【解説】日本版DBS法案が成立
(解説 2024-06-21付)

 教育・保育施設等で働く職員の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」を創設する法案が19日の参議院本会議で可決・成立した。禁固刑の場合は刑執行終了から20年、罰金・拘禁刑で執行猶予の場合、10年間採用されないよう制限。8年度をめどに施行する。

 同法は、生涯にわたって重大な影響を与える児童生徒への性暴力を防止するため、性犯罪の前科の有無を確認する学校設置者と民間教育保育事業者の責務を定めるもの。教育・保育事業者を対象とする規制を創設するとともに、初犯防止や早期対応のための安全確保措置として、職員研修、相談体制、早期把握の面談などの対策を講じる。

 雇用予定者の犯罪事実を確認するため、事業者がこども家庭庁に申請。前科があった場合は国から本人に事前通知。本人から訂正の請求がなく2週間が経過した時点で、犯罪事実の確認書を事業者に送付する。

 照会対象となる性犯罪歴は、刑法、児童ポルノ禁止法、痴漢・盗撮などの条例違反などで、下着窃盗などは対象外となった。

 学習塾、スポーツクラブ、ダンススクールなどの民間教育保育事業者においては性犯罪歴の確認を義務付けず、任意の認定制度を設ける。法案とともに採択した付帯決議では、ベビーシッターや家庭教師などの個人事業主を対象とする仕組みを早急に検討するとともに、確認対象となる性犯罪の範囲拡大や期間延長にも対応するよう求めている。

 法施行の際は現職の職員なども確認の対象となる。性犯罪歴がない場合でも、保護者などの訴えでその恐れがあるとされた場合、事業者において配置転換などの安全措置を設ける。

 国は今後、性犯罪歴が判明した場合の対応や必要な防止措置の具体例などをまとめたガイドラインを示す予定。

(解説 2024-06-21付)

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