マイスター・ハイスクール厚岸翔洋高 スマート水産技術披露 養殖施設の維持管理等に期待
(学校 2024-07-30付)

厚岸翔洋ドローン
地元漁業者(右)に水中ドローンの操作を説明する生徒たち

 【釧路発】マイスター・ハイスクールの指定を受けている厚岸翔洋高校(山本十三校長)は17日、厚岸湾で地元漁業者を対象にスマート水産業に資する技術を披露した。海洋資源課生産コースの生徒5人が水中・空中ドローンを操作し、カキの生育状況を確認する技術や、各種海洋情報を観測する機器を紹介。IT技術を活用し持続可能な地域づくりを目指す実践活動の一端を披露した。漁業者からは養殖施設の適切な維持管理につながるドローンの大きな可能性や、予測が難しいカキの産卵時期の把握に役立つ海洋情報の活用を期待する声が寄せられた。

 同校のマイスター・ハイスクール事業の実施期間は4~6年度の3年間。「地域の未来を創るマリン・イノベーターの育成」を目標に掲げ、水産資源の持続化、漁家経営の持続化、地域産業の持続化を柱に、生徒たちは様々な活動に取り組んでいる。

 最終年度となる本年度は、漁家経営の持続化に向けた取組を進めているほか、これまでの実践成果を普及させる活動を展開している。

 本年度は地元漁業者7人を招き、海上や海中で使用するドローンの操作方法や、様々な海洋情報を収集する観測機器「うみログ」の活用状況などを紹介。9日に同校の体育館とプールでドローンの基本操作を漁業者に説明した上で、17日に厚岸湾の海上で、ドローンや「うみログ」を活用した漁業施設管理の実習を行った。

 生徒から丁寧に水中ドローンの操作説明を受けた漁業者は「実際に海中に潜るよりも鮮明に見える」と、撮影映像の感想を述べた。

 引率した山本健太郎教諭は「潮の影響などを受けやすいため、海中での操作はこつが必要。これを契機に操作方法について理解を深めてもらえれば」と期待を寄せた。

 17日は海上からドローンでカキの養殖場全体を空撮したほか「うみログ」を付けたブイの設置個所を確認。水温や水位、画像などの各種データを有効活用し、地域漁業のスマート化を推進する技術の数々を紹介した。

 海上から帰校後、同校で生徒と漁業者が意見交換。漁業者はスマート水産業に期待する多くの意見を寄せた。ドローンについては、荒天後の養殖施設の被害状況の把握や密漁の監視にも活用できるとの意見に加え、冬期間の厚岸湾の結氷状況を容易に把握し、養殖施設の適切な維持管理ができるとの意見も寄せた。

 一方「うみログ」については「カキの養殖で重要となる産卵時期の把握に活用できるのでは」と、大きな可能性を期待する意見が上がった。

 漁業者は産卵時期(抱卵時期)について、長年の経験と勘を頼りに判断していることを生徒に説明。「うみログ」での各種データ収集は、養殖海域の水温の変化や、正確な積算水温の観測を可能とし、より精度の高い予測につながるとした。

 同校は引き続き、漁場管理のスマート化、海洋情報データの活用、ドローンの有効活用、ITを活用した成果の発信などに力を入れ、次年度からの学校設定科目の導入に向けた取組を進めていく。

(学校 2024-07-30付)

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