【解説】法務相談 対応力向上にも寄与
(解説 2024-06-12付)

 道教委は学校の法務相談支援事業(スクールロイヤー制度)における5年度の相談事例とアンケート結果をまとめた。相談延べ件数は前年度比25件増の65件。法的根拠に基づく助言によって、教職員の精神的負担の軽減、勤務時間の縮減、学校の対応力の向上に寄与している。

 法務相談支援事業は3年度から開始。札幌、函館、釧路、旭川の道内4地区における弁護士会が推薦する弁護士をスクールロイヤーとして委嘱し、学校の対応が困難な課題に専門的知見から相談を行っている。

 必要な書類は申請書のみで、時系列や対応の記録などの詳細な資料がなくても申請が可能。相談に要する期間は平均1週間程度で、急を要する場合は可能な限り迅速に対応する。

 5年度の相談内容で最も多かったのは「クレーム」で17件、つぎに「いじめ」「児童生徒間事故」「親権者問題」などと続いた。

 相談したある学校は「対応を検証してもらうことで教職員が自信を持って指導に当たることができた」「法的解釈を調べる時間が軽減した」「学校全体で助言を共有し、組織としての対応能力の向上につながった」と報告している。

 要望として、対応困難な保護者に対し、第三者となるスクールロイヤーが話し合いの場への同席や、学校の代わりに聞き取りを行うことを求める声があった。

 保護者・外部からの過剰な要求が増加する中、文部科学省はスクールロイヤーを交渉代理人として活用できる体制の整備を検討しており、3月下旬に各都道府県教委に対し、助言業務と代理人業務の双方の重要性を踏まえ対応できるよう検討を求めた。

 一方、日弁連によると、代理人業務は報酬体系も異なるため、報酬基準の規定と予算措置の拡充が必要とし国に対応を求めている。

(解説 2024-06-12付)

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