【解説】経済的理由で退学者増加
(解説 2024-06-10付)

 全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)は6日、私立高校生・中学生の経済的理由による退学と学費滞納の5年度調査結果を公表した。経済的理由で高校を中退した生徒数は前年度の1・8倍の62人に増加。物価高騰など経済状況の悪化が学費負担に影響を与えているとし、国・自治体において学ぶ権利を保障するための対策を求めた。

 34都道府県の高校329校、中学校158校から回答を得た。調査時点は3月末現在。

 1年間の経済的理由による中途退学状況を調査した結果、私立高校の中退者は62人で全体に占める割合は0・009ポイント上昇し0・022%となった。経済的理由で中退者が複数あった学園は12校で前年度の2倍となっている。

 3ヵ月以上学費を滞納していた生徒は558人で全体の0・20%。滞納生徒の割合が高い自治体は大阪府(0・93%)、青森県(0・90%)、山形県(0・81%)。滞納生徒がいると回答した学校は全回答校の32・8%で、学費滞納生徒の約半数が長期滞納傾向にある。

 私立中学校で経済的理由で中退した人数は3府県3校に3人。3ヵ月以上の学費滞納生徒は15都府県34校に45人。

 全国私教連は、保護者の仕事の倒産や物価高による家計急変など家庭の経済状況が影響していると分析。東京都など一部の自治体では年収590万円以上を対象とする独自の学費減免制度を講じている一方、14道県では独自の補助がない点も課題として指摘する。

 そのため国に対し、高校等就学支援金の補助対象の拡充など6点の対策を講じるよう要望。都道府県においては年収590万円で生まれる学費負担の崖を解消する独自の減免制度を創設し、学費の滞納が中退につながらない措置を求めている。

(解説 2024-06-10付)

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