校長会長インタビュー 第4回 函館市小学校長会会長 寺本 公彦氏 “学校”を引っ張るのが仕事(学校 2024-07-09付)
校長会インタビュー・寺本公彦会長
―就任に当たっての抱負
前年度に引き続き、函館市小学校長会の会長となり、気持ちも新たに会員の力を結集し進んでいこうという思いである。本会には「教育春秋」という会誌があるが、前年度会長の立場でこの会誌を手にして、あらためて、脈々と受け継がれてきている本会の精神を実感した。函館市小学校長会としての縦のつながりをつぎの世代へと引き継ぐとともに、現会員の横のつながりを大切にして、函館市の教育の充実・発展に力を尽くしたいと考えている。
―市の教育の特色
函館市においては「自立」「共生」「創造」を理念とする「市教育振興基本計画」に基づき教育活動が行われている。本年度は、これまでの「子どもに寄り添う指導・支援の充実」の取組を支えとして「誰一人取り残さず個々の可能性を最大限に引き出す教育」を目指し、各学校では「全ての子供の可能性を引き出す授業」と「全ての子供が安心して通うことができる学校」の二つの視点を中心に据えて、教育活動の一層の充実に努めている。
―市の教育の課題と対応
函館市では本年度求められる学校像の一つに「多様な学びの場や手立てを用意し、子供一人一人の資質・能力を伸ばす学校」がある。このことについては、各学校においてICT等を効果的に活用した個別最適で、協働的な学びが着実に広がっていると感じている。もう一つは「不登校児童生徒へのきめ細かな支援を行っている学校」である。このことについては、前年度、函館市が不登校対応の新たな拠点として開設した「サポートベース函館」の活用の広がり、小学校へのスクールカウンセラーの訪問時間の拡充とともに、学校独自で“校内サポートルーム”を開設するなど、対応を進めているところである。
―学校組織の強化・活性化に向けた取組
学校組織を支えているのは学校運営に携わる全ての職員である。その強化・活性化において、何よりも職員の「働きやすさ・働きがい」をわれわれ校長は強く意識する必要があると思っている。函館市小学校長会では、前年度から月1回の定例研修会において、一つのテーマについて小グループで意見交換する機会を設け、新しく採用となった校長先生方にも必要な情報を少しでも多く得てもらえるよう研修会の運営を工夫している。
本年度の5月定例研修会では、働き方改革の一層の推進について各学校の取組を交流し、意見交換したところである。「学校を元気にする」ために、年齢や経験年数にかかわらず、各校長が様々な情報や意見を気軽に交流できる雰囲気を高めていければと思っている。
―教職員の人材育成に対する校長会の対応
本会においてはこの数年間で会員がほぼ入れ替わる、新旧交代の時期を迎えていると言える。函館市では、校長採用に向かう教頭先生方をサポートする「特別研修」という仕組みが確立されている。この研修会は、5月から9月ごろまでの期間、小・中校長会が合同で、論文と面接の両面において計画的に教頭先生方に指導助言等を行い、管理職としての資質・能力の向上、人材の育成を図ることを目的とした取組である。
―教育信条
昨年10月に全連小東京大会に参加させていただいた際、シンポジストとして登壇された、ハロルド・ジョージ・メイ氏のエネルギッシュな姿に大きな刺激を受けた。メイ氏の著書『百戦錬磨』の中に「社長はムードメーカー、会社を引っ張るのが仕事である」という言葉がある。私は、社長を“校長”に、会社を“学校”に置き換えて「“校長”はムードメーカー、“学校”を引っ張るのが仕事」として心に留めている。月並みだが、校長が何より「健康第一」で明るく元気でいることが、それぞれの学校の安定した運営の源であると思っている。毎日、子どもたちの笑顔と元気な声にエネルギーをもらいながら校長職に励んでいる。
昭和62年道教育大函館分校卒、同年砂原町立砂原小に赴任。平成17年函館市教委指導主事、22年深堀小教頭、25年亀田小教頭、28年市教委教育指導課長、29年同学校教育課長、令和元年弥生小校長、令和4年八幡小校長。
昭和39年12月6日生まれ、59歳。函館市出身。
(学校 2024-07-09付)
その他の記事( 学校)
校内支援センターをリノベーション 子が安心できる居場所を 帯広稲田小 地域と意見交換
【帯広発】不登校児童生徒数が全国的に増加する中、国は3月に不登校対策(COCOLOプラン)を打ち出し、ニーズに応じた受け皿の整備などを求めている。帯広市立稲田小学校(鈴木宏和校長)は今夏、...(2024-07-12) 全て読む
函西高 生徒指導関係講座で工夫 当事者意識持てるよう 端末でグループ活動時間拡充
【函館発】函館西高校(古御堂徹校長)は、全校生徒を対象とした「生徒指導に関わる講座」の在り方を変えている。本年度のSNSモラルに関する講座では生徒が日頃の探究活動で取り組んだ内容を起点に、...(2024-07-10) 全て読む
札幌学院大こども発達学科の挑戦~へこたれない教員の養成を目指して 第1号 札幌学院大学こども発達学科 松井光一教授
◆道内教職志望者全てが教員に 「小学校(特別支援学校含め)の教員になって良かった。大変だけれど子どもと一緒に勉強することが楽しい」「大学で習ったあいさつ、感謝、笑顔の心構えがとても役に立...(2024-07-09) 全て読む
海の玄関口の役割学ぶ 網走中央小と白鳥台小 網走港みなと見学会に参加
【網走発】網走市立中央小学校(伊井俊明校長)と白鳥台小学校(河村一恵校長)の児童は4日、道開発局網走開発建設部主催の網走港みなと見学会に参加した。港湾業務艇はまなすに乗船し、港湾施設や防波...(2024-07-09) 全て読む
帯広東小 自然観察会に参加 水辺環境の大切さ学ぶ 3年生が魚捕りや水質測定
【帯広発】帯広市立東小学校(辻勝行校長)は3日、市内の帯広発祥の地公園でNPO法人十勝多自然ネット(西江靖幸理事長)が実施する自然観察会に参加した。3年生29人は魚捕りや水質測定を通して自...(2024-07-09) 全て読む
道教大 教職大学院生募集 7日に合同説明会開催 様々な修学の形を紹介
道教育大学教職大学院は、7日午前11時から全キャンパス合同オンライン大学院説明会を開催する。大学院のコース、カリキュラム、入試に関する説明を行うほか、現職教員院生や教育委員会派遣院生との交...(2024-07-05) 全て読む
帯農高 産学官連携し情報化施工 技術者育成PG開発へ 校内で舗装工事体験など
【帯広発】帯広農業高校(佐藤裕二校長)は6年度から「情報化施工技術等に対応できる農業土木技術者育成プログラム」の開発を進めている。学校敷地内を見学場所とし、産学官連携による実践的な学びを生...(2024-07-03) 全て読む
文科省 探究学習の実践研究 道内唯一 足寄高を採択 産業や環境保全など解決探る
【帯広発】足寄高校(石橋栄校長)は、文部科学省の新規事業「“総合的な探究の時間”の質向上を図るための実践研究」の実践校の採択を受けた。事業期間は2年間。地域産業、防災、環境保全など現代的な...(2024-07-01) 全て読む
足寄高 総探支援特化型CS 育成したい生徒像共有 持続性、小中高接続など議論
【帯広発】足寄高校(石橋栄校長)は本年度、総合的な探究の時間の取組推進に特化したコミュニティ・スクール(CS)を導入した。道外大学職員や地域人材、保護者ら12人を委員に委嘱し、探究・連携・...(2024-07-01) 全て読む
附属函館中教員の過半数が活用 デジタル採点 成果と課題は エドログ無償版の実践踏まえ
【函館発】道教育大学附属函館中学校(小林真二校長)は、過半数の教員がデジタル採点システム「エドログ」(無償版)を活用している。定期テストの採点・集計時間の短縮に成功し、校務の負担軽減の一翼...(2024-06-28) 全て読む