【解説】雪崩事故で実刑判決
(解説 2024-06-04付)

 盛山正仁文部科学大臣は5月31日の記者会見で、栃木県那須町で生徒ら8人が死亡した雪崩事故によって宇都宮地裁が引率教員ら3人に禁固2年の実刑判決を言い渡したことを受け、部活動中における事故防止のさらなる徹底を図る考えを示した。

 平成29年3月、県高体連主催による登山講習会中に発生した雪崩によって、高校生7人と引率教員1人が死亡する事故が発生。事故検証委員会がまとめた報告書によると、前夜の積雪で登山計画を深雪の歩行訓練に変更した際、情報収集や事前準備が不十分だったほか、雪崩に関する理解不足、携帯電話が寒さで起動しないなど通信機器管理の不備などを要因として挙げている。

 5月30日の裁判で宇都宮地裁は、雪崩の予見は可能だったとし、業務上過失致死傷罪に問われていた教員ら3人に禁錮2年を判決とした。

 盛山大臣は「控訴に関しては明確ではないためコメントを差し控えたい」とした上で「このような痛ましい事故が二度と起こらないよう、今後ともスポーツ指導者等を対象とした安全管理講習会等を実施し、事故防止のさらなる徹底に取り組みたい」と表明。部活動の顧問においてはガイドラインの周知・徹底を図り、部活動中の事故防止の徹底に取り組んでいく考えを示した。

 登山中の遭難事故は増加傾向にあり、令和5年の遭難者数は534人と5年前の1・37倍に増加。死者・行方不明者は52人と5年間で1・62倍に増加している。

 スポーツ庁は、遭難事故の発生の可能性が高い冬山登山は高校生において原則禁止する方針を示しており、例外的に実施する場合、豊富な知識と経験を有する指導者や計画の事前審査を行うなど万全の安全対策が必要としている。

(解説 2024-06-04付)

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