【解説】小規模校の存続へ
(解説 2024-06-05付)

 中学校卒業者数が年々減少する中、一層顕在化する小規模校の統廃合。今回新たに示された9年度計画においても、再編整備を留保していた南茅部高校が募集停止となった。小規模校がある地域関係者からは、町の活性化の観点から小規模校でも存続できる策の検討を求める声が多く寄せられている。

 道教委は、第1学年1学級の高校のうち、地理的状況等から再編が困難で、地元からの進学率が高い高校を地域連携校として位置付けている。

 昨年3月に改定した「これからの高校づくりに関する指針」では、5月1日現在の第1学年在籍者数が2年連続20人未満となった場合でも、高校の特色化・魅力化、入学者確保に取り組む集中取組期間を設け、再編整備を留保するとしたほか、地域連携校以外の小規模校も地域創生の観点から基準を明確化した。

 4月に各学区で開いた地域別検討協議会では「小さな地域でこそ、高校があるからまちの活力につながる。小規模校でも存続できる道を探ってほしい」「可能な限り地域の要望を聞き取り、実情に沿った対応を」など地域の高校存続を強く求める声が多く上がった。

 また「多様なニーズに合わせられるよう、遠隔授業など様々な方法の工夫を」「メタバースなどを活用したオンラインによる学習環境の整備を進めるべき」など、遠隔授業の活用を重要視する意見もあった。少子化が加速する地域で、地方創生の核となる高校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題となっている。

 中教審高校教育の在り方ワーキンググループの中間まとめでは、小規模校を地域に残す場合、教育条件の改善につながる方策として「遠隔授業の活用」や「学校間連携等の推進」を挙げており、今後、国で検討を進めていくとしている。

(解説 2024-06-05付)

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