インクルーシブ学校運営モデル事業 交流・共同学習 相互に提案 中札内高養と更別農高が協議会(学校 2024-06-17付)
インクルーシブ学校運営モデル事業・中札内高養・更別農高
【帯広発】文部科学省の新規事業「インクルーシブな学校運営モデル事業」の指定を受けている中札内高等養護学校(太田千佳子校長)と更別農業高校(室伏諭校長)は10日、中札内高等養護で第1回連携協議会を開き、3ヵ年計画事業の方向性を示した。生徒のニーズに応じた交流および共同学習に取り組むため、各校に委員会を設置して活動を提案し合う体制を整える。2村にまたがる学校配置のため、ICTの活用も視野に入れ、活動の実現可能性を高める。また、両校生徒の実態や求める学びを適切に見極めるため、教員相互の学び合いをベースにした研修機会を設ける。
事業は、インクルーシブ教育システムの推進に向けて、特別支援学校と小・中学校等を一体的に運営するためのモデルを構築し、全国に発信するもの。文科省から全国14地域が委託を受け、道教委は七飯養護学校と七飯中学校、中札内高等養護と更別農業高の2地域を指定。広域分散で小規模校の多い本道の特徴を踏まえ、隣接型の研究を通して「交流および共同学習を発展させた柔軟で新しい授業」「現行の教員配置にこだわらない教職員の専門性を高めた授業実施に向けた体制構築」の2点の在り方を、3ヵ年計画で実証する。
中札内高等養護と更別農業高は両校の関係者および町教委、大学教授ら12人を構成員とした協議会を設置。両校の教育課程等について調整を行うカリキュラム・マネージャーには、教育行政に長年携わり、特別支援学校長の経験を持つ寺田弘文氏を配置した。
事業推進に当たり、両校の教員を対象に「インクルーシブな学校運営」に向けた意識調査を実施。「教育課程」「専門性向上」「進路指導」の3点を課題として挙げる教員が多く、課題解決に向けては、教員間および生徒間における交流機会の醸成などの提案があった。
調査結果を踏まえた取組を進めるため、両校の管理職や教務主任、特別支援教育コーディネーター、カリキュラム・マネージャー等でコアチームを構築。教育課程や特別支援教育の推進などに直接携わる立場を生かし、教員の思いを考慮して自主的な活動につなげることを目指して協議を重ねている。
具体的な取組として「交流および共同学習」「連携校の教育資源を活用した教育活動」の2点を推進する。
交流および共同学習に向けては、各校に取組推進に係る委員会を設置し、対象となる生徒の実態に応じた交流および共同学習の内容を学校間で考案。2村にまたがる学校配置のため、ICTの活用も視野に入れ、活動の実現可能性を高める。
また、両校は例年、年2回の交流学習を行っているが、事業推進に伴い、両校教員が互いに生徒の実態把握に努め、学習の目的を明確化する。
連携校の教育資源を活用した教育活動に関しても同様に、各校の委員会で取組を検討して提案し合う。教育指導に必要な教材・教具、分掌事務の遂行に参考となる資料活用など、教員相互の支援や研修の実施を想定。生徒間の文通や作品の交換、ICT等を活用したコミュニケーションなど、間接的な交流にもつなげる見通し。
カリキュラム・マネージャーが学期ごとに教育活動等の希望を集約して一覧表を作成し、連携校に通知するほか、必要な連絡調整や環境整備、教育資源の受け渡しなどを行う。
教員が生徒一人ひとりのニーズを見極め、学校間連携を図るために、6年度内から研修機会の充実を図る。各校の校内研修に教職員が往来し、学校の特色に応じた視点を共有する予定。加えて、チーム・ティーチング(TT)のサブとして、教員が互いの授業に乗り入れる研修機会の設定も検討している。
◆高校段階の学び場 イメージの共有を
10日に開かれた第1回連携協議会では、幼小中で得た共同学習等の経験を踏まえた視点や、対象生徒を決定する過程で生徒の意見を反映する手だてなどを考える必要性を確認した。
中札内高等養護の太田校長は「生徒が学びたいことをいま一度考える必要がある。十勝管内における高校段階の学びの場のイメージを情報交換し合う体制を、事業を通して築き上げたい」と伝えた。
更別農業高の室伏校長は「教職員が協力し、互いの良い点を理解して取り入れることで、生徒一人ひとりの実態に即した学びが深まる。事業を通して、インクルーシブ教育がスタンダードになるよう努めたい」と話した。
(学校 2024-06-17付)
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