渡島局 生徒指導研究協議会 過去の武勇伝聞いて 不登校支援で道医療大・冨家教授(道・道教委 2024-07-09付)
渡島局生徒指導研究協議会
【函館発】渡島教育局は6月28日、生徒指導研究協議会をオンラインで開いた。北海道医療大学心理科学部の冨家直明教授が児童生徒の心理状態や特性を把握するアセスメントツールの効果的な活用を講義。不登校の将来的な影響を踏まえ、未然防止に向けて早期の支援を促した。
児童生徒の豊かな成長や発達を促すため、教員の生徒指導力向上を図るもの。教職員や市町教委職員ら約50人が参加し、いじめや不登校の未然防止に向けた対応や違法薬物吸引行為の可能性がある事案が発生した際の学校と警察の連携について共通理解を図った。
全体会では5年度児童の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果をもとに、自校の状況を交流。参加者は「多くの教員が関わりを持つようにしている」「新たな悩みを抱える生徒に向け生徒支援部を設置した」など各校独自の取組を挙げ、生徒が安心できる環境づくりに努める実践を共有した。
少年非行・いじめ問題に対する警察との連携や不登校の予防と支援に関する二つの講義のうち、不登校支援の在り方については道医療大の冨家教授が講師を務めた。道内における不登校児童生徒数の割合は、小・中学校共に全国で最も高い数値にあることを示し、特に長期化した場合は学力低下の深刻化が想定されると指摘。高校においては成年年齢の引き下げに伴い、1人暮らしなどの自己決定が可能になるため、生徒の生年月日に配慮した対応を求めた。
不登校児童生徒の支援に向けたアセスメントシートの活用については、睡眠、嗜好、幼少期の過ごし方など個々が育つ環境や背景について詳細な情報を把握する必要性を指摘。
例えば、長期欠席を要因に「社会的時差ぼけ」を示すソーシャルジェットラグを引き起こす可能性があるため、睡眠の中央値を把握することで回避に向けた支援を考えるよう促した。
「嫌いな食べ物を克服したことがある子どもは学校や社会で人間関係も克服しやすく、寛容性が高い」と分析。不登校の要因の一つとなる起立性低血圧の子どもに対する対応は、体調が安定した昼ごろから登校させるなどの対応を示した。
このほか「過去のトラウマではなく、武勇伝は何かと聞いてみる」など過去の経験や情報を引き出すための対話の工夫を紹介。参加者は、講義や生徒指導提要を踏まえた協議を通して、児童生徒を守る具体的な対応について理解を深めた。
(道・道教委 2024-07-09付)
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