函西高 生徒指導関係講座で工夫 当事者意識持てるよう 端末でグループ活動時間拡充(学校 2024-07-10付)
1人1台端末を使用してSNSトラブル防止標語を考える生徒たち
【函館発】函館西高校(古御堂徹校長)は、全校生徒を対象とした「生徒指導に関わる講座」の在り方を変えている。本年度のSNSモラルに関する講座では生徒が日頃の探究活動で取り組んだ内容を起点に、周囲の生徒が課題をより身近に感じられるような題材を工夫。講師による講話の時間を動画配信によって大幅に短縮し、1人1台端末を使ったグループ活動の時間を拡充した。担当する佐藤真弓教諭は「生徒たちが当事者意識を持てるよう、一方的ではない講座の在り方を考えていきたい」と話す。
6月17日に同校で開かれたデジタルシチズンシップ教室では、企業と連携して文章のやりとりで生じる誤解を軽減するシステムの開発に取り組む3年生の活動をあらためて全校生徒に周知した。生徒は各教室で3年生4人のプレゼンテーションを視聴。併せて、協力企業のバイドゥ(株)が同校向けにオリジナルに制作した10分程度の動画を配信した。説明動画を作成した古谷由宇プロダクト部長は友人や他人が写った写真をSNSに投稿する「タグ付け」「顔出し」「誹謗中傷」などの個人情報が漏えいする危険性を扱い「相手の気持ちを考えた行動を心がけてほしい」とメッセージを送った。
視聴後のグループ活動で生徒はウェブデザインツール「キャンバ」でSNSトラブルに巻き込まれないようにするための行動を考える標語づくりに挑戦。「考えよう 相手の気持ち リテラシー」「考えて 投稿前に もう一度」など率直な思いをつづり、それぞれ短冊としてデザインする体験活動に取り組んだ。
防犯教室、薬物乱用防止教室、インターネットモラル教室など、各高校では生徒指導・支援に関わる講座を年間3回程度実施する。同校ではこれまで警察署などから外部講師を招き、約1時間の講話を行う形式が一般的だったが、講話を中心とした活動によって生徒のアウトプット機会の少なさが課題となっていた。
内容を大きく変更した経緯にはコロナ禍の影響も大きい。校務分掌で生徒指導に関わる講座を企画する佐藤教諭は「感染拡大防止の観点から全校集会の在り方が見直され、生徒が飽きない新しい形の講話を考えるきっかけにつながった」と語る。SNSトラブルを題材とした探究活動に励む身近な生徒の発表を課題提起としたことで、説得力を感じられるようにしたことも工夫の一つという。
同校では今後実施予定の「SOSの出し方教室」など自殺防止プログラムに基づいた講座においても動画配信の活用を検討し、生徒が飽きずに取り組むことのできる講座の在り方を模索する。
佐藤教諭は「グループ活動やペアワークの時間を創出することで生徒が様々な課題に対し、当事者意識を持てるものにしていきたい」と話している。
(学校 2024-07-10付)
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