文科省 探究学習の実践研究 道内唯一 足寄高を採択 産業や環境保全など解決探る
(学校 2024-07-01付)

 【帯広発】足寄高校(石橋栄校長)は、文部科学省の新規事業「“総合的な探究の時間”の質向上を図るための実践研究」の実践校の採択を受けた。事業期間は2年間。地域産業、防災、環境保全など現代的な諸課題に関する探究活動を全学年で展開するほか、主に1・2年生を対象とした課題提示型の「ミニ探究」を実施。探究学習のサイクルを複数回重ねることで、主体的に学ぶ姿勢や意識を醸成する。

 調査研究は、高校生の社会課題への認識や社会参画意識が低い現状を踏まえ、主体的に社会の形成に参画する意欲・態度の育成を図るために本年度から開始。推進校として全国の高校・中等教育学校後期課程から5校が選ばれ、道内では足寄高が指定を受けた。

 足寄町は「ゼロカーボンシティ」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロに削減することを目指している。酪農の多角的経営を目指す若手事業者や移住起業者も多く、環境保全を学ぶ土壌や教育的に多才な人材資源に富んでいる特徴がある。

 一方で、人口減少と高齢化、農林業の後継者確保、空き家や遊休農地対策など、持続可能なまちづくりに向けた課題も多い。

 同校は町内進学者が約7割を占めているが、町の手厚い支援や部活動の活発化によって管内外の進学希望者が増加傾向にある。生徒が地域や様々な事業者の抱える課題を自分事として捉え、解決に必要な知識・技能を身に付けるため、事業参画に手を挙げた。

 探究活動は地域産業、防災、ゼロカーボンをテーマに、事業者との交流、外部講師による講話、現地に足を運んでの調査・研究などを行う。年間を通した学習を1年生はグループ、2年生はグループもしくは個人、3年生は個人で進める。

 並行して主に1・2年生を対象に、防災とゼロカーボンの2テーマのもと「ミニ探究」を実施。課題設定から進む学習を複数回行い、探究的に学ぶ姿勢や意識の醸成を図る。

 2年生はカナダの姉妹都市への学校訪問を予定。防災や環境保全に関する取組や考え方の相違点などの情報を収集・分析する。町教委と連携して事前・事後学習を行う。

 事業の推進に当たって、本年度から地域おこし協力隊1人をコーディネーターとして配置したほか、探究、連携、広報の3部会からなるコミュニティ・スクールを導入して地域と協働する体制を整えた。

 また「ボランティア局」を設置し、地域協働に重点を置いたボランティア活動を全校体制で促進する。総合的な探究の時間の成果を生かし、生徒一人ひとりが地域課題に沿った活動を校内外で主体的に行うことを目指している。

 石橋校長は「普通科高校としてできる探究学習の在り方を模索したい。生徒には、社会の課題が自身の人生の課題となる意識を持ってほしい」と期待する。

(学校 2024-07-01付)

その他の記事( 学校)

海の玄関口の役割学ぶ 網走中央小と白鳥台小 網走港みなと見学会に参加

白鳥台小網走港みなと見学会  【網走発】網走市立中央小学校(伊井俊明校長)と白鳥台小学校(河村一恵校長)の児童は4日、道開発局網走開発建設部主催の網走港みなと見学会に参加した。港湾業務艇はまなすに乗船し、港湾施設や防波...

(2024-07-09)  全て読む

帯広東小 自然観察会に参加 水辺環境の大切さ学ぶ 3年生が魚捕りや水質測定

帯広市立東小R6年度自然観察会  【帯広発】帯広市立東小学校(辻勝行校長)は3日、市内の帯広発祥の地公園でNPO法人十勝多自然ネット(西江靖幸理事長)が実施する自然観察会に参加した。3年生29人は魚捕りや水質測定を通して自...

(2024-07-09)  全て読む

校長会長インタビュー 第4回 函館市小学校長会会長 寺本 公彦氏 “学校”を引っ張るのが仕事

校長会インタビュー・寺本公彦会長 ―就任に当たっての抱負  前年度に引き続き、函館市小学校長会の会長となり、気持ちも新たに会員の力を結集し進んでいこうという思いである。本会には「教育春秋」という会誌があるが、前年度会長の立...

(2024-07-09)  全て読む

道教大 教職大学院生募集 7日に合同説明会開催 様々な修学の形を紹介

 道教育大学教職大学院は、7日午前11時から全キャンパス合同オンライン大学院説明会を開催する。大学院のコース、カリキュラム、入試に関する説明を行うほか、現職教員院生や教育委員会派遣院生との交...

(2024-07-05)  全て読む

帯農高 産学官連携し情報化施工 技術者育成PG開発へ 校内で舗装工事体験など

帯広農業・技術者育成プログラム  【帯広発】帯広農業高校(佐藤裕二校長)は6年度から「情報化施工技術等に対応できる農業土木技術者育成プログラム」の開発を進めている。学校敷地内を見学場所とし、産学官連携による実践的な学びを生...

(2024-07-03)  全て読む

足寄高 総探支援特化型CS 育成したい生徒像共有 持続性、小中高接続など議論

足寄高校・CS導入  【帯広発】足寄高校(石橋栄校長)は本年度、総合的な探究の時間の取組推進に特化したコミュニティ・スクール(CS)を導入した。道外大学職員や地域人材、保護者ら12人を委員に委嘱し、探究・連携・...

(2024-07-01)  全て読む

附属函館中教員の過半数が活用 デジタル採点 成果と課題は エドログ無償版の実践踏まえ

デジタル採点システムのスクショ  【函館発】道教育大学附属函館中学校(小林真二校長)は、過半数の教員がデジタル採点システム「エドログ」(無償版)を活用している。定期テストの採点・集計時間の短縮に成功し、校務の負担軽減の一翼...

(2024-06-28)  全て読む

ゲームで防災知識深化 網走小で建設関係団体出前授業

網走小建設コンサルタンツ協会防災授業  【網走発】網走市立網走小学校(畠山治夫校長)5年生は19日、同校で建設コンサルタンツ協会北海道支部の防災出前授業を受けた。総合的な学習の時間の一環。児童は、ゲームをしながら防災について学べ...

(2024-06-27)  全て読む

酷暑対策で函館工業高 夏制服にハーフパンツ 既存服と併用 場面に応じて着替えも 3色展開で通気性の高い生地を使用

函館工業高校夏季制服をハーフパンツに  【函館発】函館工業高校(坂野裕悦校長)は夏季の暑さ対策として、本年度から夏の制服にポロシャツとハーフパンツを採用する。吸汗・速乾性素材により、酷暑に対応するもの。着用期間は6月下旬から9月...

(2024-06-27)  全て読む

森高 元プロ・吉田氏が町民と環境整備 野球を通じ高校活性化 部活動復活へ放課後等に指導

森高校野球部を通じた高校活性化の取組  【函館発】生徒数の減少によって、部活動の維持が困難となっている森高校(佐紺摂子校長)は、地域おこし協力隊の協力のもと、野球を通じた高校の活性化に取り組んでいる。廃部となっていた野球部の復活...

(2024-06-25)  全て読む