校長会長インタビュー 第18回 根室管内校長会会長 根本 渉氏 校長同士のつながりを大切に
(関係団体 2024-07-31付)

―就任に当たっての抱負

 ここ数年、教育の動向を示す言葉が変化している。「改善・向上」から「改革・変革」である。「改善」はこれまでの延長上だが「改革」は方向性の転換であり組織スタッフの「価値観の順位」を変えることだと考える。

 さて、4月に開催した当会総会研修会において、当会の合言葉を「つながる・そろえる・ひろげる」とした。

 特に「そろえる」については、当会して受け止めるべきことを示し行動をそろえるだけではなく、対話や議論を通じて会員の感情もそろえていきたい。さらに、チーム力の高い組織はネガティブな自己開示ができると言われる。当会として、弱音を共有しながらも合言葉「つながる・そろえる・ひろげる」のもと、根室管内の重点「しなやかにたくましく生きる子どもの育成」に向けた取組を39人の会員がネガティブケイパビリティーを持ちながら進めていく。

 また、来年度の道小研究大会が当管内で開催される。

 その翌年に札幌市で開催される全連小北海道大会へしっかりとバトンをつなぐよう準備を進めていく。

―管内学校教育の特色

 根室管内1市4町、学校数は39校(小19校、中15校、義務教育学校5校)である。20年前には計70校であったが、当時から6割弱の校数となった。一方で、前年度から義務教育学校が2校増えている。今後も、義務教育学校設立が予定されており、管内的に小中一貫教育が進んでいると言える。

 また、管内独自の取組として、教育局・市町委員会連合会・管内校長会が中心となり、「チーム根室で学力向上を!」事業を進めている。本年度も当会が主体となり、管内全校の子どもを対象に「授業アンケート~自分をフリカエル」を年2回実施する。今後は、教育局の事業とより連携したアンケートの活用、さらに各校でアンケートを「主体的・対話的で深い学び」に向けた一つの指標とし活用する取組を一層進めていく。

―信頼される学校づくり

 長く継続する組織には、「社会性」がある。災害時、自分を律し、他を思いやれる集団となれるわが国で、組織の違法行為等が絶えないのは、組織内のルールが一般の社会ルールよりも優先されてしまう「部分社会の法理」が原因の一つだと言われる。当然、学校は社会から切り離された存在ではない。学校全体が社会を意識し開いていくことが信頼される学校づくりの土台である。さらに、コンプライアンスをはじめ職員個々の意識だけに任せない、つまり、各校で実情に合わせた仕組みづくりをしていくことが必要である。

―組織の強化・活性化

 「絶滅危惧種は多様性がない」と言われるが、組織も同様である。多様性のある組織こそが、多岐にわたる複雑化された問題を解決できる。幅広い価値観の共有から生まれた組織の多様性が課題解決へとつながる。

 さらに、本年度、根室教育局の遠藤局長から全管理職へご教示をいただいたが、自校のグランドデザインをもとに、軌を一にし、家庭・地域へ発信し応援される学校でなくてはならない。多様な職員を一枚岩として、地域等からの支援を得るためには、役職としてのポジションパワーではなく、自分の言葉で学校内外の心を動かすインスピレーショナルな校長となる必要があると考える。

―人材育成に対する対応

 本年度、主幹教諭の研修会について、ニーズの高さを教育局と共有し、新たに局主催の研修会を開催する運びとなった。今後も、人材育成をはじめ現場の声を届けていく。さらに、私たち校長自身が研究大会等でICTを利活用したロールモデルとなり、取組を「そろえる」ことを進める。それが、校長の資質・能力の向上となり、そして教頭・ミドルリーダーの資質・能力の向上へ「つなげる」こと、さらには管内の人材育成へ「ひろげる」ことになる。

 平成3年神奈川大卒。同年標津町立古多糠小中を振り出しに、18年羅臼町立春松中教頭、29年別海町教委指導参事、令和3年別海町立上西春別中校長、5年4月から教頭として勤務経験があり母校でもある別海中央小校長。

 昭和41年5月18日生まれ、58歳、別海町出身。

(関係団体 2024-07-31付)

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