文科省指定の七飯養と七飯中の方向性 授業の在り方 ピア・サポートを関連 7年度以降は七飯高など交流
(学校 2024-06-07付)

インクルーシブな学校運営モデル事業
インクルーシブな学校運営モデル事業

 【函館発】文部科学省の新規事業「インクルーシブな学校運営モデル事業」の指定を受けている七飯養護学校(北嶋公博校長)と七飯町立七飯中学校(細川和成校長)は5月28日、七飯養護学校で第1回連携協議会を開き、3ヵ年計画事業の方向性を示した。学校の垣根を越えた新しい授業の在り方については、創作活動や清掃活動等に七飯中がこれまで取り組んできた「ピア・サポート」を関連付ける方向で検討。障がいの有無にかかわらず、生徒が対等な関係で関わることができる教育課程を模索する。7年度以降は七飯高校をはじめとする町内各校へ交流の幅を広げ、共生社会の実現を地域一体となって目指していく方針だ。

 事業はインクルーシブ教育システムの推進に向け、特別支援学校と小・中学校等を一体的に運営するためのモデルを構築し、全国に発信するもの。少子化が進む一方、特別支援教育を必要とする児童生徒数が増加傾向にある国内の状況について、4年度の障害者権利条約に関する審査で国連から「インクルーシブ教育の権利を保障すべき」と勧告を受けたことが背景にある。

 文科省から全国14地域が委託を受け、道教委は七飯養護と七飯中、中札内高等養護学校と更別農業高校の2地域を指定。それぞれ「交流および共同学習を発展させた新しい授業」「教職員の専門性を高めた授業実施に向けた体制構築」の2点の在り方を3ヵ年で明確化し、今後の学校づくりの方向性を全国に提案する。

 事業の推進に向け、七飯養護と七飯中は両校の関係者および町教委、大学教授ら14人を構成員とした協議会を設置。7年度以降は両校だけではなく、町内各校に対する交流の拡大を図るため、七飯高の平石聡校長がオブザーバーを務める。両校の教育課程等について調整を行うカリキュラム・マネージャーには元小学校長で町教委の指導主事経験がある佐藤耕一氏を配置した。

 七飯中では生徒同士で悩み事を相談し、解決を目指すなど周囲に対する思いやりの心を醸成するコミュニケーショントレーニング「ピア・サポート」を生徒会活動の委員会に位置付け、全学級に取組を普及している。教育課程ではこうした活動を生かした創作活動や清掃活動を両校の中学1年生が3年間継続して取り組む。

 具体的な教科や活動については7~9月に実施予定の教員合同研修や教員の互見授業、第2回連携協議会を通して計画する。生徒同士の交流学習は9月に事前、事後学習を含む計3回を予定している。

 教員研修は7~12月にかけて計3回計画。初任段階研修や校内研修に一体的に取り組むほか、七飯中の校内支援委員会への参加や授業見学を実施する。これまで両校の教職員が障がいのある子どもと関わる中で失敗した経験や悩みを率直に語り合い、特別支援教育の奥深さや教育者としての成長につながった内容を取りまとめ、各校の合同研修の在り方の参考となるものを予定している。

 実施に当たり、6月から両校の全教職員に対するアンケート調査を行い、教職員や生徒の意識の変容を見取る一助とする。

(学校 2024-06-07付)

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