附属函館中教員の過半数が活用 デジタル採点 成果と課題は エドログ無償版の実践踏まえ(学校 2024-06-28付)
解答用紙をスキャンして採点できる
【函館発】道教育大学附属函館中学校(小林真二校長)は、過半数の教員がデジタル採点システム「エドログ」(無償版)を活用している。定期テストの採点・集計時間の短縮に成功し、校務の負担軽減の一翼を担っている。一方で、生徒個々の傾向把握など確認作業を要する場面もある。活用を通して見えたシステムの成果と課題について、実践を進める3人の教員に話を聞いた。
デジタル採点システムは道教委が実証事業で一部の学校をモデル校に指定し、試行的に導入しているほか、札幌市や江別市、釧路市など一部の自治体が独自に導入を進めている。
様々な民間企業がシステムを開発しているが、同校の教職員の間で活用が広がるエドログは、スタンダード版であれば無料で使用が可能。完全一致型の自動採点で解答用紙をスキャンし、各問題や生徒の解答を一覧表示で採点できるほか、自動集計による平均点や正答率の一覧化、成績管理に使用できる。各自治体・学校予算における投資範囲が限られている中、使用しやすいものを取捨選択できる利点がある。
同校で最初に活用を始めたのは、国語科の米田真琴教諭。過去に江別市内で教員を務めていた際、自治体が試行的に導入していたエドログを使用したことがきっかけだ。
米田教諭は「短答式だけではなく、記述式においても解答の一斉表示によってミスを見つけやすい。採点の見直しができるため、誤採点が減る」と手応えを口にする。答案用紙のPDF化によって改ざん防止にもつながるという。
これまで2日を要していた採点は1日に半減。答案用紙の返却が早くなり、生徒にとってもメリットが大きい。
一方で、事前指導や一人ひとりの答案の全体を見直す必要もある。数学科の有金大輔教諭は「薄い字などは判定不能になるため、生徒に対しては“解答を濃くはっきりと書くように”と呼びかけている」と語る。
また、システムは問題別に各生徒の解答が示されるため「“この生徒はこの問題が苦手だったな”という先入観が減るが、誰がどの問題を間違えているかなど、個人の傾向を確認する上で一人ひとりの答案を確認する必要がある」と指摘する。
生徒個人の点数、クラスや領域別の正答率はエクセルに抽出することができることも、業務の効率化につながっている。同校では最大100人の答案用紙を採点する教職員もいる。社会科の山口輝晃教諭は「生徒数が多い大規模校だからこそ感じられる利点。2人で分担して採点することができるため、入試の採点などに導入することで効率的に作業が進むのでは」との見解を示す。
各自治体や学校でシステムにかける予算が限られている中、人事異動で導入されていない学校へ転勤した際も無償版であれば、継続的に使用できる。黒田諭副校長は「使いやすいものを自ら選んで活用する校務のICT化は、教員自身の自走に委ねられる部分も大きい」と話している。
(学校 2024-06-28付)
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