厚沢部町教委 生成AI活用へ研修会 可能性を引き出す授業 端末カメラで着色、作曲等(学校 2024-07-23付)
完成した粘土作品を使って新たな作品を生み出す低学年の授業
【函館発】生成AIを活用した授業のイメージをつかんでもらおうと、厚沢部町教委は16日、町内の鶉小学校(井田昌之校長)と館小学校(大滝英樹校長)で教職員を対象とした研修会を開いた。青森県五所川原市立五所川原小学校の前多昌顕教諭が講師を務め、1人1台端末のカメラ機能で粘土に色を付けたり、生成AIで曲を作ったりする創造力を育む授業を公開。渡島・檜山管内の教職員ら15人が参加し、二次創作につながる実践や閉校にちなんだ曲作りなど新たな可能性を引き出す授業づくりを見学した。
青森五所川原小 前多教諭が授業
町教委ではICTを活用した授業力の向上に向け、外部講師による研修会を適宜開催。5年度からはキャンバを全校に導入し、教育場面での様々な活用方法を模索している。
今回は教職員に効果的な活用を実際に見学してもらうため、青森県プログラミング教育研究会発起人で事務局長を務める前多教諭を講師に招聘。「前多教諭の飛び込み授業」と題し、町内2小学校を巡回した。
本年度末で閉校する鶉小では、全校児童11人が来年2月の閉校記念イベントで使用するミュージックビデオを生成AIサービス「SunoAI」で制作。児童は思い出の行事や好きな給食のメニューなど歌詞に取り入れたい単語を案に出した。前多教諭が「Jポップ調の曲を作って」とプロンプト入力すると、複数のパターンで自動作詞作曲の曲が完成。児童は各グループで歌詞に合わせたミュージックビデオをキャンバで制作。カメラ機能で教職員の写真を撮影したり、フリー素材の画像を挿入したりして取り組んだ。
館小では低学年児童が工作した茶色い粘土の作品をタブレットのカメラ機能で撮影。キャンバに画像を取り込み、好きな色に変更する活動に取り組んだ。児童は背景の削除機能を使って画像を好きな形に編集したり、友人の作品を撮影して自分の作品に取り入れたりする活動に挑戦。デジタルによって工作から図画につながる新たな作品を作り出した。
学習の振り返りはウェブブラウザで使用できる「パドレット」を活用。タブレットの文字入力だけではなく、録画・録音など児童が取り組みやすい自由な方法で感想を共有できるように工夫した。
中・高学年では鶉小と同様に、生成AIで作成した曲について各グループでミュージックビデオを編集。作曲の際、児童が「AIが館小を“たて”ではなく“やかた”と読んでしまう可能性がある」とプロンプト入力の際の注意事項を話し合う場面もあった。児童の髙橋龍ノ介さん(6年)は「キャンバはいつも使っているけれど、新しい知識が身に付いた」と笑顔。
参加した教員のうち、上ノ国町立河北小学校の加藤瑞江教諭は「低学年の授業は作って終わりではなく、二次創作につながる新しい視点。高学年の曲づくりも卒業に向けた活動の一環など取り入れることができると思う。学習指導要領の整合性に基づき、幅広い可能性につながる活動に臨機応変に取り組んでいきたい」と振り返った。
模擬授業では、生成AI機能があるキャンバなどに加え、学びの蓄積に効果的なパドレット、グーグルクラスルームを活用。発達段階や多様な特性に合わせて選択肢を与える授業によって、端末操作に慣れていない低学年では円滑な授業につながる実践を紹介した。前多教諭は「ICTや生成AIの便利さを活用し、ルーティンワークとすることで子どもたちや先生が話し合う時間を作ることが大切」と話している。
(学校 2024-07-23付)
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