【解説】少子化時代の大学の在り方
(解説 2024-06-03付)

 中教審の大学分科会高等教育の在り方に関する特別部会は5月31日の会議で、少子化を見据えた高等教育の在り方を示す審議の中間まとめ(素案)を審議した。18歳人口の急速な減少を見据えた高等教育が目指すべき姿を示すもの。遠隔授業を活用し、社会人・留学生など多様な学生を積極的に受け入れるほか、大学の再編・統合・縮小・撤退を支援するよう提案した。

 18歳人口は1966年の249万人をピークに減少傾向にあり、2023年は約110万人に半減。40年には約82万人と現在の約4分の3になることが見込まれている。

 審議の素案では、40年以降を見据えた高等教育が重視すべき観点として「文理横断・文理融合教育の推進」「成長分野(デジタル・半導体、グリーンなど)を支える人材の育成」など8点を提起。多様な学生に対応できる多面的・機能的な入試を行うため、大学間の連携によって転編入学を促進するほか、単位互換、科目履修、履修証明制度、単位累積加算による学位授与制度の活用の促進を図るよう提案した。

 高等教育全体の適正規模の確保を必須とし「18歳」「国内」「対面」など従来の学生の概念を見直すべきと指摘。社会人や留学生を積極的に受け入れ、遠隔教育やオンライン授業を活用した学習を進めるべきとした。

 GIGAスクール構想や総合的な探究の時間など、急速に変化する初等中等教育との接続を強化する必要性にも言及。保護者の学歴・職業などが子どもの学力や進路に影響を与えていることから、就学支援制度、貸与型奨学金、授業料の減免に関する情報提供の在り方を検討するほか、理工系の進路を選択する女子生徒を増やすため、ジェンダーバイアスを排除する社会的機運の情勢を図るよう求めた。

(解説 2024-06-03付)

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