札幌学院大こども発達学科の挑戦~へこたれない教員の養成を目指して 第1号 札幌学院大学こども発達学科 松井光一教授(学校 2024-07-09付)
◆道内教職志望者全てが教員に
「小学校(特別支援学校含め)の教員になって良かった。大変だけれど子どもと一緒に勉強することが楽しい」「大学で習ったあいさつ、感謝、笑顔の心構えがとても役に立っている。子どもの笑顔が生まれる職業ってすてきだね」。
札幌学院大学こども発達学科を卒業し、小学校や特別支援学校の教員になった人の感想である。現在ブラックと言われる教員であるが、実際に子どもと接し子どもの発達を促し、子どもと共に成長していく教員はやりがいのある仕事なのだと語っている。
教育実習について、札幌市小学校長会による教育実習事後アンケートをみると、札幌学院大の教育実習生は「大変真面目に取り組み、何より一生懸命だった」「実習生は何事にも意欲を持って実践していた」「意欲を持って取り組む学生で大変素晴らしいと感じた」「実習中に多くのことを学ぼうと一生懸命な姿が印象的だった」との評価をいただいている。
しかし、残念ながら札幌学院大こども発達学科で小学校、特別支援学校等の教員免許が取得でき教員になれるということを、多くの学校の教職員、高校関係者をはじめ、保護者の方々は知らないのが現状である。
本学科卒業の教員採用について、前年度教員志望者の教員合格率(札幌市、北海道、宮城県)は、89・5%となり、教員志望者19人のうち17人が合格した。ここ3年間で8割台をキープし、前年度が最大値となっている。
北海道の教員を志望する者は100%教員となっているが、札幌市の教員採用をみると、33・3%と低くなる。ここ4年間の札幌市での現役の合格率は18・8%。札幌市の小学校教員採用の壁は高いと言える。
しかし、本学科を卒業して期限付き教諭4年目までの卒業生と現役で新採用になる教員を合わせると、半数は札幌市の小学校教員になっている事実がある。期限付き教諭として正式採用を目指す気概で教員を目指し、頑張りながら教員になっている人物が育っていると言えるのではないか。
一方、現在北海道だけではなく日本の小学校で、途中退職者が増えている。せっかく新卒教員採用となって働いても、いろいろな事情で教員を途中で辞めてしまうという事例が数多く散見される。本学科卒業生教員の中でもここ5年間で退職が2人、途中で休職が2人いる。
どの教員にも退職・休職の理由はいろいろとあるだろうから一概には言えないが、困難に立ち向かう力、壁にぶつかっても折れない力、少々のことではへこたれない力が足りない若手教員がいるということもあるのではないか。今こそ教員は子どもへの愛情や社会性・協調性だけではなく、いろいろな困難にあってもへこたれない力が必要であると考える。
本学科ではこのへこたれない力のある教員を教員養成のベースと考え、そこに教員として必要な力(授業力・学級経営力・コミュニケーション力・生徒指導力等)を身に付けさせていくことを目指し、講義の内容や行事を工夫している。札幌市内小学校の皆さまに協力いただき、学校訪問、研究授業訪問、学生ボランティア派遣など実際に子どもたちと出会い、教職員の皆さまと触れ合い、ご指導いただくことで、理想の教員像に近づけるよう努力している。
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教育実習生の授業から「子どもと一緒に笑顔で楽しい授業を行いました」
教育実習生の授業から「子どもたちと楽しく元気に頑張りました」
(学校 2024-07-09付)
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