校内支援センターをリノベーション 子が安心できる居場所を 帯広稲田小 地域と意見交換(学校 2024-07-12付)
稲田小・校内支援センターのリノベーション
【帯広発】不登校児童生徒数が全国的に増加する中、国は3月に不登校対策(COCOLOプラン)を打ち出し、ニーズに応じた受け皿の整備などを求めている。帯広市立稲田小学校(鈴木宏和校長)は今夏、校内教育支援センターを地域や保護者、子どもたちと共にリノベーションする。コンセプトは「児童が安心でき、気分に合わせて居場所を選べる空間」。1日に同校で初会合が行われ、保護者や民間企業が子どもの目線に立って意見を交わした。
国は5年3月に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を取りまとめた。ニーズに応じた受け皿の整備、「チーム学校」による支援、学校風土の見える化を主な取組として提示。受け皿の一つに「校内教育支援センター」を挙げ「落ち着いた空間で学習・生活できる環境」を校内に設置するよう求めている。
稲田小は校内教育支援センターを設置しており、登校に不安を抱える児童の居場所になっている。しかし、室内は普通教室と同様のつくりで、会議用テーブルやパイプいすが並ぶほか、資料や不使用のロッカーなどが置かれている現状。同校は「子どもたちが安心する居心地の良い環境にしたい」との思いで、リノベーション企画を立ち上げた。
保護者や地域住民、教職員から広くボランティアを募集し、約20人が参加。市内フリースクール等の経営者や、家庭教育サポート企業の北海道パートナーズとかちなど、子どもの学習環境に日々携わる民間企業も参画している。
また、児童に当事者意識を持ってもらうため、校内教育支援センターの名称や壁紙の色などに関して意見を募集する。校区内で取組を共有できるよう、南町中学校の美術部生徒と連携し、デザインの考案や内装準備などの協力を得る。
1日、同校で初会合が行われた。参加者の中には、子どもの不登校や登校しぶりに悩む保護者もおり、「(校内教育支援センターに)子どもが実際に通うかもしれない」「子どものためにできることをしたい」と出席の経緯を語る。「住宅設計などの職業経験の強みを生かしたい」と手を挙げる保護者もいた。
傅法谷肇教頭が、国が進める不登校対策の概要や校内教育支援センターの役割、企画の背景などを説明。室内のコンセプトを「児童が安心でき、気分に合わせて居場所を選べる空間」とし、個人や集団で活動できるスペースを小分けに造ることを発案した。
フリースクールの経営者は、別室登校をする子どもが「ほかの子から見えない場所にいつも座る」と話していたことに触れ、パーティションやじゅうたんの設置を提案。賛同した保護者らは、ローテーブルや座布団などの用意を持ちかけた。
また、室内に設置するいすの参考画像を見た保護者は「子どもの身長や姿勢を考えると、長時間座ることは難しそう」と子どもの目線に立ち、ローソファの設置を勧めた。
夏季休業中に室内をリノベーションし、2学期からリニューアルオープンする予定。短期間でより多くの意見を募り、参集した時間を有効に活用できるよう、参加者および教職員が日常的に情報共有するためにオープンチャットを開設した。
鈴木校長は「登校に悩む子どもたちは、外とアクセスすることが難しい状況にある。関わった人たちの思いを子どもたちに感じてもらえるような部屋にできたら」と期待を寄せる。
(学校 2024-07-12付)
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