校長会長インタビュー第16回 ウェルビーイングを目指して 釧路市小中学校校長会会長 小玉功氏
(関係団体 2024-07-29付)

釧路市小中学校校長会・小玉功会長
小玉功会長

―会長就任に当たっての抱負

 釧路市小中学校校長会は発足以来、義務教育の責任を直接担うという使命感のもと、常に自らの、そして組織としての在り方を見直し、改善を図ってきた。

 その歴史と伝統をしっかりと継承し、次世代へつなぐことが自身の使命であり役割と考える。

 「40人の校長のウェルビーイング」=「釧路市の子ども、教職員、保護者、地域のウェルビーイング」を目指して、会員相互が切磋琢磨・親和協力する環境をつくり上げ、釧路市の小・中学校教育の振興・発展に寄与していきたい。

―市内学校教育の特色、課題と対応

 釧路市は「第Ⅲ期釧路市教育推進基本計画」と「釧路市社会教育推進計画」を同時に策定し、地域社会全体で教育の充実を図ろうとしている。本年度は5ヵ年計画の2年次目を迎え、各学校では計画に基づいた実践を工夫し、達成状況を確認しながら取り組んでいる。

 釧路市に住む子どもたちが、主体的に学び続けるとともに、多様な人々や社会と関わり合うことを大切にし、個性や能力を生かしながら夢や目標にチャレンジし、より良い社会や新たな価値を創造できるように育てていくことが、この地域に住む大人に課せられた使命である。

 学校段階間の連携および円滑な接続を見通した取組の充実、児童生徒や教職員を支えるICTの効果的活用、行政・学校・家庭・地域の連携・協働を視点に、個々の取組をつなげていきたい。

―信頼に応える学校づくりに向けて

 各学校では、学校グランドデザインを家庭や地域と共有し、連携・協働してその実現を図るため、教育活動の成果や課題を明確にするとともに、学校の特色を生かした教育課程を編成している。

 加えて、釧路市が抱える様々な教育上の課題を解消・緩和していくために「釧路市がめざす学校の姿基本計画」に基づいて、小中連携・小中一貫教育を進めている。

 また、教職員の資質・能力の向上・働き方改革も極めて重要である。市教委と連携のもと、授業改善に向けた指導主事の効果的活用、釧路市授業交流サイトにおける授業改善に関する交流や動画配信、統合型校務支援システムの一斉導入による業務効率化、不祥事根絶に向けた研修等の取組を強化していく。

―学校組織の強化・活性化に向けた取組

 本年度の校長会重点に、釧路市が目指す学校教育を実現するための組織マネジメントを設けている。子どもたちが主体となって生きる力を育むために、義務教育段階9年間の連続性と系統性を基軸に据え、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を目指す。

 校長は、そのためのビジョンと戦略を明確に示し、組織体制を整え、心理的安全性の高い職場づくりを進めている。

 ビジョンと戦略は、組織の一体性・一貫性が確保されるだけではなく、組織が進化し続けるために必要な学習をもたらし、組織力を向上させていく。市内全ての学校のグランドデザインを集約した「学校の羅針盤」を印刷・配布するとともに、来春役職を終える9人の校長が講師となって、学校経営をみんなで考える学びの機会を設けている。

―教職員の人材育成に対する校長会の対応

 学校教育の成否は、高度専門職である教師の資質によるところが大きい。本年度の釧路市小中学校校長会の重点に、人材育成を設けている。

 校長は、北海道教職員研修計画を踏まえ、授業観察や調査結果等を踏まえて各種対話を進めたり、他者等とつないだりするなどして、教員が主体的に資質・能力の向上が図られるよう指導助言する。

 また、後継者育成が管内課題であることから、校長会としてプロジェクトチームを編成し、将来の教頭、校長といった人材を、責任を持って育てている。

 こだま・いさお

 昭和63年道教育大釧路分校卒。釧路管内および市内の小・中学校で教鞭を執るとともに、青少年教育施設等で社会教育行政に携わる。平成22年から教頭、28年から校長として釧路市、帯広市で学校経営に当たる。令和5年に現職の釧路市立幣舞中校長。

 昭和39年10月18日生まれ、59歳。釧路市出身。

(関係団体 2024-07-29付)

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