んだ。
同社社員が講師を務め、生産者と提供者の間に立つ卸売業者の役割を説いた。卸売業者が媒介しない場合の物流経路を示し、必要な配送回数や配送トラックの台数が大幅に増えることを解説。
卸売業者を経由することで「食品卸の調達・配荷機能を持ち、複数の取引を効率的に進めることができる」「効率的かつ経済的で、環境にも優しい物流を実現できる」と伝えた。
また、卸売業者は「商品」「物流」「営業」の3点をかけ合わせた業務であることを説明。物流に関して、同社は全国約300拠点が連携し、ローコスト物流を推進していることを示した。
授業を受けた生徒は「小売業者やメーカーなど、様々なところに影響を持つ卸売業の役割の大きさが分かった」と話した。
デジタル人材育成は5年度に引き続き、道内最大級の食品数を誇るグルメサイト「食べレア北海道」を運営する東洋㈱と連携。同校生徒が加工した食品を、夏季と冬季の2回に分けて同社サイトで取り扱う。
28日、全学年に対して同社社員がこれまでの活動を振り返り、今後の取組を示した。
5年度は同校生徒による加工食品のセット商品2種をサイト内で販売。同校特設サイトを開設し、生徒たちがメイン画像や説明文を考案して商品や学校の魅力を伝えた。いずれも完売し、道外の購入者が3~4割に上った。
6年度は、冬季販売に向けて商品に同梱するパンフレットを作成する。購入者の目に届きやすく、商品や学校の認知度向上を図る観点から企画。全学年からデザイン案を募って決定する。
作成に向けて、行動経済学に関して解説した。偏見や先入観が行動に影響を与える「認知バイアス」の仕組みを説き、マーケティングの質向上やマネジメントの円滑化などに役立つことを説明。倫理的な配慮や継続的な検証改善などが必要になることを示し「少しでも興味を持ったら自ら学んでみてほしい」と呼びかけた。
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帯広農業・人材育成電子商取引
(学校 2024-05-30付)
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